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2012.03.09

兵庫の5駅、普通列車も通過… それがどうかしましたか?

ここは旅行記ブログですが、たまには気分転換にいつもと毛色を変えた記事を書きたくなります。さて、マスコミのダイジな仕事に「火のないところに煙を立てる」というのがありますが、今回はそんなお話。



『何っ、普通列車も通過? 兵庫の5駅、春のダイヤ改定で』

 JR西日本の春のダイヤ改定で、一部の時間帯に普通列車も止まらなくなる無人駅が兵庫県と京都府にできる。時間短縮が理由だが、山陰海岸ジオパークの世界認定など観光の追い風に乗ろうとしていた地元自治体は「出ばなをくじかれた」と怒り心頭だ。大河ドラマ「平清盛」のロケ地に近い駅もあり、「理解しがたい」と猛反発している。

 17日の改定で普通列車が通過するのは、山陰線の7駅と播但線の1駅、舞鶴線の1駅の、計9駅。兵庫県内では山陰線の玄武洞(豊岡市)、鎧(よろい、香美町)、久谷、居組(新温泉町)と播但線の長谷駅(神河町)が対象だ。通勤・通学や通院の利用者が多い朝夕は止まるが、それ以外の時間帯で間引き運転する。岡山や広島の一部路線で前例はあったが、関西では初めてだ。

 福知山支社によると、兵庫県内で対象になる5駅は1日平均の乗車人数が10~35人で、「スピードアップと利便性の向上」を理由に挙げている。だが県が調べたところ、短縮できる時間は山陰線の豊岡―浜坂で最大4分、平均0.7分だった。播但線の姫路―和田山では、行き違いの待ち時間増加などで逆に平均2.2分増えるという。

 地元自治体はJR側に撤回を求めて6回の協議を持ったが折り合わず、2月17日に井戸敏三知事と地元の市町長が全便の各駅停車を求める要望書を出した。県交通政策課の担当者は「県も市町も怒っている。ぜひ再改定を」と訴えるが、JR側は「1分でも短縮するのは大変」と譲らない。

 各駅周辺には58~327世帯の集落があり、観光への影響も懸念される。

 豊岡市、香美町、新温泉町は一昨年10月、山陰海岸ジオパークとして世界認定されたばかり。各駅周辺では観光地めぐりなどのツアーも盛んだ。鎧駅はNHKドラマ「ふたりっ子」のロケ地になるなど、高台の駅から日本海を一望する美しい景色で人気を集め、隣の余部駅までの遊歩道も整備されたばかりだ。

 香美町山陰海岸ジオパーク推進協議会長の清水浩仁・香住観光協会長は「高台から日本海を望む鎧駅は、降りてみたくなる美しいジオサイト。町民一丸となって盛り上げているジオパークの動きに水を差しかねない」と不満を募らせる。

 久谷駅と居組駅が対象になった新温泉町では、鉄道遺産巡りなどを予定している。岡本英樹町長は「昨年は山陰線100周年を記念してイベントも開いたのに」と残念がる。「利用者数などの統計の問題ではなく使いたいときに使えるのが地域交通。その担い手として地域のことを理解していない」と批判する。

 神河町の播但線長谷駅は映画「ノルウェイの森」や「平清盛」のロケ地・砥峰高原の近くにある。町は新年度予算にイベントやハイキング企画の予算を計上している。神河町観光協会の高橋修会長は「清盛ブームでイベントに力を注ごうとしていた矢先なのに、寂しい地域という暗いイメージになってしまう。どれほど影響が出るか」。

 福知山支社は「今後も協議は続けて、よりよい形にしたい」との姿勢を示している。今回のダイヤ改定では、昨年12月の発表以降、広島支社が芸備線など14本で沿線高校の要望を受けて一部ダイヤを見直している。(伊藤周)

(2012年3月9日・朝日新聞)


