14/03/07 (6)リニア・鉄道館 その3(新幹線300系・700系・ドクターイエロー編)
続いてJR化後に登場した車両を見ていきます。まずは<のぞみ>の第一世代の車両として誕生した300系。最高速度は0系・100系の220km/hから一気に270km/hへと引き上げられ、それまで約3時間を要していた東京~新大阪間を、(名古屋・京都通過という荒業を交えてではありますが)ピッタリ2時間30分にまで短縮しました。「朝9時の会議に間に合う」がキャッチフレーズでしたね。
車内のようす。この世代以降、最新シリーズまで一列ごとの個別窓が踏襲されることになりますが、この300系の窓はとても大きいですね。とりわけ100系に比べて天地方向に5cm拡大したことが、インテリアの印象に大きく影響を与えています。そういう理由で私の一番好きな車両はこの300系なのですが、その一方でモーターから発するインバーターの磁励音の大きさ(特に加速時。鉄道ファンにはこれがたまらないのですが…)をはじめとした種々の問題により、一般的にはあまり芳しい評価を受けていない車両であることも確かだったりします。
当時はまだ携帯電話が普及していなかったので、このようなテレホンカード専用の公衆電話が重宝しました。私も車内限定のテレホンカードを記念に買ったものです。こちらからの発信だけではなく、車内への着信サービスも存在したため、車内放送でもしばしば呼び出しが掛かっていたような覚えが。電話のそばに列車名と号数を表示する装置がつけられていたのも、ささやかながら親切なサービスでした。
0系および100系は東海道新幹線の運用からの離脱後も、短編成化されて山陽新幹線へと活躍の場を移す編成が少なからず存在しましたが、300系の方は過酷な使用実績とユニット構成の都合から、全編成が16両の姿を保ったまま引退することとなりました。
それにしても1998年まで増備が行われていた300系が、もう博物館でしか見ることのできない存在となってしまうとは。光陰矢のごとしとは言いますが、東海道新幹線の奔流のような世代交代の早さを実感させられます。
次の世代は500系ですが、こちらはJR西日本のみが保有している車両なのでここへは姿を見せていません。恐らく2016年開館予定の『京都鉄道博物館』には展示されるのではないでしょうか。
お次は先々月から新たにラインナップに加わった700系です。こちらは定期の<のぞみ>運用からは既に撤退したものの、<ひかり><こだま>の主力として活躍中の現役車種。展示されているのは量産先行試作車となります(隣の300系も同様)。
0系から500系までは新幹線の進化を順当に伝える優れたスタイリングでしたが、この700系、「カモノハシ」だの「クレヨンしんちゃん」だのという、まとめてしまえば「ブ○イク」を表す不名誉?なあだ名が定着してしまったのはご存知の通り。最高速度270km/hの東海道新幹線内ではオーバースペックとなってしまう500系に対し、居住性の向上と費用対効果のバランスを主眼において開発された車両です。最高速度は285km/hと、東海道・山陽新幹線の車両では初めて前世代から最高速度がダウンしたシリーズとなりました。
車内のようすです。500系では円筒形の車体を採用したぶん居住性をやや犠牲にして300km/hでの営業運転を達成しましたが、こちらは居住性を損なわず、なおかつ300系の欠点の多くを解消したうえで、300系よりも15km/hのスピードアップを実現。まあ、その分山陽新幹線内の到達時間が若干延びているため、ある意味で妥協の産物とも呼べるのですが。500系の高速性能と700系の居住性を両立する車両は、次世代のN700系の登場を待つことになります。
新幹線コーナーの最後を飾るのは、【922形新幹線電気軌道総合試験車】。そのカラーリングから「ドクターイエロー」の愛称で親しまれています。1979年から後継車両に置き換えられる2005年まで使用されており、東海道新幹線内に最後まで残った0系タイプの車両でもありました。
展示されているのは7両編成のうち、先頭車の休憩室兼添乗員室。車内では保線作業の様子がビデオ放映されています。この車両の座席に限っては着席が可能なので、0系オリジナルの転換クロスシートの座り心地をお試しあれ。
車両見学後は、新幹線のシステムを解説するコーナーへ。
300系車両の台車です。自分でノッチを操作して制御器やモーター・車輪の動作を観察することが出来ます。
ちょっと古いタイプのMARS発券機。おなじみの棒を挿し込むやつです。
東海道新幹線の自動券売機と自動改札機を体験するコーナーも。奥には現在のフルカラーLEDに置き換えられる前に使用されていた、ソラリー方式の発車案内板が展示されています。
こんな↓チケットを発券して改札機を通過します。
こちらはレールを交換する装置の動作をシミュレートした展示。
―――などなど。あまりゆっくりと見学していては時間が幾らあっても足りないので、そろそろ在来線コーナーの方へ行ってみることにします。
(2014.03.07)
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