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2017.05.11

17/05/08 (1)観光特急青の交響曲 その1【往路/大阪阿部野橋駅】

 今年初めに近鉄の観光特急『しまかぜ』への乗車を体験し、その意欲的なアコモデーションと卓抜したコストパフォーマンス(←コレが一番重要。ぶっちゃけ出せない額ではない『四季島』や『トワイライトエクスプレス瑞風』にヒトカケラも興味・関心が持てない理由です)に大いに感銘を受けたわけなのですが、このたび狭軌線区版の姉妹列車ともいえる『青の交響曲(あおのしんふぉにー)』(→公式サイト)への乗車が実現しましたので、今回はそのレポートをお送りします。



 GWが明けたばかりの月曜日の朝、旅のスタート地点となる近鉄南大阪線大阪阿部野橋(おおさかあべのばし)駅に立ちます。久しぶりにやって来ましたが、あべのハルカスのお膝元ということで近鉄京都駅と同様に近年西改札口が美しくリニューアルされて様変わりしていました。それにしても、天王寺は北摂や阪神間からだと本当に遠い……。


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 デビューから間もない列車だけに、駅じゅうを挙げてPRに余念がありません(私は「とっくに釣られた魚」ではありますが)。コンビニでも関連商品を販売していました。


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 ここまで来る電車が時間通りに走るとは限らないため、余裕をみた結果として10時10分の発車時刻の1時間前にはもう天王寺に到着していました。先日のしまかぜとは真逆のシチュエーションです。しばらく駅そばのカフェで時間を潰し、発車の20分ほど前に出発ホームの6番のりばへ向かうことにしました。


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 心持ち早目に来たつもりが、電車は既に入線済み。まだ乗車は始まっておらず、乗客はホーム上で待機中でした。しまかぜの50000系電車は新造車両でしたが、こちらの16200系電車は40年選手の通勤型電車の車体に大改造を施して誕生した形式。フロントマスクの形状はおでこにあった種別・行先表示器が撤去されたのを除いて全く変化していないのですが……


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 変わっていないのは前面だけ。いざ側面へ回ってみれば、4ドアの通勤型電車時代の面影はほとんどと言っていいほどに見当たりません。各車両に1箇所ずつ残された両引き扉や1・3号車の横幅が均等ではない側窓は紛れもない改造車であることの証左ではあるのですが、そこに気づくのも近鉄ユーザーかレールファンくらいなものでしょう。駅への停車中、車外に取り付けられたスピーカー?からはクラシック音楽(ハイドンの交響曲第101番「時計」第2楽章)が断続的に流れており、濃紺に金帯を纏ったシックなボディと共にこれもまたホームの雰囲気をいつもとは違ったものにしています。


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 発車案内板。もともと甲乙の概念のなかった南大阪線・吉野線系統の特急ではありますが、青の交響曲の運行開始に際してもしまかぜのように新たな停車パターンが設定されるということはなく、従来の特急停車駅を踏襲しています。


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 発車の10分ほど前にドアが開き、乗車開始。こちらは特急型車両として新設されたデッキです。照明は電球色のレトロ調シーリングライトとダウンライト。床材についてはしまかぜでは天然御影石が使われていましたが、こちらは石畳風のウレタン樹脂製となっています。


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 私が乗車するのは、吉野方先頭車の3号車です。今回のデイトリップはしまかぜとの乗り比べという趣旨なので、1月の伊勢・鳥羽旅行と同じメンツでの3人旅となっているのですが、流石にデビューからまだ8か月弱という話題沸騰中の列車。復路便の席はあらかじめ確保していたものの往路便はキャンセル待ちを余儀なくされ、席が確保できたのは何と乗車前日のことでありました。なにしろ平日の便でさえ1ヶ月前の発売開始時刻から2分で瞬殺してしまう状況なので腰だめで予約を入れざるを得ず、出発日が近付くにつれて乗れなくなった人のキャンセルがボロボロ出てくるのですが、ほぼ毎日インターネット経由でチェックはしていたものの、1~2席ならばともかく3席同時に空くという状態までにはなかなか至りません。ギリギリまで粘ったものの結局1号車に2席・3号車に1席と、区画どころか号車ごと離れてしまうという苦肉の策をとることになりました。まぁ、乗れるだけでも有り難いことではありますし、後ほど2号車のラウンジカーに集合する予定もあるので、往路は半一人旅と割り切ることにしましょう。

 それでは客室内へ入ります。座席は全席1+2配置の3アブレストというデラックスカー仕様。厚みのあるカーペットが床全面に敷かれています。電球色のダウンライトに加えて側窓間の壁にブラケットライトが取り付けられ、明るい印象のしまかぜとは好対照をなす、照度が抑えめの落ち着きを重視した空間を演出しています。


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 座席をボックス状に配置して中央にテーブルをしつらえた「ツイン席(2人用)」「サロン席(3~4人用)」という区画もあり、復路はこのサロン席を確保しているのですが、往路についてはこちらの進行方向向きの一人掛け席へ。みるからに手触り・肌触りの良さそうなモケットが張られた大型のシートです。しまかぜの本革シートとはまた異なる方向性ではありますが、こちらも最長1時間20分弱という乗車時間には勿体ないほどの上質な座席となっています。


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 シートを横から。背ずりと座面の肉厚ぶりがお分かりでしょうか。壁面の化粧板は木目調となっており、コンセントもその壁面下部に設置されています。それにしても…… デラックスカー扱いの席なのでシートピッチはレギュラーカーと同じ1,050mmのはずなのですが、どう見てもそれ以上ありそうな様子。フットレストが無いだなんて、このひろびろ空間の前では些細なことです。更に驚くべきは南大阪線・吉野線内発着の均一特急料金+デラックス料金が最低区分の80km以下ということで、大阪阿部野橋~吉野の全区間を乗り通してもたったの720円(小児370円/他、運賃が別途必要)で済むということですね。げに恐ろしき、コスパモンスター。


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 背面からも。アームレスト内蔵と背面の2台のテーブルがあるのはしまかぜと同様です。シートポケットにはラウンジカーで販売されている商品のメニューが入っていました(下2・3枚目の写真)。


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 インアームテーブルの展開状態です。


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 側窓と横引きカーテン。窓の下辺は種車の名残ということなのか、近年の車両にしては相当高い位置にあります。


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 ブラケットライトと荷物棚、そして席番表示。座席の予約状況を示すLEDランプは設置されていませんが、近鉄特急の例に漏れず予約済みの席ならば車内改札は省略されます。往路の特急券はインターネットのチケットレスサービスで購入したので(印刷するかモバイル機器の画面に表示)、有料特急といえども駅でも車内でも特別な手続きは何もありません。


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 こちらは1号車にいる母&妹が座っている2人掛け席です。


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 座席まわりの検分を行っているうちに、早くも発車時刻を迎えました。吉野まで1時間16分のショートトリップの始まりです。

(2017.05.08)


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