なんだかツッコミどころ満載という感じですが… ひとつひとつ見ていきましょうかね。


普通列車が通過するのは、山陰線の7駅と播但線の1駅、舞鶴線の1駅の、計9駅。兵庫県内では山陰線の玄武洞(豊岡市)、鎧(よろい、香美町)、久谷、居組(新温泉町)と播但線の長谷駅(神河町)が対象だ。通勤・通学や通院の利用者が多い朝夕は止まるが、それ以外の時間帯で間引き運転する。


もう既にこの二段落目で結論が出ているのですが、これらの9駅は通勤・通学・通院以外の利用が殆どないということですね。利用のない時間帯は列車を停めても仕方がないわけですから。あと、列車自体は運行されているわけですから「間引き運転」という表現は不適切です。昨年の今頃震災関連のニュースで頻出したワードなので、ネガティブなイメージに乗っかりたいという意図があるのでしょうが。


福知山支社によると、兵庫県内で対象になる5駅は1日平均の乗車人数が10~35人で、「スピードアップと利便性の向上」を理由に挙げている。だが県が調べたところ、短縮できる時間は山陰線の豊岡―浜坂で最大4分、平均0.7分だった。播但線の姫路―和田山では、行き違いの待ち時間増加などで逆に平均2.2分増えるという。


「最大4分の短縮のためにこれらの駅を犠牲にするとはナニゴトか!」というニュアンスなのでしょうが…。「1日平均の乗車人数が10~35人」ならば定期客、具体的には通学の高校生がほぼ全てでしょうね。で、豊岡―浜坂間って50kmしかないのですが、普通列車で4分の短縮というのは相当なスピードアップですよ。山陰本線のこの辺りだと普通列車の車両は国鉄時代の旧型ディーゼルカーで、加減速性能は極めて劣るのですが、それでも新型車両の導入や線路の改良といった大掛かりな設備投資なしでここまで短縮できるものかと、正直驚きましたね。平均0.7分とはおっしゃいますが、普通列車といえども、日常的に利用するならばたとえ1分でも所要時間が短い方が望ましいのは言うまでもありません。皆さん、いつも乗る列車が1分早く着くとなったら素直に嬉しいでしょ? ちなみに海外の鉄道では、駅での乗降がある時だけ停車する、「リクエストストップ」というシステムがあります。合理的でいいシステムだと思いますが、なぜか日本で導入が検討されるという話はとんと聞きませんね。

そして播但線の方ですが、こちらは今春のダイヤ改正で山陰線・播但線の地上設備改良工事の一部完成に伴い、特急《はまかぜ》の大幅なスピードアップが盛り込まれています(→福知山支社のプレスリリース)。「はまかぜ3号」の大阪-香住間15分短縮を筆頭に、全列車の平均で7分の短縮とのこと。行き違いの待ち時間増加というのは特急のスピードアップのしわ寄せを受けているのでしょうが、そもそも《はまかぜ》は兵庫県民のための列車なわけですし、一方的に割を食っているとはいえない。というか、ローカル列車の所要時間増加云々を論じるのならば、特急のスピードアップというメリットの話も併せて添えないとフェアではないでしょう。ここは明白にバイアスがかかっている部分といえます。


地元自治体はJR側に撤回を求めて6回の協議を持ったが折り合わず、2月17日に井戸敏三知事と地元の市町長が全便の各駅停車を求める要望書を出した。県交通政策課の担当者は「県も市町も怒っている。ぜひ再改定を」と訴えるが、JR側は「1分でも短縮するのは大変」と譲らない。


前の段落との重複になりますが、今春の改正では特急の大幅なスピードアップという目玉があるわけです。神戸・大阪との往来では大きな恩恵を受けますし、ローカル列車に関しても通勤・通学時間帯の利便性は低下しません。喜びこそせよ、怒るほどのことですかね。あと、「1分でも短縮するのは大変」というのはその通りです。福知山線脱線事故以降、マスコミ君に「いじられキャラ」のレッテルを貼られてしまったJR西日本ならば尚更でしょう。井戸さんは嫌いじゃないですが(隣の府知事がスカタンだけに)、「木を見て森を見ず」なのはどうかと。

