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2012.01.20

タイ (1-11)天使の都、死の運河

BTS国立競技場駅で下車し、「Jim Thompson House」の案内表示に従って路地を北へ。そのジム・トンプソンの家、元アメリカの諜報員で後にタイシルクの事業で財を成した実業家、ジム・トンプソンが住んでいた家を博物館にしたもの。現在でも彼の名を冠したブランドはタイシルクのトップブランドとして世界にその名を轟かせている。

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《ジム・トンプソンの家・入り口》

…のだが、ここの内部見学はあまり好きではないガイドについて回る方式なので、今回の旅では時間の余裕がないこともあって華麗にスルー。敷地のすぐ北を流れるセーンセープ運河(Khlong Saen Saeb)へ。

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《セーンセープ運河。ジム・トンプソンの家の前から西方向を向いて》

水の都と称されるバンコクではあるが、バンコク都内を流れる川はチャオプラヤー川一本のみなので、残りはすべて運河か水路。このセーンセープ運河もバンコクの代表的な運河のひとつである。運河の畔に建つのは低層の住宅ばかりで、繁華街が隣接した地区とは思えないほどの静寂に包まれていた。

しかしこのセーンセープ運河、とにかく


破滅的に水が汚い


のである。上の写真のように遠目に見れば結構風情のある絵になるのだが、流れは淀みきっており、気のせいか水面がブクブクと泡立っているように見える。あまりの水の汚さに水面にカメラのレンズを向けるのも躊躇してしまうほどで、そしてほのかにドブ臭い。もし運河に落ちでもしたらきっとただでは済まないだろう。日本でも高度経済成長期の工業地帯なんかにはこのレベルの汚染された川などゴロゴロしていたのかもしれないが、時は21世紀。しかもここは東南アジア屈指の国際都市で、そのうえ外国人の目にも容易に触れる場所である。表層的には繁栄を謳歌するバンコクではあるが、何だか先進国と中進国の越えられない壁のようなものを痛切に感じてしまった。

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《上の写真とほぼ同じポイントから東方向を向いて》

とはいえ、なるべく水面を視界に入れないようにさえすれば、都会のエアポケットのような静かな散策道である。恐ろしいことにこの運河には定期ボートが運航されており、慢性渋滞の道路を避けての通勤・通学ルートとしても利用されているらしい。水しぶきがかかるだけでも肌の弱い人は腫れを起こすとかで、乗船中はビニールシートで必死にしぶきを避けるのだとか。なんちゅー乗り物なのだそれは。今は昼間ということもあってボートの姿を見ることはなかったのだが、そこまでしても通勤・通学時間の短縮にかける意気込みというものに、ある種の逞しさを感じてしまう。

岸辺を東へ歩いていくと、大通りをくぐるところで歩道が途切れてしまう。結局そのまま大通りを南下。早朝パヤータイ駅から乗車したBTSの高架を辿っていくと、すぐにバンコク随一のショッピングエリア、サヤームスクエアである。

(2011.12.09)


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