マレーシア (5-3)ハイコストなLCCでお別れ
さてさて、今回が初めてとなるロー・コスト・キャリアの利用。LCCの場合、空港施設利用料を極限まで抑えるためにターミナルビルをコンパクトかつ質素に造ったり、ヨーロッパなんかだと空港名として冠する都市から何十キロも離れた田舎の町の小空港を発着したりと、低価格を実現するためのコストダウンに様々な工夫を凝らしているものだが…。 KLIAのLCCターミナルはなかなか大規模で各種ショップも多数揃っており、まるで一つの街のような賑々しさ。訪れる前はプレハブに毛が生えたようなものを想像していたので、良い意味で予想を裏切ってくれたのだった。
到着後すぐに「エア・アジア(Air Asia)」の発券カウンターへ赴き、次のシンガポール行きのチケットを購入。建物自体はなかなか立派だがカウンターの造りは安っぽく、高級感ならぬチープ感を敢えて演出しているようである。LCCの運賃は購入時期と空席状況によって大幅な変動があるが、今回は搭乗直前ということでRM329(約8,200円)と、全然ローコストではない。しかも荷物はまた別に料金を徴収されるらしい。今は正午前で、搭乗するAK729便は13時25分発、シンガポール・チャンギ国際空港着は14時25分というスケジュールとなっている。予定通り飛んでくれればいいのだが。
これは余談だが、カウンターで手続き完了を待っているところで「子どもホイホイ」の私らしく、後ろから股のあいだに突撃してきた男の子が。いつもならば「こんにちはー」と頭を撫でたりするところなのだが(但しイスラム圏ではマナー違反なのでやってはいけません)、今回はマレー鉄道の件でテンパっている故、笑顔を作ろうにも引きつったような笑いになってしまい、ちょっと悪いことしたなぁ、と。
発券カウンターでは航空券(といってもA4で手書きのペラ紙。約款と合わせて2枚)の発行のみで、搭乗券の発行はまた別のカウンターで。キャリーバッグが機内持ち込み可能な7kgをオーバーしているため、こちらでその預け入れも一緒に行うのだが、気になる手荷物料金はというと「シックスティーン」。はいはいRM16ね、と財布からお金を取り出そうとするも… レシートに書かれた金額を再確認したところ、なんとRM16じゃなくてRM60。日本円で1,500円である。えー!そんなに取るのーっ!! 内訳は手荷物料金がRM50、有人カウンターでのチェックイン手数料がRM10なのだが、何だか完全無料で釣っておいてアイテム課金で収益を上げるソーシャルゲームのような腑に落ちなさである。ちなみにインターネット経由で購入とチェックインを済ませれば手数料は不要で、人件費節減のためにそちらへ誘導する方策というわけ。ただ、インターネットでの購入は出発4時間前に締め切られるため、今回のケースでは最初から選択肢は無かったわけだが。現金での持ち合わせがほんの数リンギット足りなかったので、やむなくクレジットカードで支払うハメに。
*2011年12月22日、有人カウンターでのチェックイン手数料は廃止となりました。この日はその6日前…(涙)。
搭乗券は感熱紙に打ち出された実に簡素なもの(実物の画像はこちらのリンクから)。ネット購入だとセルフプリントした搭乗券が使えるため、こちらもまたコストダウンに資する形になっている。何はともあれ無事搭乗手続きも済んだため、少しだけ出発ロビーを散策した後に出国手続きへ。
《(上2枚)KLIA LCC-T・出発ロビーにて》
出国審査官はこれぞマレー人気質を体現したという感じの朗らかな女の子で、「サンキュー、素敵なバケーションを!!」と、弾けるような笑顔で見送ってくれた。今回はそのマレー人気質の短所に翻弄されもしたわけだが、何だかんだで決して憎めはしないなぁ、と。「経済発展だけが全てではない」という種の偽善を吐くつもりはさらさら無いものの、ルックイースト政策で目標だったはずの日本はこのザマだし、2020年までに先進国入りだなんて絵空事はこの際あっさりと撤回して、ブータンのようにGNH(国民総幸福量)を追求するという方向性もアリではなかろうか。
制限エリアへ入ったのは出発1時間前の午後12時半。LCDの出発案内を眺めていると殆どの便の行先はASEAN圏内だが、「エアアジア X」という長距離便にはメルボルン(オーストラリア)やロンドン・ガトウィック空港行きもある(エアアジア Xは現在東京羽田と大阪関西へも就航中)。さすがに豪華さは無いものの免税品店も一通り揃っているし、必要にして充分な設備。「安かろう悪かろう」というLCCのイメージが少し変わったのだった。
《(上2枚)KLIA LCC-T・ゲート前にて》
搭乗券を改めて見てみると、座席が「2C」と指定されている。LCCは全席定員制の自由席が基本だと思っていたのだが、会社によって色々と違うようだ。今回のフライトは1時間と短く、C席だと横3列でない限り窓側ではないため、搭乗ゲート前のスタッフに「窓側がいいんですけど」とリクエスト。そのまま二つ返事で「3F」に変更してもらえた。
飲み物はKLIAエクスプレスの車内で一滴残らず処分してしまったため、機内で飲もうと売店で「mirinda」のストロベリー味を購入。3日前にチキンライスのセットを食べた時にドリンクとして付いてきて、気に入ってしまったので。海外へ出掛けると清涼飲料のラインナップの多様さに驚くこともしばしばで、翻って日本の市場は何て保守的なんだ、と、只々隣の芝が青く見えてしまう。そういえば以前にも同じ事を書いたっけな。
幸い私の乗る便には「Delay」表示は出ていなかったものの、実際に搭乗が始まったのは出発時刻間近という頃。LCC-Tに発着する飛行機はすべてタラップで乗り降りするようになっており、AK729便の待つ「F64」ゲートへは建物の外へ出て、外気にさらされた屋根つきの通路をひたすら歩いていくことになる。
《(上2枚)ターミナルビルから飛行機へ向かう通路》
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次回は飛行機でシンガポールへ向かいます。
(2011.12.16)
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