というわけでとっくに記事の論旨としては破綻しているわけですが、ここでローカル線のとっておきの切り札、「観光客」に登場して頂くことにしましょう。


 豊岡市、香美町、新温泉町は一昨年10月、山陰海岸ジオパークとして世界認定されたばかり。各駅周辺では観光地めぐりなどのツアーも盛んだ。鎧駅はNHKドラマ「ふたりっ子」のロケ地になるなど、高台の駅から日本海を一望する美しい景色で人気を集め、隣の余部駅までの遊歩道も整備されたばかりだ。

 香美町山陰海岸ジオパーク推進協議会長の清水浩仁・香住観光協会長は「高台から日本海を望む鎧駅は、降りてみたくなる美しいジオサイト。町民一丸となって盛り上げているジオパークの動きに水を差しかねない」と不満を募らせる。


山陰海岸ジオパークと一口にいっても、京都府の丹後半島から鳥取砂丘までと範囲は非常に広いわけですが、うーん、こういう交通が不便な地域って、電車やバスだけで訪れる人というのは非常に少ないんじゃないでしょうかね。「ふたりっ子」のロケ地ったって一体何年前の話やねん!という感じですが、あの餘部鉄橋の架け替えの時も、車で訪れる人が殆どだったわけです。もちろん駅まで列車で来てレンタカーで周る、というというのも便利な手段のひとつですが、それにしたって特急が停車するような拠点駅、例えば豊岡・城崎温泉・香住・浜坂を利用すればいいわけです。寧ろ、わざわざ普通列車で観光に来てくれる“好事家”を加味してなお、一部列車通過の措置がとられるほど利用客の減少が深刻化しているのが問題なわけで。


 久谷駅と居組駅が対象になった新温泉町では、鉄道遺産巡りなどを予定している。岡本英樹町長は「昨年は山陰線100周年を記念してイベントも開いたのに」と残念がる。「利用者数などの統計の問題ではなく使いたいときに使えるのが地域交通。その担い手として地域のことを理解していない」と批判する。


で、田舎の町長さんの言い分は、「利用者数などの統計の問題ではなく使いたいときに使えるのが地域交通」だそうです。まあ、これが第三セクターの路線ならばおっしゃる通りで住民以外がとやかく口を挟む余地はないのですが、山陰本線は純民間の営利企業が運営していますよね。もちろん公共交通機関である以上、可能な限り公共性を第一義に考えなくてはならないわけですが、かといって沿線住民の意向を何から何まで受け入れられるわけでもありません。少なくとも乗客の減少はJRの責任ではありませんし、この辺りの路線が採算ベースからは程遠いのは確かなこと。あんまり高圧的な物言いをしていると、

「特急の重要性は理解しているし、ローカル列車も地域の大事な足だから出来得る限り維持しようと努力を重ねてるんだけど… そもそもドル箱のアーバンネットワークとほぼ同じ運賃では大赤字だよ。どうせ儲からないし、じゃあいっそのこと路線ごと廃止にしちゃうよーん」

と返されちゃいますよ。


 神河町の播但線長谷駅は映画「ノルウェイの森」や「平清盛」のロケ地・砥峰高原の近くにある。町は新年度予算にイベントやハイキング企画の予算を計上している。神河町観光協会の高橋修会長は「清盛ブームでイベントに力を注ごうとしていた矢先なのに、寂しい地域という暗いイメージになってしまう。どれほど影響が出るか」。


