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2014.03.12

14/03/07 (4)リニア・鉄道館 その1(シンボル展示編)

というわけで、本題の『リニア・鉄道館~夢と想い出のミュージアム~(SCMAGLEV and Railway Park)』編へ入ります。2011年3月14日に開館し、これにて東京・大阪・名古屋の三大都市に本格的な鉄道博物館が出揃うことになりました。東日本大震災発生のわずか3日後に開館ということで、残念ながら華々しいオープンとはいかなかったようですが、これまた同震災発生の翌日に全線開業を迎えた九州新幹線共々、鉄道界にとっても受難の年となりました。


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《(上2枚)リニア・鉄道館 外観》



入館料は大人1,000円。普通に券売機で入場券を購入するほかに、全国の主な交通系ICカードを使用しての入場も可能です(でも、あおなみ線では使えないんだよねぇ)。入り口のお姉さんにガイドツアーに滑り込めるかどうか訊ねてみると、「大丈夫です!間に合いますよっ」とのお返事。この時点で3分前でした、よかったよかった。


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《リニア・鉄道館 エントランスホール》


一旦シンボル展示のコーナーを通り抜け、車両展示コーナーの手前側にあるイベント広場から30分間のガイドツアーに出発しました(参加料金無料、先着順で一回に15名程度)。12時15分を逃しても14時15分にもう一度あるのですが、最初にこうして見学のポイントについて説明を受けておくと、あとからの自由見学にメリハリがついてより充実するのです。後の項でもこのガイドツアーでの説明を織り交ぜていくことにします。

ガイドツアー終了後は特に順序を設けず適当に見学して回ったのですが、ここでは入り口側から順を追って紹介していくことにしましょう。ちなみに館内はごく一部のコーナーを除いて撮影自由となっています。

最初のコーナーは「シンボル展示」。時代ごとの鉄道界におけるスピード記録保持車として金字塔を打ち立てた、3種の車両が展示されています。


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《「シンボル展示」コーナー全景》


まずは左側の【C62形式蒸気機関車】からです。ご存知、日本国有鉄道最大・最強を誇った旅客用蒸気機関車。1948(昭和23)年から計49両が製造され、この展示車両にもヘッドマークが取り付けられている東海道本線の特急「つばめ」や「はと」を筆頭に、当時の国鉄のフラッグシップとなる特急列車の牽引を一手に担ったスーパースターでした。3つある動輪の直径は175cm、1954(昭和29)年には木曽川橋梁上にて狭軌の蒸気機関車では世界最速となる129km/hを記録しています。ヨーロッパの標準軌と比較して日本の狭軌は蒸気機関車の機構上、軸重の制限と並んで電気機関車やディーゼル機関車以上にスピードアップの前に大きな障壁として立ちはだかったものでしょうから、この記録は戦後停滞した鉄道技術の復活を高らかに謳い上げるシンボルとしての意味合いも強かったのでしょう。


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中央にあるのが【955形新幹線試験電車】、通称「300X」。1994(平成6)年に登場し、以降7年間に渡って行われた約600回の走行試験にて様々なデータの収集に貢献しました。1996(平成8)年には電車方式による当時の世界最速レコードとなる443.0km/hを記録しています。6両編成で先頭車のデザインは前後で異なりますが、展示されているのは丸っこい顔の先頭車です。


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新幹線の高速試験車としてはJR西日本の500系900番台(愛称:WIN350)が有名ですが、あちらは350km/hでの営業運転へ向けての技術検証に照準を合わせた開発目的だったのに対し、こちらはより広範で総合的なデータ収集を目的としたものだったようです。

現在の鉄車輪・鉄軌道方式による世界最高速記録は2007年4月にフランスのLGV東ヨーロッパ線上にて記録した574.8km/hとなっており、電車方式による世界最高速記録も2010年12月に中国の営業用車両によって更新されています。とはいえ日本はヨーロッパとは異なり、走行性能以上に騒音の軽減が厳しく問われる環境ですし、中国に至ってはなんせあの中国ですから、あくまで“参考記録”と捉えておくのが妥当でしょう。スピードと環境負荷の低減を両立する高度な技術については、やはり日本が卓越していますね。


