15/01/25 (2)チケット狂想曲《貴生川駅編》
信楽高原鐵道への乗り継ぎ時間は8分。JRとのあいだに中間改札はなく同一ホームでの接続となるので、普通に乗り継ぐのならば極めてスムーズなのですが、私はというとこの駅で2つほどやっておかなければならない事があるので、一旦階段を上がってJR線の改札口へ向かいます。
1つめはスタンプラリーの台帳の入手。2013年9月、台風18号によって杣川(そまがわ)に架かる信楽高原鐵道の橋梁が流失し、資金面から再建が困難との見方により一時はそのまま廃線となる可能性もあったのですが、その後国による災害復旧支援の対象となったことから運行再開が決定し、それを記念して営業再開日の2014年11月29日から2015年2月1日までスタンプラリーが開催されています。対象となる駅は信楽高原鐵道・JR草津線・近江鉄道から選択された合計8駅。そのうち信楽駅のスタンプのみは必須となりますが、残りの7駅中3駅以上のスタンプを捺せばクリアとなります。
で、JR線が参加しているわけですから当然JRの貴志川駅にも台帳が用意されている、というのが自然ですよね。なのに有人改札口の駅員氏に台帳を所望すると、「ここには置いてないんですよ」とのこと。近江鉄道の駅の方には用意されているらしいので、「はぁぁぁぁ!?」と声に出したいのをグッとこらえつつ近江鉄道の駅へ。出札窓口にはJRからの乗り換え客が並んでいましたが、台帳は横のラックに入っていたため、一枚ピックアップしてJR改札口へ踵を返します。
2つめはフリーきっぷの入手。『びわこ京阪奈線フリーきっぷ』という名称になりますが、1,030円で近江鉄道および信楽高原鐵道全線が一日乗り放題になるという、両社の運賃水準を考慮すると超・破格値と呼べるお得なきっぷです。
で、信楽高原鐵道の改札口はJRと共用しているわけですから、このきっぷも当然ここで購入できるものと考えるのが自然ですよね。なのに有人改札口の駅員氏にきっぷを所望すると、「ここには置いてないんですよ」とのこと。近江鉄道の駅の方には用意されているらしいので、「はぁぁぁぁ!?」と声に出したいのをグッとこらえつつ近江鉄道の駅へ。 ――なんなんだこのループ展開は。ていうか時間がないのよ時間が! こんな時に限って出札窓口の列が更に長くなってるし!! 最初は大人しく並んでいたのですが、またこんな時に限って前の人が「領収書切ってください」とか言い出すし!!! もう発車時刻まで2~3分しかないということで、最後の手段として出札窓口を飛ばして有人改札口へ向かい、「あと1分しかないんです!きっぷ出して!!」とまくし立てるハメに。この件に関しては近江鉄道サイドはまったくの無関係なわけでいい迷惑だったとは思いますが、この状況では背に腹はかえられず。しかもこんな時に限って[3回目]、窓口のお兄ちゃんの動きがやたらスローモー(泣)。発行されるや否や「1,030円、ここに置いておきますから!!」と叫んできっぷを引っ掴み、構内ダッシュで信楽高原鐵道の出発ホームへ。車内へ入ると同時に、「お待たせしました。まもなく発車致します」のアナウンスが入ったのでした。
――まあ、後になって冷静に考えてみれば、とりあえず整理券のみで無札で乗り込んで、終点の信楽駅の出札窓口できっぷを入手するという方法もあったのですが、JR改札口のオッチャンからはそんな提案はありませんでしたしね(私が初めての訳がないでしょう)。そして今回は信楽駅まで行くのだから良いものの、例えば途中の無人駅で降りるとなればこの方法は使えないわけです。本来は信楽高原鐵道の出発ホームにキオスク型の窓口を設けるというのが筋なのですが、コストの問題から難しいとしてもJRの窓口に販売を委託するという方法も取れますよね。24年前の大事故以降、JRと信楽高原鐵道はいわば“敵対関係”にあるといいますが、そのような過去の禍根とて現在の利用客にとっては知ったことではないわけで、両社の間の温度差、更に台帳の件に関して言えば「強者」JRと「弱者」近江鉄道・信楽高原鐵道の間の温度差というものを顕著に感じてしまいました。将来一層過疎化が進行するであろう地域なだけに、ネットワークの連続性こそがキモである鉄道において、連携どころかここまで“縄張り”を強く意識させるような旧弊を放置しておいて良いものでしょうか。ますます利用客離れが加速するのではないか、と。
すみません、文字ばかりで。でも、この顛末はやはり文章にして残しておいた方がいいと考えまして。最後にきっぷの画像とスタンプラリーの台帳のPDFファイルを掲載しておきます。この手のきっぷ類はパスポートサイズだったり横長だったりと意外に収納場所に難儀することが多いのですが、『びわこ京阪奈線フリーきっぷ』については定期券サイズなので財布のカードスペースにすぽっと収まり、取り回しが非常にラクでした。次からはまた楽しい乗り鉄のお話です。
▲びわこ京阪奈線フリーきっぷ [左・おもて/右・うら]
『信楽高原鐵道運行再開記念スタンプラリー』の台帳(PDF・934KB)
※開催期間終了後は削除されるはずなので、期間終了後も参考資料として閲覧できるようにこちらへ転載しました。
(2015.01.25)
« 15/01/25 (1)東海道本線・草津線(尼崎→草津→貴生川) | トップページ | 15/01/25 (3)信楽高原鐵道・往路(貴生川→信楽) »
« 15/01/25 (1)東海道本線・草津線(尼崎→草津→貴生川) | トップページ | 15/01/25 (3)信楽高原鐵道・往路(貴生川→信楽) »
コメント