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2021.02.13

京阪プレミアムカー・新3000系バージョンに乗ってみました

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 8か月ぶりの更新となります(土下座)。皆様、生きていらっしゃいますでしょうか(迫真)。もう全部が全部パンデミック発生当初の予想通りとはいえ、依然としてコロナとの闘い()という名の人類同士の内ゲバが続く日々ではあるものの、こういう時こそ平時は蔑ろに扱われがちな教養の有無が物を言うもので、自由に外出できないならば“晴読雨読”でエエやないかというコペルニクス的転回でもって、それなりに朗らかな暮らしを続けています。寧ろこういった消費文化から最大限の距離を置いた生活様式の方が、私の性にも合いますし。


 弊ブログのテーマであるお出掛け分野の近況ですが、流石にGoToトラベルのような愚策(だけならまだしも、極めて醜悪な逆進的所得移転)の片棒を担ぐわけにはいかず──いえ、「踊る阿呆」を横目で眺めていて羨ましくならないと言えば嘘にはなりますけれど──、遊びでの外出といえばここ数ヶ月は日帰り圏内の近場をクルマでウロウロする程度に留めていたのですが。そろそろ鉄分の欠乏も深刻な状況に達してきたこともあり、待ちに待った京阪プレミアムカーの新3000系バージョンのデビューを機に、ほんの短時間ではありますが久々にレジャー目的で電車に乗って京都へ出掛けてきました。




 【8000系プレミアムカー】・【快速特急「洛楽」】に続き、今回も初乗りイベントの恒例ということで淀屋橋駅からスタート。ラッシュを避けるために遅出&早帰りのスケジュールを組んできたので、時間の節約のためにいつもの北新地駅からの徒歩ではなく、順当にメトロ御堂筋線に乗ってやって来ました。


 京阪の駅構内へ入るとさっそく目に飛び込んでくるのが、新設されたキャッシュレスのプレミアムカー券・ライナー券販売機です。決済手段は全国相互利用に対応している交通系ICカードをはじめとして、非接触型電子マネーの楽天Edy・nanaco・WAON、PayPay・Alipay・WeChat Pay等のQRコード決済、国際ブランド5種をカバーしたクレジットカードの合計23種(2021年2月現在)。これだけ網羅していれば、現代人ならばインバウンドも含めてどれか一つは持っているでしょうね。


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 指定席の空席状況。データイム(10時台~16時台)の場合、以前は1時間に2回、運転間隔が20分開いていたのですが、いまではご覧の通りの綺麗な完全10分間隔です(*注)。というわけで号数の十の位もいよいよ本格的に稼働開始。一の位しか使えず、線路容量とはまた別の意味で毎時5本が限界の快速エアポート涙目?

*注:枚方市・樟葉・中書島・丹波橋通過の快速特急「洛楽」を含む。また、現行のダイヤでは平日の15:20発・16:00発(淀屋橋駅基準)の特急は例外的に全車自由席のロングシート車で運転。


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 ひとまず往路は新3000系のプレミアムカーに乗るというのが目的なので、これ単体では車種が確認できない自動券売機は利用せず、有人のインフォステーションへ向かいます(※こちらは自動券売機とは逆に現金のみの取り扱い)。私のようなややこしい…もとい特殊なリクエストにもバッチリ対応しており、使用車種の判る発車時刻表に加えて窓割りが明示されたシートマップも見られるようになっています。新3000系に関しては8000系のように窓の配置にシビアになる必要はないものの(後述)、次発便ということもあり幸い座席は選び放題だったので、上り(京都方面行き)で眺望が良くなる偶数列の一人掛け席をチョイスしました。自動券売機での購入体験は、車種不問の復路に持ち越しということで。


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 なお、各駅に掲示された発車時刻表には(一般車の)ドアの数が書かれているので、これで確かめておけば自動券売機でも確実に希望する車種の指定券を入手可能です(2ドア→8000系/3ドア→新3000系)。今回は単に面倒くさかっただけ(笑)。


 トイレは先ほど済ませたばかりなので(これも後述)、プレミアムカー券を入手したらその足でプラットホーム階へ。まだ先発の特急が在線しているので、この列車の出発および乗車列車の到着を見届けることになると思いきや…… あれれっ、もう既に入線してる。淀屋橋駅では原則的に4番ホームにて特急の発着をこなしているのですが、少数ながら隣の3番ホームから発車する特急も存在し、今回は偶然その列車に当たったというわけ。具体的にはデータイムに絞ると平日ダイヤの10:00発・10:40発の2本が該当し(2021年2月現在/土休日ダイヤではデータイムはすべて4番ホームから発車)、うち新3000系が充当されるのはこれから乗車する後者のみとなります。下の写真に収めた2系列のプレミアムカーの並びも、そんなプチ僥倖の賜物。


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 ……という理由で淀屋橋駅での持ち時間が期せずして倍以上に膨れ上がったので、じっくり撮影タイムといきます。エクステリアは8000系と同様にベースカラーを裾まで広げて、紫がかった青一色に。帯およびエントランス周りの金色も、8000系プレミアムカーのデザインをそのまま踏襲です。8000系の赤も悪くはないもののこちらのカラーリングはまるで南アフリカのブルートレインのようで、ラグジュアリー感が大幅に増したような印象。掛け値なしに、写真の腕が上がったのかと錯覚してしまいそうなほどに映えまくっています。


