シンガポール (2-1)このろくでもない一日が
12月17日、土曜日。この旅も現地滞在は本日が最終日である。今日はスケジュールが詰まっていないため、午前8時といつもよりもかなり遅い時間に起床。カーテンを開けると、柔らかな朝の光が射し込んできた。何を当たり前の事を書いているんだ?と怪訝に思われたかもしれないが、10年前にシンガポールで滞在したホテルの部屋には窓が無く、朝も夜もなかったのである。宿泊費の高いシンガポールでは、リーズナブルに滞在しようと考えると必ずどこかで妥協点を見出さなければならないのが難点だ。
ちなみに最終日まで扁桃炎の再発は無かったが、本文にはあまり書いていないものの旅行中を通じて喉にちょっとした刺激が加わる度に咳き込んでおり、その咳のせいでなかなか寝付けなかったりと、決して快適な旅ではなかったことは書き添えておきたい。
メインロビーを抜けた先にある、タワー・ウイングの「コーヒーラウンジ(Coffee Lounge)」でビュッフェの朝食をいただく。料理のラインナップについては無論文句のつけようもなし。今日は飛行機の出発時刻(深夜1時30分)までガッツリ動き回るつもりなので、しっかりと英気を養っておく。
朝食後に腹ごなしを兼ねて、昨夕に引き続きホテルの敷地内を散策してみた。まずは建物を出て私の部屋のあるメイフェア・ウイングの北側に面した庭へ。メイフェア・ウイングは何の変哲も無い3階建ての鉄筋コンクリート製の建物だが、ホテル敷地を取り囲む建物がみな高層建築ばかりだけあって、ここでは逆に異質な存在である。
バックヤードみたいな場所を通り、敷地内に隣接したグッドウッド・パーク・ホテル系列の中級ホテル、「ヨーク・ホテル(York Hotel)」が見える所へ。中級とはいっても、ルームチャージだけで余裕で1泊1万円超えちゃうんだよねぇ。これならちょっと足して本丸のグッドウッド・パークに泊まった方が総合的な満足度は高そうだ。
《ヨーク・ホテル》
こちらはコーヒーラウンジ前の風景です。
ロビー・ウイング中心の中庭へ。今朝は雨が降っていないので、プールで遊ぶ人が沢山。まさしく都会の真ん中のリゾートという感じです。
ロビー・ウイングとメイフェア・ウイングに挟まれた中庭にもプールがあり、こちらはバリ島をイメージしたという熱帯植物に囲まれたこぢんまりとした空間。メインプールにも増して静謐な空気が漂っており、連れがいたならばここで何時間も過ごしたくなりそうだ。メインプールと同じく、中庭に面した部屋からは廊下を通らずに直接出入りできるようになっている。
そうこうしているうちに午前10時前。名残惜しくはあるものの、私はやはりホテルステイよりも街歩き派なので、荷物を預けてチェックアウト。日本人のスタッフが担当してくれた。荷物のピックアップは何時頃になりますでしょうか?と聞かれたので、午後11時と答えておく。まだ半日以上もあるんだよね。
今回のシンガポール滞在でたった一つだけ明確な目的がある…と先のエントリーでも書いたが、今日一日の手始めとして早速その「やりたいこと」を実行に向かうことにする。目的地はシンガポールのリゾートアイランド、『セントーサ島(Sentosa Island)』。オーチャードからだとMRT南北線でドービー・ゴートへ、ここで東北線(North East Line)に乗り換えてハーバーフロント(Harbour Front)駅へ向かい、島内連絡のモノレールに乗り継ぐというルートになる。
さてさて。今回の旅ではバンコクからの夜行特急の運転打ち切り、そしてマレー鉄道の“無断欠勤”と、深刻な「鉄道難」に2度も見舞われたわけだが…。近代的な都市交通機関が整備されたシンガポールに上陸してしまえば最早そんなファクターは有り得ない、と、当然無意識のうちにそう考えていたわけで。しかしこれからの半日の出来事で、私は運が悪いどころか実は
キングボンビーに取り憑かれていた
という、あまりにも残酷な事実に直面させられることになったのだった。
オーチャード駅に到着して切符を購入しようとすると、なぜか券売機が全て「販売停止」に。ふと目に入ったインフォメーションモニタによると、「トア・パヨ(Toa Payoh)駅-マリーナ・ベイ(Marina Bay)駅間のマリーナ・ベイ方面行き電車は、システムトラブルのため運転停止中」との表示である。土曜日ということで大きな混乱は見られなかったようだが、シンガポールでも椿事らしく、駅構内の様子をTVのクルーが撮影に来ていた。…こんなのってアリ?
上の2枚目の写真のモニタ表示にあるように、バスによる代行輸送を実施中のようだ。どこから乗ればいいのか?と勘に任せて地上へ上がってみると、ドンピシャリで目の前にその代行バスが停車中。案内係のおばちゃんに尋ねてみると、このバスにドービー・ゴートまで乗って東北線に乗り換えて欲しいとの事。というわけでバスに乗り込むとすぐに出発し、華やかなオーチャード・ロードを東へ向けて進んでいく(運賃は無料)。ものの数分でドービー・ゴート駅前に到着し、駅構内へ。
《超レア? MRTの代行バス》
ここでちょっとした“事件”として、旅の記録として構内の写真を何枚か撮影していたところ、「ちょっとちょっと」と警備員らしき人に呼び止められる。嫌な予感はしていたもののやはりその通りで、「MRTの写真は撮ってはダメなんですよ」ということで、デジカメの写真を消去してもらいたいのですが、と言われてしまった。んー、MRTの写真なんてWebで検索するだけで腐るほど見つかるんですが。彼もただの仕事だし、紳士的な対応だったので彼に文句を言うつもりは毛頭無いものの、シンガポールという国はホント気に入らねーな、という思いが益々強固なものになってしまったのだった。私の場合は穏便に済んだ方で、先日某鉄道趣味誌(以前は定期購読していましたが、2000年代に入ってからはレベルがガタ落ちしたので立ち読みで済ませています)に目を通していたら、駅の写真を入念に撮っていたところ警官に取り囲まれてかなり厳しく詰問された…というレポートがあり、少し冷や汗が出たのを覚えている。
平常運転のMRT東北線でハーバーフロント駅に到着。モノレールでセントーサ島の島内へと向かう。
(2011.12.17)
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