マレーシア (4-5)近代と現代の交叉点~ムルデカ・スクエアにて
マスジッド・ジャメからムルデカ・スクエアへ向かう。ここからの一帯は「マレーシア (2-6)クアラルンプール駅にて」の項で触れたように、イギリス統治時代の歴史的建築が豊富に残るエリアとなっている。マスジッド・ジャメのすぐ西側にあるのが、こちらの旧市庁舎(The Old City Hall)。
旧市庁舎の前にある印象的な大樹。
後述するゴンバック川に架かる橋を渡り、ムルデカ・スクエア(Merdeka Square/Detaran Merdeka)に到着。日本語では「独立広場」となるが、1957年8月31日、マレーシアの前身であるマラヤ連邦がイギリスから完全な独立を達成し、約450年間続いたヨーロッパ列強の植民地時代に終止符が打たれた。この広場はその宣言が行われた場所である。毎年開催される独立記念日の式典の会場でもあり、最近(執筆時点)では2012年4月下旬に起こった、公正な選挙を求める大規模デモの舞台となったのが記憶に新しい。広々とした広場には一面に芝生が敷き詰められており、今まさにクアラルンプールのど真ん中に立っているのだと感慨深いものがある。
《ムルデカ・スクエア(南側から北を向いて撮影)》
通りをはさんで東側に隣接するのが、「スルタン・アブドゥル・サマド・ビル(Sultan Abdul Samad Building)」。イギリス統治時代は行政府の庁舎として使われており、現在は最高裁判所なのだとか。
広場の南端には、世界一の高さ(100m)を誇る国旗の掲揚塔が立っている。
西側に建つのは「ロイヤル・スランゴール・クラブ(Royal Selangor Club)」。イギリス統治時代ムルデカ・スクエアはクリケット場で、この建物はそのクラブハウスとして建てられたそうだ。
東・南・西と見てきたので、最後に北側の「セント・マリー聖堂(Cathedral of St. Mary The Virgin)」を。
スルタン・アブドゥル・サマド・ビルをちょっと引いた所から。椰子の木が南国を感じさせます。
このように歴史的建築と現代の建築が渾然一体となった景観がみられるムルデカ・スクエアである。下の写真、スルタン・アブドゥル・サマド・ビルの時計塔とKLタワーに並んで、真ん中辺にペトロナス・ツイン・タワーの頭がちょこんと見えているのがお判りでしょうか?
《KLのシンボル揃い踏み?》
マレーシア第2の大手商銀、「CIMB」のビルの屋上にはタコが鎮座している。同銀行のマスコットキャラクターらしい。
広場の南西側にある「クアラルンプール記念図書館(Kuala Lumpur Memorial Library)」。
そのすぐ東隣には「Kuala Lumpur City Gallery」という、ガイドブックには言及のない建物が。最初はスルーするつもりだったのだが、この前の通りでスタッフが観光地図を配っており、「寄ってって下さいな」と誘われたので急遽入ってみることにした。どうやら最近オープンしたばかりのようだ。
入場料は無料。中ではクアラルンプール中心部を再現した大型模型や、過去のKLの街の写真や史料が展示されていた。そして昨日スリアKLCCでクラフトアートを購入した『ARCH』の支店がここにも。結構街なかのあちこちに出店しているようだが(シンガポールにもあるとか)、店員さん曰く、ここが最大規模の支店らしい。工房が併設されており、ガラス越しに制作の様子が見学できるようになっている。
20分弱の滞在の後に再び表へ出ると、しばらく上がっていた雨が小降りながらまた降り出してしまった。気を取り直してムルデカ・スクエア南東の角からLebuh Pasar Besar(セントラルマーケット通り)を東へ。すぐに川を渡る橋に出るが、この橋の上から北側に見える、現在マスジッド・ジャメが構えるクラン川とゴンバック川の合流点がクアラルンプールの発祥の地である。実はKLの街の歴史は思ったよりも浅く、19世紀中盤にこの地でスズが発見され、中国人がジャングルを開拓して定住し始めたのがその興り。クアラルンプールの意味は「泥んこの川の合流点」で、この場所が街の名前の由来にもなっている。クアラルンプールが急速に成長したのも、第二次世界大戦後に連邦の首都に制定されてからだそうだ。
(戦前:人口約10万人 ⇒ 現在:人口約170万人/都市圏人口約720万人)
《KL発祥の地、ゴンバック川(左)とクラン川(右)の合流点》
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次回はチャイナタウンへ向かいます。
(2011.12.15)
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