こちらもジオパークへのアクセスと同様の話ですが、砥峰高原(※とのみねこうげん、と読みます)の最寄り駅は長谷駅ではなく、姫路からの普通列車が折り返し、《はまかぜ》も停車する寺前駅ですね。バスやホテルの送迎車もすべて寺前駅を発着しており、寺前以南とは列車の本数が大幅に減り、しかも姫路方面からだと必ず寺前駅での乗り継ぎを介することになる長谷駅をわざわざ利用する観光客はいません。「寂しい地域という暗いイメージ」とは随分自意識過剰ですねぇ?と茶々を入れたくなりますが、そもそも観光客を人質に取ろうにも実体のない「バーチャル観光客」なのですから、論拠にはなり得ません。まぁ、私は砥峰高原は「ノルウェイの森」「平清盛」のロケ地になる前に何度か訪れていますし(車でですが)、実際日本離れした風景の広がる、魅力的な観光地ではあります。ブームになっているかどうかはいざ知らず、知名度が上がる前に行っておいてよかったです。大丈夫、長谷駅通過の観光客への影響はゼロだと保証しますから! まさかとは思いますが、くれぐれもイベントが失敗した時の弁明の材料に使おうなんて考えないようにね。


今回のダイヤ改定では、昨年12月の発表以降、広島支社が芸備線など14本で沿線高校の要望を受けて一部ダイヤを見直している。


で、最後に「こんな例もありますよ?」と示してはいるのですが、だから最初から今回のケースでは通学時間帯は現状維持、って言ってるじゃないですか。「平清盛」「山陰海岸ジオパーク」というキャッチーなフレーズが使える!と思って見切り発車で書かれた記事なのでしょうが、やっぱり書き出す前に実情を精査した上で吟味しなきゃダメですね。というか、鉄道関連の記事って新聞・テレビの記者にしろ専門家(自称含む)にしろ、とにかく粗が多いという印象です。今回の記事が誰の方を向いて書かれたのかは知りませんが、見る人が見れば分かっちゃいますし、ミスリードは良くないですよ。

以上、兵庫県民の独り言でした。

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【追記】
2013年春のダイヤ改正で、当該列車は停車駅はそのままで、快速へと種別変更されることになりました。
朝三暮四を地で行くような話ですね。



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コメント

2日後のダイヤ改正で各駅停車でない普通列車が…。

平均速度をごまかすために一部の駅を通過する普通列車が運行されるようになったのですか。
もしこどもが「普通列車が一部の駅を通過する光景を見るのは気持ちいい」といったら…。

はじめまして、検索から来ました。各種報道を見ていると、不便になるから反対するのではなく、普通列車が通過することにより『普通列車が通過すると、地元駅のメンツが潰れるから反対している』だけのようにも見えてきました。列車の通過はやめてほしいと声高に上げている人たちが、その列車を利用する気が果たしてあるのかどうか、疑問に思えてきます。

ただ、こうなることはある程度予想できたことですので、通過駅のある列車を「快速」に格上げしておけば、カモフラージュにできたのかもしれませんね。1~3駅しか通過しない快速は他地域にもありますし、JR九州の「快速くまもとライナー」も事実上普通列車の通過化(通過駅の実質減便)のような列車ですが、種別を「快速」にしたためか騒がれた様子はありませんでしたから。

しR酉日本 さま

初めまして。コメントいただきありがとうございます。

私も今夜の『キャスト』を録画で見ましたが、1ヶ月も前に先行した朝日新聞の記事の丸写しのような内容でしたね。メンツといえば、津山線の急行《つやま》も快速との差がほとんど無いような列車にも拘らず、津山市に優等列車が来なくなるのは恥だから、という理由で残されたと聞いています。こういった列車の停車駅と地域のメンツ…というか格の同一視という現象は地方特有のものかと思いきや、大都市圏でも京急蒲田のエアポート快特通過騒動なんてものもありましたし、合理性では処理できない感情のもつれというのは厄介ですね。地方交通、特にこういった過疎地域のものは、沿線住民を挙げて意識的に利用していかなければ、常に存廃の瀬戸際にあるわけですから。高齢者をはじめとした交通弱者の切り捨てになる、という主張は一見正当なようにも思えますが(新温泉町の町長も露骨にそんな事を言っていました)、実はその切り捨てに加担しているのは、普段は利用しないのにこんな時だけ騒ぎ出す人だったりするのですよね。

