四国62h (1-6)ごめん・なはり線オープンデッキ車両 Part1
高知駅ホームは、かつて林業で栄えた当地らしく地元産の杉を使ったドームで覆われており、2面4線と1面2線で規模こそ異なるものの、JR嵯峨野線(山陰本線)の二条駅や花園駅と似たような設計。「くじらドーム」という愛称が付けられており、駅前通りから正面に眺める存在感は旧駅時代とは比べ物にならず、背後の山並みとのバランスの良さも相まって街のランドマークとしての地位を確固たるものにしたようだ。開業から半年、まだ旧ホーム跡地の整備が完了しておらず、2009年10月現在駅前広場となっている部分は更地となっていた。
《南口側から見た高知駅》
《旧ホーム跡地》
《駅コンコース》
ごめん・なはり線普通 高知(10:19)→奈半利(11:58)
4番ホームで発車を待っていたのは、お目当て通りごめん・なはり線の看板列車であるオープンデッキ車両。前述のようにごめん・なはり線の始発駅は後免ではあるが、過半数の列車が高知駅まで乗り入れて来ており、逆にJR側からの乗り入れも存在する。ごめん・なはり線の各駅には、高知県香美市出身のやなせたかし氏デザインによるマスコットキャラクターが設定されており、車体側面にはその全駅のキャラクターが駅順(方向も一致)に並べられている。
《(上3枚)オープンデッキ車両・外観》
このオープンデッキ区画はとある事情により後免駅到着までは締め切られているので、とりあえずは車内へ。1+2列で転換クロスシートが並んでいるように見えるが、1列の方は背もたれのない補助席である。2列側の方もオープンデッキ区画を通して外を眺めることになるため、まるでフェリーに乗っているかのようだ。
《オープンデッキ車両・車内》
《開放前のオープンデッキ》
座席が埋まっていたので前側のデッキで立つことにし、10時19分、高知駅を出発。土讃線内も各駅に停まり、高知の近郊列車の役割を担いつつ走っていく。すぐにのどかな田園風景となり、快晴の空の下で青々と成長した稲が風に揺れている。
10時35分到着の後免で、乗り込んで来た女性の車掌さんがオープンデッキ区画に通じる扉の鍵を開放。待ちわびたかのようにドヤドヤと乗客がなだれ込み、細長いデッキは鈴なりの人となった。
ごめん・なはり線が開業したのは2002年7月1日。その30年以上前から既に建設工事は始まっていたものの、国鉄の財政難により工事は凍結。その後国鉄末期に第三セクターとして設立された土佐くろしお鉄道に計画は引き継がれ、鉄道公団建設線では最も採算性の低いカテゴリーに属する、AB線としては最後の路線として開業に漕ぎ着けた。平たく言うと、大都市圏以外の地方ローカル線としてはわが国最後の開業路線となる公算が大きいということである。地方の鉄道が自動車への移行と少子化の影響により軒並み苦境に立たされる中、こうして新たに産声を上げる路線もあるというのは実に頼もしいものだ。ちなみに正式名称は「土佐くろしお鉄道阿佐線」となるが、旅客案内上では全てごめん・なはり線で統一されている。
後免駅からごめん・なはり線に入った列車は、高架線に上がって右カーブを描きつつ土讃線と離れていく。新線らしく線内はほぼ全区間で立体化がされており、田園と住宅が混在する風景をやや高い位置から俯瞰するような格好で進んでいく。線形は非常に良いのだが、この列車については45km/hほどのスピードをキープ。というのも速度を上げてしまうとオープンデッキには暴風が吹き荒れることになるからだ。高知~後免間でデッキが閉鎖されているのも同区間で普通のダイヤに“乗る”為だが、この特殊なダイヤゆえに、後免~奈半利間では同じ普通列車でも所要時間に20分近くの差が出てしまう。ちなみに奈半利到着後に折り返し運用に就く際には、高速走行を行うためにデッキは閉鎖となる。決して意地悪で締め切っているわけではないのでご理解を。
下の写真は後免の次駅である後免町のホーム。土佐電鉄の路面電車が接続しており、高知市のヘソである<はりまや橋>まで直通しているのだが、駅数が過剰なために表定速度が遅く、インターアーバンとしての要件には全く以って応えられていない状態。「とでん」はLRTの夢を見る…のか!?
【動画】オープンデッキ車両の車窓から(後免町~のいち間を走行中)
《立田~のいち間で渡る物部川》
本格的な沿線紹介は、次回以降に譲ります。
(2008.07.19)
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