日付が変わり、断続的ながらも眠りに就く。途中、停車のショックで目が覚め、ホームでは真夜中にも拘らずかなりの音量で案内放送がかかってはいたが、遮音がしっかりしているので車内にはほとんど響いてこない。そして通過駅でも「ぽっぽや」が当方の列車を見送ってくれるのは、昼間でも丑三つ時でも同じ。鉄道の運行が数多くの人々によって支えられているというごく当たり前の事が、省力化の進んだ先進国の鉄道では実感が薄くなってしまった。保線状態の差か、南下するにつれて振動が激しくなったのは、気のせいだろうか。
夜行列車にしてはそれなりに満足に眠れ、何処かの停車駅にて二、三度目かの“覚醒”。まだ夜は明けていないのだが、やけに車内が騒がしい。夜行列車には防犯のために鉄道警察官が同乗しているそうで、昼間にも無線での交信を耳にしていたのだが、この時間からガーガーピーピーとやっている。これは徒事ではないな…とカーテンを開けて通路を覗き込むと、なんと乗客がみな降りる支度をしているではないか。茫然とする私に通路にいた乗務員が、クルマのハンドルを動かすジェスチャーをしてくれる。一言も言葉を交わしてはいないが、何らかの原因で列車の運転が抑止され、バスでの代行を実施するのだろうということはすぐに理解できた。突然のアクシデントで車内はバタバタしているが、私はとりあえずトイレへ。垂れ流し式なので本来は駅での停車中に使用してはいけないのだが、この非常事態なので仕方がない。トイレの前には短い列まで出来るほどで、後に列車が去った後にはかなりの量の「落とし物」が残されることにはなるが…。
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