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2011.09.19

確かにプレミアム、「サザン・プレミアム」

今月の1日に南海本線・難波~和歌山市/和歌山港間にデビューした新型特急車両、『サザン・プレミアム』。和歌山に用事があるわけではないので当分試乗はお預けかな?と思っていたのですが、なんだか突然海が見たくなり、南海本線が海岸沿いを走る区間の手前にある、大阪府南端の尾崎駅まで乗ってみることにしました。



当日の朝に思い立ったため、自宅を10時過ぎに出て間に合う最初の列車である、13時15分発の指定席を難波駅の窓口で確保します。運用は曜日によって固定されており、時刻表は南海電鉄の特設ページにて確認可能(→こちらのリンクから)。平日は月~金の5パターンが存在しますが、土・日・祝日は1パターンに統一されて分かりやすくなっています。

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《今回使用した指定券。乗車券はICOCA利用なので指定券のみです》

12時58分着の和歌山市発サザン26号がそのまま折り返しのサザン25号となるので、それに合わせて改札内へ。

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《6番ホーム入り口》

一部指定席で運転されるサザンは8両編成。難波方4両がロングシートの自由席車両、和歌山方4両がリクライニングシートの指定席車両です。今回デビューした『サザン・プレミアム』の形式名は12000系ですが、この指定席車両とペアを組むのはこれまた通勤型車両では最新鋭の8000系電車。デビュー前にはわざわざ記事にしたくらいに自分の中では注目度が高かった車両ですが、元々南海は利用頻度が非常に低いわけで、何度もすれ違ってはその度に唇を噛んでいたのですが、営業開始から3年半も経ってようやく車内へ足を踏み入れることが出来ました。

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《(上2枚)相方の8000系電車》

ほんのちょっとだけ座席の坐り心地を味わい、いよいよ指定席車へ。フロントマスクはこの形式が8000系をベースにしているため、細部が若干異なるのみで特急列車としては地味な顔立ち。同じ路線にラピートという、デザインの奇抜さでは世界レベルで他の追随を許さない「永世チャンピオン」が存在するせいもあり、新型車両のワクワク感には欠けるような気がします。

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《フロントマスク》

こちらはサイドビューです。「SOUTHERN Premium」のレタリングが大きく書き込まれ、「今までのサザンとは一味違うのだぞ」とばかりに強烈にアピールしています。

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それでは車内へ。客室に入ってまず最初に感じたのが、あの新型車両独特の臭気が極端に少ないこと。この車両ではシャープのプラズマクラスター技術を採用した空気清浄機が設置されており、早くもその効果を発揮しているのでしょうか。シャープといえば関西系の電機メーカーとしてパナソニックと両雄であり、近年は南海沿線の堺市に世界最大規模の液晶パネル・ソーラー電池工場が誕生したことでも知られるようになりました。2008年に開業した京阪中之島線では、中之島に大阪本社のある東レの開発した新素材が新型車両のシートモケットとして採用されたという事例もありますし、今後は新型車両が沿線企業の一種のショールームとして活躍するという場面も増えていくのではないでしょうか。

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《客室仕切り扉には「空気を除菌中」との表示が》

客室全景です。

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シートは横4列。座席間隔は1,010mmとのことで、JR特急普通車の標準的なそれを上回っています。特に目を惹くのは大きなヘッドレスト。実用面もさることながら、隣席からの視線をシャットアウトし、プライベート感の演出にも一役買っています。今回の試乗では私の隣には終始誰も座りませんでしたが、混雑時にはヘッドレストの有無の違いは大きいのではないのでしょうか。

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テーブルの下にはカップホルダー、そしてPCやモバイル機器を使用するのに便利なコンセントも設置。N700系普通車のように窓側だけなどとケチくさいことは言わず、しっかり全席装備です。

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《両席のフットレストの間にあるのがコンセントです》

荷物棚の上には先述のプラズマクラスター空気清浄機が。1車両につき10台ほど付いています。家庭用の空気清浄機もよろしくネ!(by シャープ)

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座席に腰掛けると、南海のアピールどおり座面の広さが明確に実感できました。底つき感とは無縁のどっしりとしたシートで、上級クラスではない普通席としてはJR北海道のuシートと並び、総合的には国内トップクラスではないでしょうか。

そんなこんなで難波駅を発車。尾崎までは37分の短い旅です。発車前に車内を一巡したところ、お昼頃という時間帯もあって、たこ焼きやお弁当を持ち込んで食事をする人も目立ち、後4両の自由席車とはまるで別次元の世界。車内は和歌山市まで1時間という短距離特急とは思えないほどの優雅な旅気分に満ち溢れています。本日は岸和田だんじり祭りの開催日であり、指定席車最後部からは運転室を通してラッシュ並みの混雑となっている自由席車を眺めることができ、当方とのあまりの環境の落差になんだか気の毒に思えてしまうほど。車内設備についてもトイレや洗面所はもちろん、自動販売機コーナーや多目的室も用意され、これまた乗車時間を考えると破格のグレードです。座席の快適さも相俟って、1時間どころか所要2~3時間の運用にも充分耐えられるでしょう。JR各社の特急列車の普通車座席も是非これ位のレベルまで押し上げてもらいたいもの。

尾崎までの停車駅は新今宮・天下茶屋・堺・岸和田・泉佐野と結構こまめに停まっていき(尾崎以遠はみさき公園・終点和歌山市)、あまり特急らしさを感じられないのは新型車両でも同じ。南海電車はあまり線路の整備が念入りではないためか、座っていればともかく通路を歩いていると結構揺れて、オットットとふらつくこともしばしばです。泉大津~春木付近ではかなり速度が落ち、岸和田駅の混雑が影響して先行列車が遅れているのかなと思いましたが、確かに岸和田駅ホームは人波に埋め尽くされていたものの、尾崎駅には定刻通りに到着したため、所定のダイヤだったようです。もう一つ、泉佐野駅でトランクケースを携えた関空利用者が降りていったのは意外。あえてこの列車に乗らなくても、たった15分後に空港直通のラピートが続行してくるのですが…。

13時52分、予定通りに尾崎駅で下車。慌しく発車していく列車をホームで最後まで見送りました。この後は尾崎駅から歩いて海岸へ出て、猛烈な残暑の中、淡輪(たんのわ)駅付近まで海沿いを散歩しました。

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《尾崎駅にて》

2009年から終日に渡ってほぼ30分間隔で運転されるようになった一部指定席車のサザンですが、大阪-和歌山間では競合するJR阪和線とほぼ同等の運賃ながら、今回登場した『サザン・プレミアム』は500円の追加料金で利用できる車両として、なかなかのコストパフォーマンスを誇っているのではないかと感じました。かたやJRは今年3月のダイヤ改正で紀州路快速を昼間毎時3本から4本に増発したものの、日根野~和歌山間が各駅停車に。《くろしお》《オーシャンアロー》も南海特急に比べると相当割高ですし、どうにも後ろ向きの姿勢が目につくJRから今こそ客を呼び戻すリーサルウェポンとして、今後の活躍を大いに期待したいところです。あのラピートを前にするとどうしてもインパクトという点で損をしてしまうのですが、中味は確かにプレミアムでしたよ。


【動画】「サザンプレミアム」の車窓&車内放送。天下茶屋~堺間にて

(2011.09.18)


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コメント

・カッコイイから                                                     ・めっちゃきれい                                                   ・いっぱい乗りたい

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