日本最古の重力式コンクリートダムを訪ねて。新神戸駅から布引ダム(五本松堰堤)へ
石井ダム&立ヶ畑ダム訪問から日を改め、同じく神戸市にある布引(ぬのびき)ダムを訪れてみました。
最寄り駅は山陽新幹線・神戸市営地下鉄山手線・北神急行の新神戸駅なのですが、今回は新大阪から新幹線に一駅だけ乗って、という変態ルートを使いました。いっそこのまま鹿児島まで行ってしまいたい気分でしたが。
<のぞみ>も全列車が停車する、三宮(三ノ宮)駅・神戸駅と並ぶ神戸市の代表駅である新神戸駅。海方向の南側はターミナルらしく発展していますが、逆の北側は駅開業以前の風景をそのままに留めるような、市街地周縁の静かな住宅地。ダムへのハイキングコースもいきなりこの駅の裏から始まっています。
駅を出て4~5分ほどで、砂子橋(いさごばし)というレンガ積みの小さなアーチ橋を渡ります。これから訪れる布引ダムも含まれる、『布引水源地水道施設』として包括的に国の重要文化財に指定されている施設群の一つです。1900(明治33)年竣工とのことで、欄干には神戸市の市章がつけられています。
▲砂子橋
砂子橋から約2分。コース最初の見どころである布引の滝に到着します。4つの滝で構成されており、下の写真は一番下流側の雌滝(めんたき)です。案内板によると、那智の滝・華厳の滝と並んで我が国の三大神滝と呼ばれているらしいのですが…。 私、一応神戸出身なのですが、そんな話一度も聞いたことなかったですよ(笑)。平安時代から貴族・歌人に和歌の題材として度々取り上げられるなど、古くからの景勝地として著名だったそうなので、規模の大小とはまた別の尺度での選定、ということのようです。
▲雌滝。高さは19m
というわけで、滝のそばにはこのような歌碑があります。
ひとつ上流側、高さ8mの鼓滝(つつみだき)です。もう一つ上流の夫婦滝は気付かずに通過してしまいました。
最上流側、4つの滝では最大となる、高さ43mの雄滝(おんたき)です。水量によって印象も大きく変わりますが、今日はこのような感じ。増水時はかなりの迫力らしいです。
もう少し登っていくと視界が開け、港町神戸の風景が眼下に広がります。
こちらは「猿のかずら橋」。金属製の橋ですが、森林保育のために伐採したサルナシのツルを活用し、祖谷のかずら橋に似せた装飾が施されています。
新神戸駅から写真を撮りながら歩いて40分。目的地の布引ダム(五本松堰堤)に到着しました。
堤高33.3m・堤長110.3mの重力式粗石コンクリートダムで、堤体のサイズとしては立ヶ畑ダムとほぼ同程度。1900(明治33)年に竣工した、日本最古の重力式コンクリートダムです。阪神・淡路大震災ののちに耐震補強が行われ、2006年には重文に指定。現在も神戸市の水がめの役割を担っています。
堤体上の広場です。高欄にはダム湖百選と重文、そして2008年に登録された近代化産業遺産の3つの顕彰プレートが並んでいます。
上流側から見た堤体です。こちらも立ヶ畑ダムと同様に石張りで、デザイン性にも優れていますね。
ダム湖の風景です。建設当時、山岳地帯ということで車両がここまで入れず、建設資材はすべて人力による運搬を行うなど、近代建築の黎明期における設計および技術指導の試行錯誤とともに、艱難辛苦の果てに完成へと至ったようです。ちなみに工期はぴったり3年でした。
ダム湖の畔には小さな神社があります。ご利益があるのでお参りして下さい(…と書かれてました)。
帰りは来た道をそのまま戻りましたが、布引ハーブ園が近くにあるので、来園ついでに帰りはロープウェーに乗らずにダムと滝を経由して帰る、というプランもいいかもしれません。
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