14/03/07 (7)リニア・鉄道館 その4(在来線エリア/収蔵車両エリア編)
続いて右半分の在来線エリアへ。こちらの車両は12種と数が多いので、そのうちいくつかをピックアップしてご紹介します。
まずは、先般のガイドツアーの解説員の方がオススメする車両その1、【モハ1形式電車】。大正時代に製作された木造の電車で、仕切り壁によって客室から独立した運転室をもち、片側3扉のロングシートというレイアウトから、通勤型電車の始祖とされている形式だそうです。赤い帯は3等車を表す色で、現在の普通車に相当します。
車内の様子です。天井近くに明かり取りの窓が設けられているのがユニーク。
オススメ車両その2が【ホジ6005形式蒸気動車】。「蒸気機関車」でも「気動車」でもなく、「蒸気動車」です。私もそんなジャンルが存在したこと自体が初耳だったのですが、客車の中に蒸気機関車を埋め込んでしまい、1両での運転を可能にした車両のことなのだそうです。下の写真、頭に煙突が飛び出ているのがお分かりでしょうか? これは「工藤式」と呼ばれるタイプで、機関車部分が脱着可能な構造になっています。
機関室内部を覗くとこんな感じ。ボイラーが客車の中にすっぽりと納まっています。
客室部分は上のモハ1形式電車とほぼ同仕様。
機関室とは逆側のフロントマスク。こちらにも運転席が設けられており、単行のディーゼルカーと同様の運用が可能だったそうです。というわけでこの蒸気動車が気動車のルーツとされていますが、さぞや走行中の騒音や振動は凄まじいものだったことでしょうね。ホジ6005形は戦中の1943年まで関西本線などで使用されていたそうです。
こちらは国鉄の特急型気動車、キハ181系です。「しなの」のヘッドマークが付けられている通り、主に山岳路線で活躍した形式で、この展示車両はトップナンバーのキハ181-1。末期はJR四国にて運用され、JR四国のコーポレートカラーである水色と白をまとって走っていました。当時私は愛媛県の新居浜という町に住んでいたので(新居浜市は「新幹線の父」と称される元国鉄総裁、十河信二氏の出身地でもあります)、これまた関西への帰省のために何度か乗車した車両です。あの塗色、清涼感があって好きだったんですよね。窓周りを黒で塗って連続窓風に処理したデザインがまた秀逸で、数ある国鉄型車両のカスタムカラーの中でも出色の出来だと思っています(→Google画像検索へのリンク)。
普通車の車内の様子。座席は背面テーブルつきのフリーストップリクライニングシートに交換され、国鉄末期~JR初期の時代としては高水準の設備でした。つい最近まで走っていた播但線の「はまかぜ」がこんな感じでしたからねえ。こうして博物館で静かに余生を送っている車両がいれば、遠くはるばるミャンマーへ渡ってまだまだ働く仲間もいたりと、その行く末は様々です。
ちなみにこのリニア・鉄道館の前身施設として、かつて飯田線の中部天竜駅構内に『佐久間レールパーク』という施設が存在し(現在は閉館)、私も飯田線のトロッコ列車へ乗車した際に二度訪れたことがあります。このキハ181-1もその佐久間レールパークから移された車両で、そういうわけで私とも四国在住時代からの縁となる馴染み深い車両だったりします。
こちらは「しなの」としてキハ181系の後継を担った381系特急型電車。
車内の様子です。JR東海では2003年をもって運用を終了しましたが、JR西日本ではまだまだ活躍中。というか、つい3週間前に乗ったばかりなんですよね。振り子は殺されていましたけど。JR東海所属車では最後までオリジナルの巻き上げ式のブラインドが残っていました。
こちらも佐久間レールパークから引っ越してきたモハ52形電車。2両現存するうちもう1両はJR西日本の吹田総合車両所に保存されており、毎年秋の一般公開の時に見学することができます。
内部が公開されていない車両は、車両展示エリアの奥の「収蔵車両エリア」にまとめられています。
ここから一両ピックアップするとしたらコレかな。「花魁(おいらん)」のニックネームで知られる【オヤ31形式建築限界測定車】です。とっくにレーザー測定の車両に置き換えられているかと思いきや、驚いたことにJR北海道とJR西日本では現役車種なのだとか。種車は戦前生まれという骨董品レベルの車両なのですが…… いやはや脱帽です。
総勢30両以上になる展示車両なので残念ながらすべては紹介しきれませんが、鉄道を愛する人ならばその何れかに必ずや思い入れがあるであろう、ピカピカに磨き上げられた「鉄路の名優」たちを前に、私も感動を禁じえませんでした。 ……いや、誇張でなしに。よもや博物館に収蔵されるような車両に、一度や二度ならず幾度も追憶を呼び覚まされることになろうとは、私もずいぶん年を取っちゃったものです。
次回は車両以外の展示をまとめて。
(2014.03.07)
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