シンガポール (1-4)マリーナ・ベイ・サンズで盛大に迷う
カジノを訪れた後は、ショッピングモール『The Shoppes At Marina Bay Sands』を散策。最下層のB2の中央には水路が引かれており、この水路を「サンパン」と呼ばれる手漕ぎの小舟で遊覧することが出来るようになっている。もう営業時間が終了しているのか、そもそもお客さんが居ないのか、散策中一度も舟が走っている様子は見られなかったのだが、私は… ちょっと周りの視線からは耐えられそうにないかも。ちなみに2人乗りだそうです。
*サンパンライドの営業時間は11時~20時。この時間は20時20分頃だったので、もう終わっていたようです。
《(上3枚)サンパンが走る水路》
ショッピングモールからホテルのロビーへ向かおうとするのだが、館内の案内サインがデザイン優先で分かりにくく、迷って同じエスカレーターを上がったり下がったり。世界中どこへでも独りで行く私なので方向感覚には抜群の自信があるのだが、なんだかそれをも打ち砕かれそうな体験だった。
そんなわけでどうにかロビーへ。下の写真のように、水平方向・垂直方向共に一つの空間として貫く、巨大な吹き抜けとなっている。
《(上2枚)マリーナ・ベイ・サンズ ホテル棟ロビーにて》
このようにハードとしては目を見張るものがあるのだが、その一方で実際に宿泊した人によると「まだまだソフトが追いついていない」との弁。そういえば2ヶ月ほど前のBS朝日『いま世界は』で、バンコクへ進出したホテルオークラの密着リポートが放映されており、日本流とタイ流を融合させた「おもてなし心」を徹底的に叩き込む様子に高いマネジメント性を見たものである。「貧すれば鈍する」という言葉に象徴されるように短所ばかりが目立つようになった今日この頃ではあるが、それでもハイクオリティな工業製品にしろ、高付加価値の農産物にしろ、質の高いサービスにしろ、痒い所に手が届く精神の細やかさは日本人ならではのもの。この日本人のDNAに刻み込まれた「Natural Born OMOTENASHI」を最大限に活かすのが、グローバル化の奔流に否応なしに取り込まれる日本がこの先唯一生き残る道なのでは、と感じている。
ホテル棟のてっぺんにあるテーブル状の庭園には展望台があるのだが、一般客の入場は有料らしいので今日は雨天ということもありパス。このマリーナ・ベイ・サンズやこれから訪れるセントーサ島、そしてナイトサファリもそうだが、シンガポールの観光スポットといえば押しなべて「ハコモノ」ばかり。何をするのにもまず先立つものが必要ということで、楽しもうにも興が削がれてしまう。私は街をただ歩いているだけでジンジンと伝わってくる空気を味わいに異国の旅に出るのだが、それがこのシンガポールでは実に希薄。クリーンなイメージを取り繕ってはいるが、概してモラルの低い国民を微に入り細を穿つような法律で縛り付けるガチガチの独裁国家というのが、シンガポールの実情だ。石原慎太郎氏や橋下徹氏といったジャパニーズ・イディオットの幇間ポピュリストには人気のある国のようだが、私は日本がシンガポールから学ぶべき姿勢は何一つとして無いと考えている。
ひねくれ者の私は1ドルたりとも落とさなかったのだが、めぼしい施設は一通り回ったことだし、そろそろホテルへの帰途へ就くことにする。館内でゲットしたマリーナ・ベイ・サンズのパンフレットには、MRT南北線マリーナ・ベイ駅およびサークル線プロムナード駅へ向けて12時から22時まで30分毎に運行される(※平日は15時半・16時・16時半の便はなし)シャトルバスの案内が挟まっていたのだが、時刻表のみで地図がなく、肝心のバス乗り場の場所がさっぱり分からない。ホテルの地下にバスのデポを見つけたもののそこではなかったりと結構探し回った挙句、諦めてプロムナード駅まで徒歩で戻ることに。後ほどこの案内をじっくりと眺めていると、下の方に小さく「Sands Expo and Convention Center drop-off」と書かれていたのだが、これではいくらなんでも不親切だろう。ちなみに私の訪問の翌月となる2012年1月にサークル線の支線が開業し、マリーナ・ベイ・サンズ直下に「ベイフロント(Bay Front)」駅が開設されたため、この情報も既に過去のものである。
