19/11/01 (1)朝活!鉄活!~北陸鉄道浅野川線~
2日目は6時10-20分頃に起床。細身のシングルベッドでしたが寝返りで転げ落ちるようなことはなく無事に朝を迎えました。今日は比較的ゆとりのあるスケジュールなので7時にアラームをかけていたのですが、自然に目が覚めたのでそのまま起きてしまうことにします。
ホテル併設のカフェではビュッフェスタイルの朝食も用意されていますが、明日のホテルで朝食付きのプランを取っており2日続けてのバイキングは不要なので、今朝は家から持ってきた菓子パン2つと1Fロビーで買った缶ホットコーヒーで軽く摂ることにします。自室でくつろいで食べるというのもこれはこれで良いものですので。
7時半、ホテルを出発。格安ホテルですがチェックイン・チェックアウトともにスムーズで、今回の滞在ではエアコンの不具合以外は何ら問題はなかったです。金沢フォーラスの横を通りかかると開店前にも拘わらず入口に行列が出来ており…… 何だろう、これ。イオンシネマが入っているようだし、ひょっとしてアナ雪2待ち?(←公開はまだ3週間先なので不正解)
▲朝7時半の金沢駅兼六園口(東口)
本日は2か所の美術館訪問を軸とした金沢観光がメインの日となります。荷物はホテルに預けてもよかったのですが駅からまた往復10分歩くのは面倒なので、駅のロッカーを利用。取り出しの際は支払い時に使った交通系ICカードがキーになるタイプでした。先々月までは小サイズはどこも300円だったのですが、今回の旅では富山駅・金沢駅・福井駅いずれも400円。今年から全国で値上げが相次いでいるようです。幾つかのニュースサイトで値上げの理由について説明した記事を読みましたが、よくあることとはいえ牽強付会とお為ごかしのデパート状態でした。
まずはバスターミナルの窓口で北鉄バスの一日乗車券(500円)を購入しておきますが、バスに乗って観光エリアへ向かう前にプチ乗り鉄として北陸鉄道浅野川線の往復乗車を体験。最初は観光終了後を予定していたのですが、スタートが前倒しになったのでこの後のスケジュールとの兼ね合いもあり一日の最初に済ませてしまうことにします。
金沢駅は新幹線開業に大きく先行して1991年に在来線ホームが高架化、そして2005年には兼六園口(東口)に『鼓門』『もてなしドーム』というシンボリックな建築物が竣工しています。下の写真は巨大なアトリウムであるもてなしドーム。不遜だと自認しつつも、昨夜の(え、ここ金沢でしょ)が再来です。
もてなしドームの先端にはこちらの鼓門(つづみもん)。二本の螺旋状の柱は加賀の伝統芸能である能楽の鼓がその形のモデルになっているそうです。もてなしドームとは一体化しており、柱の内側には排気口とドーム上に降った雨や雪を地下へ流すための送水管が仕込まれ、雨水については貯水槽を経由して再利用が行われているとのこと。早朝なので、記念撮影をする観光客もまだポツリポツリといったところです。
地図アプリによると電車の駅は駅前広場の北東側に位置するはずなのですが、該当の場所に行ってみても北陸鉄道の総合案内所があるだけ。一瞬首をひねったのですが、すぐに駅は地下にあることを思い出しました。平面の地図では判らないですよね、なんでも本州日本海側には1つだけの(市街地にある)地下駅だそうで。駅前広場から階段を下りていくと地下街らしきものが広がっており、三度目の(え、ここ金沢でしょ)になりそうだったのですが、確かに以前は地下街が存在したものの現在はもっぱら通路として使われている由。金沢は雨も雪も多い土地なので、ほんの短い距離でも駅周辺の回遊に重宝するのでしょう。下の写真は地上からの吹き抜けとなっているミニ庭園(背後のビルが金沢フォーラス)。この周りをバスターミナルのロータリーが取り巻いています。
このミニ庭園の東側に隣接して、浅野川線の北鉄金沢駅が構えています。北陸鉄道の鉄道線にはこの浅野川線のほかに石川線が存在しますが、ターミナルが離れた場所にあって行き帰りに手間がかかるため、今回の訪問では止むを得ずオミットしました。
次の電車は2分後の7時54分に出発するというグッドタイミング。時刻表は確かめずにやって来ましたが、実は後述する理由で朝ラッシュ時でも22~24分間隔と多くはないので運が良かったのです。北陸鉄道独自のICカードはありますが全国相互利用には不参加のため、終点の内灘駅まで紙の切符を購入。すっかりICカード…というかSFシステムに慣れきっており、運賃表を確認→お金を投入→ボタンを押すという一連の所作すら覚束なくなっていたのには我ながら愕然とさせられましたが。切符の買い方が分からないという若者を嗤えないぞ。北鉄金沢ー内灘間は6.8kmで、富山ライトレールの富山駅北ー岩瀬浜間7.6kmよりも短いものの、運賃は360円となかなかの高額。これでも富山地鉄鉄道線よりは若干低い水準にあるのですが、路線の形態が限りなくLRTに近いためについ比較してしまいます。