さて、このコーナーの目玉展示となるのが、【超伝導リニア MLX01-1】。1995(平成7)年に製造され、1970年代にスタートした超伝導リニアの実用化へ向けての試験用として製作された車両としては最終モデルとなる形式です。この車両が2003年に記録した581km/hというスピードは、現在のところ鉄道の世界最高速記録となっています。


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車両側面についているのが、リニアのキモである超伝導磁石です。ひとつ意外だったのが、軌道側面のコイルが案内用と浮上用を兼ねていて、車両底面には磁石はついていないことでした。両側から吊り下げる感じになるんですね。時速百数十キロの浮上速度に達するまではタイヤ走行を行うため、まさしく翼のない飛行機です。全自動運転なので運転台はありません。


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この車両は内部の見学が出来るようになっています。


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新幹線車両よりもサイズが小さいため、普通車仕様のシートが新幹線の5列配置に対して2+2の4列配置で並ん……でいたのですが、走行試験を退役したのち2005年の愛・地球博で展示された際、見学の流れをスムーズにするために片方の列のシートが撤去されたそうです。


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新幹線とは異なり、車両製作は航空機メーカーの三菱重工業が手掛けているとのこと。そのためか窓のサイズが飛行機のように小さいのですが、東海道・山陽新幹線の最新系列であるN700系の窓が従来形式よりも大幅に縮小したため、実のところあれと比べても全然違和感がなかったりします。

この車両は動きませんが、館内の「超伝導リニア展示室」に設置されたモックアップで擬似乗車体験を行うことが出来ます。2027年予定の東京-名古屋間先行開業へ向け、昨年2013年には営業用仕様の『L0系』が落成し、遠い未来の話からいよいよ現実のものになりつつあるリニア新幹線。私も東京五輪なんかよりもずっと楽しみにしています。技術面でも、液体窒素の温度で臨界温度が維持できる「高温」超伝導体の応用・実用化が実現すれば、更に追い風となることでしょう。
あ、ちなみに「リニアモーターカー」は和製英語なので、日本以外では「マグレブ(Maglev, Superconducting Maglev)」と呼ばないと通じません。まあ、「SHINKANSEN」が国際語になったように、営業運転開始後にはもしかしたらこの呼称が浸透していくのかもしれませんね。


吹き抜けのシンボル展示室を見下ろす2階には、国鉄バスの第1号車が展示されています。1930(昭和5)年に製造され、現在の愛知環状鉄道の前身となる岡崎~多治見間および高蔵寺~瀬戸記念橋間に開設された国営バス路線に使用されました。現存する国内最古のバスとなっており、1969(昭和44)年には鉄道記念物に指定。バスに輸入車が使われていた当時において自動車産業育成のため、エンジンやシャーシ・タイヤなどに国産の部品が多用されているとのこと。


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最後に2階からMLX01-1を見下ろし、車両展示コーナーの見学へと移ります。


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(2014.03.07)


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コメント

リニア・鉄道館いいですよね(^^)。私も去年9月に行ったのを思い出しました。次回は名古屋の喫茶店でモーニングを食べてから行きたいです。

http://blog.livedoor.jp/naitya2000/archives/52129056.html

おお、naitya2000さんも行かれましたか! 私も開館当時から気にはなっていたのですが、名古屋には昔住んでいたこともあり、他に行きたい場所もないので二の足を踏んでおりまして…。でも、行ってみればこの為だけに出掛けたことを全く後悔させない、想像以上に楽しい場所でした。

名古屋のモーニングですが、名古屋市内よりも一宮のような近郊のほうが豪華なメニューを出す店が多いみたいです。今後名古屋方面に出掛ける機会はあまり無さそうですが、色々と開拓・発見しがいのある分野ですよね。

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