>通過駅のある列車を「快速」に格上げしておけば…

小駅を通過する普通列車なんて国鉄時代から幾らでも存在しましたので、敢えてこの事については言及しなかったのですが、やはり「各駅停車であるはずの列車が通過するなんて!」という誤解が過剰な反応を生んでいる、という面は大きそうですね。というか、この朝日の記事や『キャスト』の特集自体がそういった誤解へと誘導しているのですから始末に負えません。京都新聞のように事実を淡々と伝える、足が地に着いた記事ならばともかく(オンラインのものはもう消えてしまいましたが)、実情を無視して怒り心頭だの猛反発だのと焚きつけるような報道姿勢には憤りを覚えます。

お返事ありがとうございます。

「普段は利用しないのにこんな時だけ騒ぎ出す人」

そうですね、この手の人たちに、強烈な違和感を覚えています。

別の問題ですが、神戸電鉄粟生線の存続問題に関するアンケートひとつ取っても、「利用する気はないが、廃止はしてほしくない」とアンケートに答えた人が少なくないとか…どこに筋があるのでしょうか、正気の回答とは思えません。

余談ですが、小駅を閑散時間帯に1~3駅程度通過する列車は既に同じJR西日本の姫新線や因美線でも設定されていて、これらの列車は全て「快速」として運行されています。ならば、なぜ今回のダイヤ改正では、姫新線や因美線の快速と同じ性質の列車を「快速」とせず「通過駅のある普通」にしたのか?という疑問が浮かんできたりもしますが、恐らく「それはそれ、これはこれ」なのでしょう。

いずれにしても、関東圏と違って「普通列車に通過駅がある」ということに馴染みの薄い関西ならではの話、という感じもしますし、報道側の人間にもそういう感覚や認識があるから煽っている、そういう感じもします。

確かに、一部の普通列車が通過となったものの、一応特急列車が一定本数運行されていて、路線自体の存続が危ぶまれているほど過疎っている、という訳でもない沿線の話であることが、せめてもの救いであるような気もします。

しR酉日本 さま

こんにちは。

>「利用する気はないが、廃止はしてほしくない」とアンケートに答えた人が少なくないとか

マ、マジですか…。これは憶測ではありますが、こういった意見の裏には、「鉄道地図から路線と地名が消えてしまうことへの危惧」みたいなものがあるのではないかと。三陸の被災路線のBRT化の論議があれだけ紛糾しているのも、いくら閑散路線とはいえ、地図に載った一本の線がもたらす経済効果を重々承知しているからでしょうね。もちろん、虫のいい話以外の何物でもないわけですが。

>「普通列車に通過駅がある」ということに馴染みの薄い関西ならではの話…

私は福知山線沿線在住なのですが、過去には北伊丹・草野・南矢代あたりを通過する普通列車も存在したそうですし、現在でも有名どころでは伯備線の布原とか、最近駅ごと廃止になりましたが神戸電鉄の菊水山など、関西圏でも決して皆無という事例でもないのですよね。とはいえ福知山線の例は客車時代の話ですし、布原・菊水山も1駅通過するだけで、今回のように複数の通過駅が存在して尚且つ種別は普通のまま、というケースは確かにニュースバリューとして大きいのかもしれません。そもそも我々のような愛好家はともかく、今回俎上に載っている路線の沿線住民・読者/視聴者・報道側の人間いずれも、自分の生活圏以外の路線の運行形態など知る由もないですからね。あえて種別を据え置いたJR西の思惑やいかに…という所ですが、無用な混乱を招いたという点では落ち度と呼んでも良いかもしれません。

>路線自体の存続が危ぶまれているほど過疎っている、という訳でもない…

播但線や山陰本線の城崎温泉以東はともかく、城崎温泉~鳥取間の自治体の人口は、両端の豊岡市と鳥取市を除けば4万7千人ばかり(兵庫県香美町・新温泉町、鳥取県岩美町)なんですよね。幹線としての機能を失ったという点で智頭急行開業が大きなターニングポイントになったのは確かですし、これまで「企業努力により顕在化しなかった危機」を見つめることを怠っていた人々も、JR任せではなく当事者として路線を守っていくという自覚が芽生えるのならば、この騒動も価値があったのではないかと考えています。

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