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2010.01.11

05/10/12 (2)尾道にて・その1

福山から尾道へは、山陽本線の普通電車で19分。尾道には新尾道という新幹線の駅もありますが、なにせこの近さなので、新幹線の利用客はバス連絡となる新尾道駅は利用せず、《のぞみ》も停車する福山へ出るケースが殆どのようです。ちなみに尾道駅で発売されている新幹線の割引きっぷも、在来線の尾道-福山経由の設定となっています。

下の写真は尾道駅の表玄関となる南口駅舎。約15万の人口を抱える市の代表駅としては拍子抜けするほどのコンパクトさです。背後の山の上に見えるお城は尾道城といいますが、史跡ではなく観光用に造られたもの。こういう事情を知らない旅人を次々に誤解へと誘い込む、罪なヤツです。

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街をほっつく前に、駅前のビルにテナントとして入っている、「いのうえ」というラーメン屋さんで昼食とします。初めて尾道へ来た時にこの店に入りましたが、醤油ベースであっさり目の味付けながら、瀬戸内海で獲れる小魚でダシをとった旨味たっぷりのスープにたちまち虜となってしまい、以来尾道を訪れた際には必ず立ち寄る店となりました。現在は屋号を「たに」に変えているようで、店名変更後はまだ訪れていませんが、恐らく味は変わっていないはず。お値段が安く、そのぶん量も少なめなので、尾道ラーメンのハシゴに有利なのもグッドなポイントです。全国に数多あるご当地ラーメンのうちでも、尾道ラーメンはその個性の点で右に出るものはそうそう無いと思われますが、私はこの店の味が一番好きですね。

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《(上2枚)こちらは店名変更前の写真です》

尾道を訪問した経験はこれまでに4回。世間一般には大林宣彦監督の“尾道三部作”で知られているのでしょうが、私は一本も観たことがないので、先入観なしで純粋に「坂の街」の風情に心を惹かれました。その斜面のエリアは1回目の訪問時に一通り歩いたので、今日は尾道水道をはさんで対岸の向島(むかいしま)でたまたま公開中だった、『男たちの大和/YAMATO』のロケセットを見に行くことに。島へは渡船を使って自力で渡ることになりますが、往きは駅前から東へ200mほど歩いた先にある乗り場から出航する、「福本渡船」を利用しました。

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《乗り場へは尾道水道沿いのプロムナードを通って》

この付近での水道の幅は2~300mと「しょっぱい川」も同然なので、航行時間はたったの3分程度。自動車も載せられる比較的大型の船が運用されており、歩行者の運賃は60円でした。

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200m先の対岸に渡っただけで、此処はあの賑やかな駅前とはまるで別世界の住宅街。目の前を流れる川に沿って進んでいくと…

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日立造船向島西工場跡の入場門。そして今の期間は大和のロケセット会場への入り口となっています。入場料は大人500円・子供300円です。

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実際の会場へは工場跡の敷地内を無料送迎バスに乗って移動するのですが、2年前の2003年まで現役で操業していた造船所なので施設がそっくりそのまま残っており、なんだか社会科見学に参加したような気分です。

そしてこちらがロケセットの様子です。セットなので当たり前といえば当たり前なのかもしれませんが、メタリックな重厚感は全くなく、ハリボテ以上の何物でもありませんでした。これがスクリーン上では大迫力の戦艦に見えるのですから、編集技術というのは素晴らしいですね。私は劇場ではなくDVDで鑑賞しましたが、ストーリーは観たすぐそばから忘れてしまったものの、映画の出来を左右する戦闘シーンについては良く出来ていると感じました。本来は大海原を進み、敵の艦隊や戦闘機からの猛襲を受けているはずの戦艦ですが、甲板の上から見えるのは平和な尾道の街並み。このセットの上で戦闘員を演じる俳優さんも、気持ちを入れるのにはやはり大なり小なり苦労するものなのでしょうか。

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元造船所なので、セットのすぐ裏にはドックが。セットよりも、むしろこういった施設をじっくりと見学したかったナア。ちなみにこの造船所跡は、セット解体後に他社が借り受けて船体ブロックの製造所として操業を再開しています。

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会場では他に小道具やパネル展示、そしてスタッフや出演者が利用していた食堂がそのまま営業していたりしましたが、40分くらいで一通り見て回って会場を後にしました。このロケセット、約8ヶ月の予定だった公開期間が好評につき1ヶ月ちょっと延長となり、入場者数は最終的に100万人にも達したのだとか。尾道に思い入れの深い大林監督は、「映画の中でしか生きないセットを、金を取って商売にするとはナニゴトか」と苦言を呈したようですが、私自身の感覚では特に道義に反しているようには感じられませんし、入場料収入で尾道が多少なりとも潤うのならば、十分意義はあったのではと考えます。倉本聰みたいに上から目線の物言いになってしまうと困るものの、大林監督の信条はそれはそれで尊重したいところではありますが…。

送迎バスで入場門へ。尾道市街への帰りは、入場門のすぐ横から出航する「向島運航」を利用しました。歩行者と自転車・原付しか載せられない小型の船で、操舵室の屋根が仏塔のそれを模したデザインになっているのがユニークです。

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《(上2枚)向島側の乗り場に入ってくる船》

先ほど横を歩いた川を下っていき、福本渡船の乗り場をかすめて尾道水道へ。福本渡船の航路とはクロスするような形となり、尾道駅前の広場へ向けて針路を取っていきます。川を通る分だけ若干ながら航行時間は長く(約5分)、運賃も100円と割高でした。もっとも、駅へ行くのにはこちらの渡船の方が便利です。

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午後3時前、駅前の埠頭に到着。生活圏として尾道市街と完全に一体化し、複数の航路で本土と結ばれている向島ですが、2013年には現在のところ有料道路である尾道大橋が無料化される予定なのだとか。その頃には渡船群もどのように姿を変えているのでしょうか。

次回へ続きます。

(2005.10.12)

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