マレーシア (3-9)マラッカ旧市街その4(マラッカに沈む夕日が見た~い!)
丘の上の展望台からマラッカ海峡を見渡す。砂漠を越えて山を越え…という有史以来の陸のシルクロードの方は完全に衰退して久しいが、かたや海のシルクロードの方は現代では大型のタンカーやコンテナ船が絶えず行き交い、その歴史上最も重要な時代を迎えている。物流や石油・LNGといったエネルギーの大動脈であるマラッカ海峡は、まさしく日本の人口1億2千5百万、ひいては極東地域すべての生命線と呼んでも過言ではない。日本では3・11以降の反原発ヒステリーの所為で化石燃料からの脱却どころか、中東諸国に散々足元を見られながらもますますその依存度を深めており、比例してこのマラッカ海峡の重要性も上がっているのは皮肉と言う他ないが。
で、肝心の夕日はといえば… 日没の20分程前の状況はこの通り。
水平線をぶ厚い雲が覆い隠しており、望みは完全に絶たれてしまったようである。ここからは見えないが約80km沖にはインドネシア領のスマトラ島があり、2004年のスマトラ島沖地震の際にはこの島が巨大な防波堤の役割を果たし、マレーシアを大津波の被害から守ってくれた。ここから眺める穏やかな風景とは裏腹に、ソマリア沖と並んで海賊被害が多発する危険海域でもある。
上の写真から15分経っても状況は変わらず。
沈む夕日が見られないと分かっていても展望台を離れる気にはなれず、そのまま立ち尽くしていたのだが、恐らく雲の向こうに落ちて行ったであろう太陽を見届けたところで、丘をオランダ広場方面へ下っていく。その坂道の途中、何処かのモスクのスピーカーが流すアザーンの声が夕闇迫る旧市街に朗々と響き渡るのを耳にする。イスラムの礼拝は一日5回行われ、これは一日のうち4回目の日没時、「マグレブ」と呼ばれる時間に合わせたもの(*注)。バンコクのルブアでも日没時、バルコニーでアザーンが微かに聞こえてくるのを確認していたのだが、さすがイスラム国のマレーシア、その存在感は段違いである。ずっと聞きたかったコレを体験することが出来ただけでも、マレーシアへやって来た甲斐があるというもの。
注:北アフリカのイスラム圏がマグレブ地域と呼ばれているのも、イスラムの中心地である中近東から日が沈む方向、西に位置していることに由来。
【動画】マラッカ旧市街に響き渡る、マグレブ時のアザーン
スタダイス前の階段を下り、オランダ広場へ。夜を迎え、広場を囲む建物ではライトアップが始まった。
こちらはマラッカ川。相変わらずリバークルーズ船が頻繁に走っているが、日が落ちてだんだん涼しくなってきたこともあり、ちょいとナイトクルージングと洒落込んでみることにしよう。
リバークルーズ船の乗り場はオランダ広場前の橋からやや下流に行った場所にあるが、この間のウォーターフロントはウッドデッキが敷かれたり、夜になると電飾が施されたりと、美しく整備されている。
次回はリバークルーズ船にて。
(2011.12.14)
« マレーシア (3-8)マラッカ旧市街その3(サンチャゴ砦/セント・ポール教会) | トップページ | マレーシア (3-10)マラッカ旧市街その5(マラッカ川のナイトクルージング) »
« マレーシア (3-8)マラッカ旧市街その3(サンチャゴ砦/セント・ポール教会) | トップページ | マレーシア (3-10)マラッカ旧市街その5(マラッカ川のナイトクルージング) »
コメント