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2009.10.24

四国62h (1-5)おいでませ土佐の国

特急南風1号・しまんと3号 大歩危(08:49)→高知(09:39)

大歩危駅8時49分発の列車は、前4両が岡山発中村行き《南風1号》、後3両が高松発高知行き《しまんと3号》の7両編成。土讃線で7両というのは相当な長編成である。高知までならばどちらの列車でも構わないのだが、グリーン車が連結されているのは南風の方だけなので、先頭車の1号車へ。今度はそれなりに座席が埋まっていて、如何にもグリーン車に相応しい感じの老夫婦のほか、1Aのかぶりつき席にはファンらしき男性も。

大歩危を出てすぐに突入する大歩危トンネルは、災害対策を兼ねて掘削された約4kmの長いトンネル。列車はここぞとばかりにディーゼルエンジンの唸りを上げて突っ走る。このトンネルの中で徳島県から高知県へ入り、そのまま列車は大田口駅付近まで吉野川の流れを遡ってゆくが、そろそろ早過ぎた朝が響き始めて、夢と現を行ったり来たり。

大豊町(おおとよちょう)の中心駅である大杉駅には、高知自動車道の大豊インターチェンジが至近距離に位置している。四国四県の県庁所在地は既に全てが高速道路で結ばれており、JR四国の主要幹線はほぼ全線に渡って高速道路との競合に晒されているという状況である。しばしば三島会社という括りで論じられるように、本州の三社に比べて経営基盤の弱いJR四国ではあるが、管内に大都市圏をひとつも擁さず、地域輸送で収益を上げることが困難な中、唯一の拠り所となるのが都市間輸送。それが今や高速道路に主導権を明け渡し、四国の二大幹線の一翼を担いながらも予讃線と比して沿線人口の極めて低い土讃線にとってその影響は甚大で、単独運転の南風は3~4両という短編成で細々と運行されているというのが実態だ。民主党のマニフェストである地方の高速道路の無料化が実現すれば、いよいよJR四国そのものが存亡の危機に直面することはほぼ確定的。鉄道が陸上交通の主役に君臨した時代は既に遠い過去になったとはいえ、もはや企業努力だけでは立ち行かなくなる所まで来ているのは素人目にも明らかだ。まさか自由競争の結果として廃線を容認し、道路交通のみにライフラインを委ねるという愚は犯すまいとは思うが、地方ローカル線の存廃問題とはレベルが違いすぎるわけで、最終手段として公的資金の投入も止むを得ないのではないだろうか。

四国の背骨を越える列車はトンネルと勾配の連続で更に上り詰め、四国最高所の駅である繁藤(しげとう)駅で標高347.8mに達する。次の新改(しんがい)は坪尻駅とともに四国に2ヶ所あるスイッチバック駅のひとつ。うつらうつらしているうちに何時しか線路は高知平野に下り立ち、土佐山田からは高知の近郊区間に入る。ここからは一転して直線主体となり、MAX120km/hの高速性能を遺憾なく発揮して疾走。レールの継ぎ目を渡る音の間隔も断然忙しくなった。

次の後免(ごめん)は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の起点だが、ホテルに荷物を置いておきたいのでひとまず通り過ぎることに。布師田駅を過ぎると左手には高知駅の高架化工事に伴って移転してきた高知運転所が広がり、真新しい構内に特急型から一般型までディーゼルカーが何両も羽を休めている様子が見える。

この辺りからはいよいよ高知市の市街地の中に分け入っていく。薊野(あぞうの)を通過して久万川を渡れば高架線に駆け上がり、久々に都市らしく中層のビルが整然と並ぶ風景を見下ろしつつ、2008年2月に高架化されたばかりの高知駅1番ホームに滑り込む。ほぼ1時間ヘッドで特急が運転される区間はここまでで、7両編成で運転されてきたこの列車も後ろの3両を切り離し、この先は4両編成に。ちなみに私は明日、この列車で中村を目指すことになる。

40分後の列車で改めて出発するため、やや急ぎ足で予約してある「セブンデイズホテル」へ。時間が早すぎてチェックインはまだ出来なかったため、荷物だけ預かってもらうことに。三連休期間中ということで駅すぐ横のホテルが既に埋まっており、少々駅からは距離があるのを承知でここを選んだのだが、残っていたというのにはそれなりに理由があって…(後述)。

20080719095911

そのまま踵を返して駅へ戻り、ごめん・なはり線列車の出発する4番ホームへ。

(2008.07.19)

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