四国62h (1-10)安芸を巡る・その1
《安芸駅駅舎。物産直売所を併設している》
安芸でも時間を取って街歩きを楽しむつもりだが、時刻は午後1時半を回っており、まずは腹ごしらえ。安芸には「釜あげちりめん丼」という名物料理があり、市内に11軒ある黄色いのぼりの立った店で賞味することが出来る。駅前広場に面した場所にも一軒存在し、この猛暑の中で他の店を探して回るつもりにもなれないので、すんなりココに決める。
安芸では昔からちりめんじゃこがよく採れ、ご飯のおかずとして親しまれていたそうだが、これを名物料理として活かそうと地元の人の発案で誕生したのがこの「釜あげちりめん丼」。ご飯の上に茹でたちりめんじゃこと大根おろし等の薬味を載せただけという、素材の良し悪しだけがモノをいう実にシンプルな料理である。お好みでポン酢をかけていただくが、しらすの甘みと程よい塩加減、そして柚子ポン酢の風味とご飯の甘みが絶妙に絡み合い、なかなか…と舌を唸らせてくれる。
《海と山のコラボレーションや~》
ここは本来はお好み焼きの店で、「りすぼん」というケッタイな屋号がついていて由来は如何に…と首をひねっていたのだが、店主の奥様らしき人がラテン系っぽい方。ひょっとしてこの人がポルトガル出身なのかも。
昼食を済ませたらいよいよ街へ出陣。武家屋敷などのある観光エリアへは駅からは2km近く離れていて徒歩ではやや時間が掛かるので、駅舎内に併設された「ぢばさん広場」という物産直売所内の観光案内所でレンタサイクルを借りることにする。このレンタサイクル、驚いたことに無料で貸してもらえ、ごめん・なはり線の切符を呈示したりといった確認も不要。あまり遅くなると直売所が閉まってしまうために返却予定時刻を訊ねられたが、一応3時間と答えておいた。名前や住所を書く台帳の履歴を見たところ、結構旺盛な利用があるようだ。
ペダルを踏みしめていざ出発。駅から外れると、すぐに辺りは伸びやかな田園地帯に。真夏の太陽は容赦なく照り付けるが、開放的な風景に心まで解き放たれるよう。やがて家並みの間を抜ける路地へ入っていくが、こちらも道の脇を水路が流れ、なんとも情趣に富んでいる。
路地を抜けると、野良時計前の駐車場に出てくる。ここに自転車を置いて、ここからは徒歩で観光スポットを周ることにする。安芸市は『鯉のぼり』『雀の学校』『春よ来い』『叱られて』『靴が鳴る』といった誰もが知っている童謡を筆頭に数多の名曲を残した作曲家、弘田龍太郎(ひろた りゅうたろう)の出身地。これを記念して市内各所に計10基の歌碑が設置され、野良時計前には代表作中の代表作である『鯉のぼり』の碑が置かれている。
というわけで、安芸駅のイメージキャラクターも童謡の町にちなんで「あき うたこちゃん」。
こちらが安芸市のシンボルである『野良時計』。明治20年頃、この地の領主だった畠中源馬という人が時計に興味を持ち、アメリカから時計を取り寄せて分解しては組み立てるの繰り返しで仕組みをマスターすることに。その後、あらゆるパーツを全て自作してこの野良時計を完成させ、21世紀に至るまで正確な時を刻み続けることになった。2004年に管理者の方が亡くなり、その翌年に親族の協力によって再稼動を果たしているものの、この日は残念ながら6時頃を指して止まっていたのだった。
《野良時計》
当時は今のように一家に時計が何台もある時代ではなく、地域の住民はこの時計で時刻を知っていたのだとか。それだけに求知心の結晶であるこの精度を極めた時計は、住民にとって精神的支柱とも言える実に心強い存在だったはず。時計にかける情熱というのは洋の東西変わらないものなのだなぁ、と、ストラスブールの天文時計をふと思い出したのだった。
野良時計の前にはひまわり畑。三連休期間のわりにはあまり観光客の姿は多くないように感じたが、それでもここでは写真撮影にいそしむ人が沢山。
野良時計を背に武家屋敷方面へ。こちらは途中で見かけた運送会社のトラックで、後ろに馬路村のPRパネルを貼り付けている。こういう地域ぐるみでの応援というのはなんとも心暖まるものが。
小学校には二宮金次郎の像が。怪談のネタになるほどに日本人の間で常識化しているはずなのに、私は一度も見たことが無かったので、ある意味感慨深いものが。昔はどの小学校にもあったそうだが、戦前の修身教育を想起させるからとか、本を読みながら歩くのを真似すると危ないからだとか、消え去った理由については諸説あるようで。
こちらは『叱られて』の歌碑です。
次回は武家屋敷と安芸城から。
(2008.07.19)
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