19/11/02 (2)えちぜん鉄道勝山永平寺線・往路【福井→勝山】
えちぜん鉄道勝山永平寺線普通 福井(08:05) → 勝山(09:01)
まずは勝山永平寺線で終点の勝山へ向かいます。予定では8時28分発の電車に乗ることになっていたのですが、早めに来て一本早い8時05分発の電車に間に合ったので、アドリブで乗り継ぎプランを変更。どうせ昼以降は当初の予定に合流することにはなるのですが、タイトなプランを組んでいる以上は少しでも遊びを持たせておくに越したことはありません。
車両は愛知環状鉄道からの譲渡車である「MC6101形」の2両編成(※福井側の車両は12両あるうちのトップナンバー)。えちぜん鉄道が現有する旅客車両は1両を除いてすべてセミクロスシート車なので、乗り鉄派にとっては願ってもない環境です。進行方向左側のボックス席が空いていたのでこちらを確保。結果的には終点までボックスを独占することができました。





2駅目の福井口までは三国芦原線の電車も通ります。ここまで(現)北陸本線・北陸新幹線・えち鉄の3本の高架橋が併走しますが、同駅付近はまだ新幹線の高架橋は未完成(下の写真)。なお、福井口では勝山永平寺線と三国芦原線の接続も考慮されているようです。

データイムの電車にはアテンダントが乗務しますが、この便についてはワンマン運転。高架を下りたのちもしばし市街地の中をゆきますが、福井口から2駅目の越前新保を過ぎた辺りで早くも田園基調の風景に変わってしまいます。北陸自動車道と交差する付近までは市街地が連続しそうなイメージだったので、これはかなり意外でした。
前半のハイライトはその北陸自動車道をアンダークロスしてすぐの、観音町~松岡間。先程までの伸びやかな風景からは一転、1車線の路地が並行するだけの家々に挟まれた狭い空間を走り始めたかと思えば、その路地も消えてすぐ両側から建物が迫ってきたりと。路地と線路の間には柵もガードレールもないのですが、江ノ電くらいのスピードならばともかく結構飛ばしていくので相当な迫力です。
この辺りから福井平野を外れて九頭竜川の谷の左岸を進むようになり、間もなく永平寺口に到着。福井からは27分と、所要時間のうえでは路線のほぼ中間地点にあたります。昨年10月にアップした記事でも一言触れましたが、勝山永平寺線は三セク路線として生き残ったものの、この駅から分岐していた永平寺線は二度目の事故の後に運行休止となったまま、継承されることなく廃止となってしまいました。現在永平寺へはバス連絡となっていますが、約6キロの廃線跡は「永平寺参ろーど」と呼ばれる遊歩道になっており、永平寺口駅でレンタサイクルを借りてアクセスするという方法も選択可。ただ、台数が3台しかない(2019年11月現在)という点がネックではありますが……。
永平寺口からしばらくは、あまり谷らしくない開けた景色の中を走ります。3週間前は対岸の県道17号線を通りましたが、川を隔てただけで風景の印象はまるで違ってくるもので。


小舟渡駅付近からは後半のハイライトとして九頭竜川が接近。この日は快晴なのも手伝い、思った以上の清流ぶりに目を見張りました。始発駅で左の窓側を選んだのもこれが目当てだったわけですが、あくまでオマケ程度なので空いていればラッキー、くらいの感じです。

勝山永平寺線は原則として30分間隔なので、列車の行き違いも平均して15分毎と頻繁です。交換駅での停車時間は最小限に抑えられているのでストレスフリーではありますが、それだけに留まらず後刻乗車した三国芦原線内も含めて、入ってくる電車が停止する前に待っていた電車が動き出す、という超速交換に驚愕。停車場内の線路有効長が目立って長い場合にこういうシーンが見られたりするのですが、えち鉄の各駅ではごく普通の長さなので不思議でならなかったです。えち鉄への転換後にATSが設置されたので、安全性に関しては最早疑念はないとはいえ。

保田(ほた)駅付近では川の対岸遠くに恐竜博物館の銀色のドームが見え始め、観光客にとってはテンションの上がる瞬間。下の写真は最後の停車駅である比島駅ですが、一日の平均乗車人員が0~2人という北海道の無人駅でさえここまでではなかろうという水準のため、復路の電車は各駅停車ながらもこの駅は通過してしまいました。勝山市の中心市街地は川の対岸に広がっており、当駅の近くには橋は架けられていないので、ごく小さな集落が駅周辺にあるだけの陸の孤島となっている模様。

9時01分、福井からは56分で終点の勝山に到着です。京福電鉄時代には朝夕に特急や急行も設定されていたようですが、現在は朝の上り列車のごく一部が快速として運行される以外はすべて各駅停車。学休期の土日祝日には座席定員制の「きょうりゅう電車」(勝山行き1本のみ、要特別料金)が運行され、こちらは福井口・永平寺口のみ停車で所要時間43分という快速特急・超特急クラスではあるものの、列車の性質上乗り鉄目的としては利用し難いです。

私は下車後、その足でトイレへ。恐竜博物館行きのコミュニティバスはこの間に出発していったようです。えちぜん鉄道の車両にはトイレは設置されていないため(JR東海から譲渡された119系もトイレを撤去)、乗り継ぎプランを組む際にはこちらへの配慮も忘れずに。30分間隔でかつ無人駅も多いため、万一の際には最寄りの駅で…と割り切るには微妙なところです。
勝山駅外観。駅舎は1914(大正3)年に京都電灯越前電気鉄道の駅として開業した当時のものを今も改修して使っており、2004年には国の登録有形文化財に指定されています。現在は終着駅ですが、1974(昭和49)年までは更に先の京福大野駅まで線路が延びていました。大野市にはJR越美北線が現存しているものの、利便性についてはお察しの通り。



駅前ロータリーには、やっぱり恐竜のオブジェ。

折り返し時間は17分(※本来は18分ですが到着が1分遅れたため)なので駅を離れる時間はありませんが、駅舎に隣接して1920(大正9)年製という国内最古の電気機関車「テキ6」、および19年製の貨車「ト68」を展示するスペースがあるので、そちらを覗いていくことに。2両ともに動態保存されており、上空に架線が張られているのがその証拠。イベントで時たま動かされたりもするようです。明治時代より羽二重と呼ばれる高級絹織物の生産が福井県の基幹産業として発展し、これらの車両は奥越(大野・勝山)地域から織物製品や木材を輸送するのに活躍したとのこと。今では羽二重と聞くと羽二重餅を連想する人が圧倒的なのでしょうが。




リノベーションが実施された駅舎内。天井が高くて開放的です。10時に開店する併設のカフェでは電車の中に持ち込むテイクアウトのコーヒーも販売していましたが、車両にはテーブルもゴミ箱も、ついでにトイレも設置されていませんし、売りっぱなしであることは否めず。電車のアコモ次第では食指が動いたので残念です(そもそもまだ開店してなかったけど)。





次回は復路編です。
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