疲れた足を引き摺りながらプロムナード駅へ。駅構内のセブンイレブンで買い物を済ませておく。旅先での買い物といえば飲み物中心なのだが、マレーシアと物価を比較してみたところ、額面が同じで通貨単位だけが変わったという印象。マレーシア・リンギットとシンガポール・ドルのレートは25:62なので、ざっと2.5倍といったところである。うん、長居は無用ですな。
オーチャード駅までの切符を購入し、改札を抜ける。シンガポールのMRTではチケットは完全IC化されており、一回券もクレジットカードサイズの非接触式ICカードとなっている。それはそれでいいのだが、実はこの一回券、下車駅で改札を出場する際もタッチするだけなので、カードがそのまま手元に残ってしまう。カードには1ドルのデポジットが上乗せされており、自動券売機に挿入するとそのデポジットが払い戻されるのだが、なぜ改札機で回収せずにこのような煩雑な作業を強いられるシステムになっているのだろうか(回収スペースの制約の関係ならば、台北やバンコクのMRTのようにトークンにするという方法もあるはず)。この返却作業をサボっているとあっという間にカードコレクターになってしまうため、毎回カード返却→チケット購入と2回の操作が習慣になってしまった。聞く所によるとソウルの地下鉄でも同様の問題が発生しているらしく、回収作業を乗客自身に行わせて“効率化”を図るというのは、如何にもお勉強しかしてこなかった小頭の良い人間が考えそうなもので。このようなユーザーの利便性を無視した施策を強行するところなど、さすがに管理国家の面目躍如…といったところだろうか。
途中ドービー・ゴート駅での乗り換えの際、エスカレーターで目の前にやたら露出度の高い若い女の子が。20年以上前の日本のバブル期にいたような格好をしており、品が全く無いのでただのビッチにしか見えず、只々苦笑いである。同じ華人社会の都市国家である香港ではお洒落な女の子が多かったような気がするが、シンガポールはどうだか…ねぇ。
スコッツ・ロードを彩るクリスマスイルミネーションを眺めつつ、我が城へと帰還。マリーナ・ベイ・サンズと同じ高級ホテルという括りではあるが、品格が違うのだよ、品格が。メインロビーではピアノの生演奏が行われており、その美しい調べに耳を傾けていると、心まで解きほぐされていくようだ。
《夜のグッドウッド・パーク・ホテル タワー・ウイング外観》
今回の旅最後の入浴を済ませ、デジカメ写真の整理をしながらセブンイレブンで買った「シンガポール・スリング」でささやかな乾杯。100年ほど前にラッフルズ・ホテルのバーで誕生したカクテルのことで、今では世界中で愛飲されているシンガポール名物の一つである。私も今回が初体験だったのだが、ベースのジンはともかくチェリーブランデーの味がきつく感じ、下戸の私にはちょっと口に合わなかった。元々女性でも飲める口当たりのよいカクテルが欲しい、という経緯で考案されたそうなのだが、どうやら私はその女性未満のようである。ホテルのバーで飲むとそれなりの値段がするので、500円ほどの出費で良し悪しが判断できたのはラッキーだった。
《市販版のシンガポール・スリング》
そんなわけでマレー半島を曲がりなりにも縦断した長旅も、いよいよ明日一日を残すのみ。最後の最後で扁桃炎再発、なんて不幸はどうか起こりませんように…!
今日の歩数カウント:24,660歩
(2011.12.16)
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