改札を抜けた先に待っていたのは、こちらの元・京王井の頭線の車両。私が子供の頃、たまに同線に乗る時にはぜんぶこの車両だったので、神泉駅でのドアカットの思い出も込みでとても懐かしいです。2両編成に短縮されているのとワンマン対応で運賃箱と整理券発行機が増設された以外は、ほぼ京王時代そのままではないでしょうか。経年が経年なので、2021年度からは元・東京メトロ日比谷線03系への置き換えが実施される予定となっています。
空いている座席に適当に腰掛けると、程なく発車です。なお、金沢市歌だという発車メロディーが鳴り終わる前にドアが閉まるという、先入観に鉄槌を下すかのようなトラップを仕掛けてくるため、発車間際の乗車の折にはご注意のほどを。
上述のように本州日本海側唯一の“地下鉄”なのですが、駅からたったの300mほどで地下区間は終わり。掘割の中なので車内からは気が付かなかったのですが、先ほどまで泊まっていたホテルのすぐ裏手を通過していました。
新幹線・IRいしかわ鉄道の高架線をアンダークロスして北側へ出ると、最初の駅・七ツ屋に停車。浅野川線の平均駅間距離は620mと短く、6.8kmを17~18分かけて走ります(表定速度は24.0km/h)。車両の古巣である井の頭線と同様に急行が設定されていた時期もありましたが、列車本数が豊富ではない中で1/2~1/3を急行に置き換えており、通過駅の利便性低下が著しいわりには隔駅停車で時短効果が小さかったためか、現在は全列車が普通となっています。
路線の大部分ですぐ東側(内灘行きでは右手)には線名になっている浅野川が並行しますが川面は眺められず、見えるのは堤防上を走る車だけです。朝ラッシュ時なので中心部方面の車線は渋滞気味ですね。対して西側は基本的に住宅地ですが、北上するにつれて次第に農地も交じるように。富山ライトレールの沿線ほどには人口密度は高くないのかな、という第一印象でした。
行けども行けども1面1線の棒線駅が続き、ようやく交換設備が現れたのは6駅目の三ツ屋駅。というよりも線内の途中駅で交換が可能なのはこの駅だけです。ここまでは9分・ここから終点までは8分と、路線のほぼ中間地点。計算上の最小運転時隔は{9×2+余裕時分}min.となるので22分よりはまだ少しだけ詰められますが、とはいってもせいぜい1、2分といった所でしょう。大型車の2両編成(編成長は約36m)ということもあり、すれ違った電車を見る限りではギュウギュウ詰めには程遠いようです。
富山ライトレールは終点の直前で岩瀬運河を渡りますが、こなた浅野川線も終盤にて大野川をクロス。この付近、地図で見ると河北潟を中心として大小の川や水路が複雑に入り組んでいます。
そして8時11分、終点の内灘(うちなだ)に到着。配線は1面1線と最低限で、出口と入口が分離されている構造です。下車客がホームを離れてから改札口を開けるようで、表には駅舎を先頭にして乗車待ちの行列が延びていました。
ちょっぴりメルヘンチックな駅舎をもつ内灘駅の外観です。金沢市の主要なベッドタウンの一つである内灘町の拠点駅で、周辺エリアへの路線バスも発着。乗降人員は北陸鉄道鉄道線全体で北鉄金沢駅に次いで2位となっています。それより下の浅野川線各駅は一ケタ差がつくため、短距離路線ながらもわざわざ急行が設定された理由も解ります。
海水浴場のある日本海の海岸までは、現地では「鉄板道路」と呼ばれている道をたどって徒歩15分ほど(Google Mapsの測定による)。ここは1950年代に米軍の試射場の設置を巡る闘争があった場所で、戦後初の米軍基地反対運動として、そして半世紀以上が経過しても一向に終息の糸口が見えない沖縄のそれとは対照的な事象として、日本現代史における重要な1ページの舞台となっています。
▲駅前の通り。正面が海岸方向
乗ってきた電車の折り返し時間は5分。次の電車はその23分後と、1本落とすにはやや躊躇するところです。今考えてみれば隣の粟ヶ崎駅まで散策を兼ねて歩くのもアリだったのですが、駅舎へ戻った時点で切符を買ってもギリギリ間に合うタイミングだったため、反射的に飛び乗ってしまいました。
内灘出発時点では僅かに空席もありましたが、それもすぐに埋まって立ち客多数のラッシュ時らしい車内風景に。8時34分に北鉄金沢駅へ帰ってきたので、往復で40分しか掛かっていませんでした。駅間距離が短いなりに小気味良い走りぶりを披露してくれるのも井の頭線(の普通)譲りでしょうか。
本日の貴重な鉄分補給を終えて、ここからは観光タイムです。
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