19/10/31 (7)富山地方鉄道軌道線Part2【富山駅→大学前→丸の内→富山駅】
富山駅停留所から2系統の大学前行きに乗車します。前記のように南富山駅前~富山駅~大学前間がひとつながりの運転系統なのですが、現在の電鉄富山駅・エスタ前停留所がターミナルだった時代には文字通りのスルー運転だったのに対し、高架下乗り入れ後は富山駅停留所でスイッチバックする形態に変わりました。
今度の車両は7000形というおそらく最古参の部類であろう、由緒正しきチンチン電車です。行先の駅名は極限までに削ぎ落されていますが、こちらは富山大学五福キャンパスの最寄り停留所。朝に乗り場を見かけた時には学生がわりといたのですが、午後2時過ぎという今の時間でも車内の平均年齢は未だ低めです。
先ほどと同様に駅前広場を横切り、今度は直進方向へ。交差点手前では左折レーンと直進レーンに分岐し、信号待ちの間に後から発車した南富山駅前行き電車が左から追い抜いていくという、路面電車では珍しいシーンが見られました。
富山駅~南富山駅前間の路線とは500m前後の距離を空けて西側を並行しているのですが、こちらの沿線は主に官庁街。そこを過ぎると今度は富山城址の西辺をたどっていきます。丸の内停留所のある南西の角まで来ると当方の電車は右折しますが、ここで環状線の電車が通る線路が左へ分岐。単線かつ片方向への運転なので、分岐は南行きの線路にしか設けられていません。私も後ほど乗り継ぎのためにこの停留所にて下車予定です。
こちら側もさっそく郊外風の景色となり、しばらく走ると富山大橋で神通川を渡っていきます。7年半前の2012年3月に架け替えられたばかりとのことで、4車線+複線軌道という広々とした造り。架け替え前は道路部分は片側1車線で、線路もこの手前で単線に縮まっていたそうです。長さは466mあり、電車は1分ほどかけて左岸側へ。併用軌道を走る路面電車でこれだけダイナミックな渡河が楽しめる区間というのも、少なくとも日本国内では他に例がないものと思われます。
富山大橋上と同時に複線化された区間を進み、最後の大学前は1面1線となって終着。富山駅からの所要時間は15分でした。路線図で見る限りは富山駅~南富山駅前間14駅に対して富山駅~大学前間は7駅なので半分の時間で着きそうなのですが、営業キロは前者3.8km・後者2.9kmで4:3の割合になっています。
この大学前停留所、少し前までは道路両側の歩道とは歩道橋で結ばれていたのですが、現在は撤去されて横断歩道での平面移動ができるようになっています。歩行者保護の名を借りた歩行者蔑視の時代の遺物とも呼べる歩道橋ですが、今回地鉄軌道線の全線に乗車してみたところ、堀川小泉停留所にはまだこれが残っておりました。
せっかくやって来たからには富山大学にちょろっとご挨拶していこうかとも考えましたが、折り返しの時間は8分とたっぷり取られている上、次の電車はその10分後。実質的に2本落とすようなものでここで貴重な時間を浪費するのは勿体ないなぁと考え直し、乗ってきた電車でそのまま戻ることにしました。運転士が同じ(今回は居ませんが車掌も)なのは歴戦の乗り鉄なのでいまさら羞恥を覚えるはずなどないのですが、この日は更にライムグリーンの調査員の方が乗り合わせているわけでして…。当然のごとく往きと同じおじさんに調査票を手渡されたのでありました。プレイバック・思春期。
復路の電車は下校する学生さんを満載。今回は座席がさらっと埋まる程度でしたが輸送力の小さいトラム車両ゆえ、集中するタイミングに重なってしまうと積み残しが発生したりはしないのでしょうか。まぁ、発生しないからこその10分ヘッドなのでしょうが。
ゴトゴト揺られて丸の内停留所に到着すると、乗り継ぎ先の環状線電車が向かい側のホームから出て行くところ。環状線は不定間隔で、データイムは毎時4本程度と都心部を走る路線にしてはやや少なめです。行ってしまったものは仕方がないので、停留所そばの富山城址公園へ少しだけ立ち寄ることに。
