四国62h (1-1)四国上陸
高松側のターミナルである高松東港からJR高松駅へは連絡バスが運行されており、こちらの運賃は無料。ここから駅まではそれなりの距離があって徒歩では遠いためである。いきおい自動車利用ではない一般客は、タクシー利用でもない限り全員が乗り合わせる形となるが、待機していた路線バスタイプの車両は一台こっきり。三連休の初日という繁忙日のこと、当然のように車内には下船客が波のように押し寄せ、朝ラッシュ並みのすし詰め状態となってしまった。私は早めに乗り込んだので着席組である。
バスは臨港地帯を抜け、駅前広場のかなり手前の路上に停車。駅舎が見えないので下車して良いのかどうか分からず、運転席の近くに立っていた西洋人の若い子が「高松駅デスカ?」と尋ねて初めて皆ゾロゾロと降り出すという始末である。常連ばかりじゃないんだから、「高松駅です」の一言くらいアナウンスしろっての>運転手
《高松駅に到着したオンボロ連絡バス》
駅周辺は「サンポート高松」と称される再開発地域となっており、新築のガラスビルが幾棟も建って四国らしからぬ近未来的な景観を作り出している。ここには直近では4年前、新型マリンライナーと高松琴平電鉄の試乗の際に訪れているが、未だじっくりと街中を歩いたことはなく、今回の旅でもまた然りである。
5時10分、旅のスタート地点である高松駅の駅舎前に立つ。表題の「62時間四国一周」は、ここから列車で出発して明後日の夕方再び戻ってくるまでの時間である。もっとも一周とは言っても、実際のルートはインフィニティリング(∞)に近い形。もちろん鉄道利用である以上、海岸線を忠実にトレースするわけでもない。それではお気軽な旅行ではなく最早冒険である。
《早朝の高松駅》
《駅舎内》
香川県の代表駅だけあって朝の始まりは早く、4時38分には既にマリンライナーの始発便(2号)が出発している。さて、最初の目的地は土讃線の大歩危なのだが、その前に坂出で讃岐うどんの朝食を摂っておくことにする。香川のうどん店は一般的に早朝から開いているのだが、いわゆる名店と呼ばれる店は市街地の中ではなく、農村地帯の真ん中にポツンと立っている…といった形態のものが多いため、鉄道利用では訪問には適さない。従って駅から徒歩圏内、しかも予讃線沿いという条件では自ずと限られたものになるわけだが、意外にも高松駅周辺は早朝から開店している店の不毛地帯。なんとか発見したのが坂出駅近くの店というわけだ(予讃線沿線に拘らなければもっと選択肢も増える筈ですが)。
特急いしづち1号 高松(05:17)→坂出(05:30)
というわけで、駅に着いて5分という絶妙のタイミングで発車する《いしづち1号》が最初のランナーに。普通車のみの4両編成、宇和島まで4時間をかけて予讃線を全線走破するロングラン列車である。非電化区間に直通するのでディーゼルカーの2000系が充当され、デッキに足を踏み入れた瞬間に鼻を突くこの形式独特の臭気が、過去の乗車経験を呼び覚ます。隣には《マリンライナー4号》として運転されるJR四国所属の5000系電車が停まっており、低重心の振り子車両と大柄な二階建て車両とではまるで親子のよう。とはいえ小さく見える2000系の方が列車の格としては上なわけだが。
《いかつい顔つきの「マリンライナー」と肩を並べて停車中》
《車内はガラガラ》
乗車時間が短いので自由席利用、編成最後尾である4号車の適当な席に腰掛ける。新形式らしい軽めのエンジン音を響かせて高松駅を出発すると、せわしなくジョイント音を立てながら予讃線の複線区間を駆け抜けていく。讃岐平野の平坦区間ではあるが意外にカーブが多く、お椀を伏せたような讃岐平野独特の形の山が点在する中、早くも振り子列車の性能を発揮しながら疾走。同じく高松~坂出間ノンストップのマリンライナーよりは1分だけ速い13分で高架駅の坂出に到着した。
(2008.07.19)
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