来年の3月で、北陸新幹線開通から5周年。2011年に九州新幹線が全通した熊本のように5周年のタイミングで大地震――という事態にはなるまいとは思いますが、くれぐれも先日のE7・W7系大量水没のような間接的な被害だけで終わってほしいものです。
観光案内所でいただいた富山市の観光ガイドマップの表紙も、富山城の天守(内部は富山市郷土博物館)をバックにこの城址公園前を走るトラムの写真となっています。
丸の内停留所に戻って電車の入線を待ちます。下の写真2枚目は南行き線路が東西へ分岐するところ。北行きについては交差点を左折する一本のみです。
電車が入ってきました。超低床式LRVですが先の2種とはまた形式が異なり、こちらは「セントラム(CENTRAM)」の愛称が付いた9000形電車となります。
現在は環状線専従の9000形。基本的には富山ライトレールTLR0600形と同仕様となっていますが、乗車扉のICカードリーダーは非設置です。南北直通運転開始後はポートラム・セントラム・サントラムのLRV3車種15編成が直通列車に充当されることになりますが、これに合わせて2年前に終日運用へ拡大されたばかりの富山ライトレールの信用乗車が廃止されるという報道もありました(→北日本新聞の記事へリンク。すぐにリンク切れになると思われますが)。現・地鉄側でもシステムを統一するとなると運用面でも費用面でも障害が大きいということなのでしょうが、一度便利になったサービスが後退するというのはやはり釈然としないものがあります。信用乗車廃止後、富山港線区間の朝夕ラッシュ時の特に混雑する時間については列車の増発で対応し、降車時間のロスによる遅延の発生を極力抑える方針とのこと。
3系統環状線は2009年12月に営業を開始しました。丸の内を出ると国際会議場前・大手モール・グランドプラザ前と進み、西町交差点で左折して中町(西町北)から1・2系統の路線に合流。富山駅→丸の内→中町(西町北)→富山駅→…の反時計回り方向のみの運転となっています。先に触れた総曲輪2・3丁目エリアを富山駅ー南富山駅前間の路線と合わせて東・西・南の三辺で取り囲むルートとなっており、新設された3つの停留所の周辺へは1・2系統の既存の停留所からも徒歩数分という近い距離にあります。札幌市電といいこちらといい、ほんの1キロにも満たない路面電車の延伸ですら大ニュースになってしまうようなしょっぱい国ではありますが(宇都宮LRTはそれこそ今世紀屈指という異例の規模でしょう)、ともあれ本数にはやや難があるものの中心市街地の回遊性が大幅に高まるわけで、そのメリットは市民・来訪者双方にとって非常に大きいものがあります。
▲(2枚)3系統単独区間の後面展望
札幌市電の新線区間のように信号待ち地獄という印象はなく、あっさりと3系統の単独区間を通過。富山ライトレールおよび地鉄軌道線の全線乗車を終え、あとは富山駅へ戻るのみです。なお、国際会議場前・大手モール・グランドプラザ前の3駅と上本町以南/諏訪川原以西を行き来する場合は必ず乗り換えが必要なので、丸の内・中町(西町北)停留所で乗り継ぐと2本目の電車の運賃が無料になる制度もあります(passca/ecomycaの場合は自動適用、現金の場合は1本目の電車下車時に運転士に乗継券の発行を申し出る)。南北直通運転開始時に富山駅でもこの扱いが適用されるかどうかは不明……というか、ないと困りそうですが。
富山駅に到着し、次の発車を待つ環状線電車。1線を2系統大学前行きの電車と共用しているため、今回はホームの手前で大学前行きが出発するのを少し待たされることになりました。ループ一周の所要時間は約25分、原則として平均15分間隔なので、2編成のセントラムがひたすらグルグルと回っていることになります。
通算7本(+地鉄鉄道線1本)の電車を乗り継ぎ、提出した利用状況調査票も7枚。後半はデータとしては完全にノイズですが、かといって俺の責任ではないしな。富山ライトレールと地鉄軌道線3系統、それぞれに個性的なので砂を噛むような乗り潰しになることなく楽しめました。地鉄鉄道線の方もまたいつか――。
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