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 乗降扉の窓もまた8000系プレミアムカーの円弧形を踏襲していますが、8000系の片開きに対して新3000系は両開きに変更されています。


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 そして8000系との最大の差異が、こちらは改造車ではなく新製車であるということです。窓の配置にまで手の入る大規模な改造となると寝屋川車庫では対応できず車両メーカー送りになるという事情もあり、8000系ではご承知の通りのカオス配置になるという妥協を強いられたわけですが、こなた新3000系は1,040mmのシートピッチに合わせてあるのでハズレ席は根絶。眺望の良い席についても大阪方面行きは奇数列・京都方面行きは偶数列と単純明快になりました。


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 なお新3000系のプレミアムカーは営業開始直前に一般車両から組み替えられたので、8000系とは異なり7両編成への一時減車は実施されていません。新3000系は6編成が在籍しているので余剰車も6両ということになり、帰りの特急の車窓から寝屋川車庫内にこれらの車両が留置されているのを確認しました。車齢からしてもこのまま廃車ということは有り得ないでしょうし、3ドアということでオールロングシート化程度の小改造後に13000系あたりに組み込まれるというのが最有力のシナリオと考えられますが…… いずれにせよ、こちらの去就も大いに気になる所です。


 種別・行先表示器には、AGC(旧・旭硝子)が新開発した液晶ディスプレイが導入されています。8000系プレミアムカーのLED装置は筐体が客室側に大きく出っ張っていたのですが、こちらは複層ガラスの層間に埋め込んでガラスと密着させた超薄型の筐体となっており、省スペースと視認性の向上を実現している由。


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 8000系のLEDと並べてみました(後刻、出町柳駅にて撮影)。解像度が段違いということで、LEDでは日本語と英語を切り替えて表示しているのに対し、液晶ディスプレイは併記となっています。電子媒体でかつ非LED型の種別・行先表示器といえば、一時期名鉄の新製車両で導入されていた三菱電機製の「オーロラビジョン」が思い出されるところ。こちらは液晶ディスプレイの一種ながら電子ペーパーに近い性質をもつ媒体ですが、屋外での視認性に難があったために近年の新製車ではLEDへ逆戻りする格好となっています。いまでは屋外に設置されたデジタルサイネージなど珍しくもなんともないわけで、とっくに課題は克服したうえでの導入ということなのでしょう。一般的な幕板部に設置されたLED表示器だとどうしても見上げるような感じになりますし、漢字文化でかつ種別や運転系統が複雑な日本の鉄道では解像度が高いに越したことはないため、高精細で目線の位置に近いこのタイプの表示器は今後のニュースタンダードとなる可能性を秘めていそうです。文字を詰め込み過ぎて唯でさえ汚いフォントが輪をかけて酷い有様になっている首都圏の電車のLEDを見ていると、まずはここからという気にも。


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 車内へ入る前に、プラットホーム上に設置されたプレミアムカー券・ライナー券販売機をパチリ。下位種別や支線からの乗り換えを考えれば「あったらいいな」ではなく「なければ困る」類の設備でしたが、プレミアムカーの運行開始から約3年半を経て漸く導入へと至りました。


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 アテンダントさんの挨拶と笑顔に迎えられながら車内へ。まずは客室全景の写真からです。8000系と比較してひと目で判る違いとそうでない違い、どちらも一つ一つ見ていきましょう。


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 一人掛け席。シートそのものに大きな変化はありませんが、座席配置の最適化によりシートピッチが8000系から2センチ拡大の1,040mmに改められています。また、見た目では分かりませんがクッションを調節したことによって座り心地の改善も図られているとのこと。実際に座ってみたところ、正直どちらも全く実感できなかったのですが、これはつまり8000系の時点で完成度の高いシートだったという証左でしょう。なお、床材についてはデッキと通路部分が塩ビ、座席部分の床は枯山水の砂紋模様のカーペット敷きで変わっていません。


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 二人掛けシート。奥のシートはリクライニングなし、手前のシートはフルに倒した状態です。傾斜角はそれほど大きくはありませんが、最長1時間弱の運用ですし、うとうとする程度ならば十分ではないかと。


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 視線を天井方向へ向けて。中央の黒い部分はルーバーになっており、その奥にエアコンや送風機といった装置が設置され(目隠しされ)ていました。加えて荷物棚上部の化粧板には和紙柄をベースにドットパターンが施され、これらの部分は1989(平成元)年のデビュー当時の原型がほぼそのまま残る8000系の素っ気ない見た目(下の写真3・4枚目を参照)から飛躍的にデザイン性が向上しています。


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 1A/1B席(=京都方最前列)のアームレストを拡大してみます。8000系から引き続いて合皮張りとなっていますが、ステッチが追加されておりオシャレ度がアップ。京都方の小区画に配置されている4席には背もたれヒーターが新設され、アームレストにON/OFFのスイッチが付いています。この小区画、車椅子の出入りのために一人掛け席側にはパーティションが設置されておらず、冬場は開扉時に寒風が吹き込むといったクレームが多かったことへの対策なのかもしれません。


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 もう一つの改善点として、車端およびパーティションに隣接した席では進行方向によって使用できない場合があった大型テーブルが、ほぼ全てのケースにおいて使用可能に。下の写真はパーティションに新設された大型テーブルです。貫通路の配置の関係で京都方面行きの1Bと大阪方面行きの14Bの2ケースがインアームテーブルのみの対応で残ってしまいましたが、とはいえ40席中たったの1席だけですからね。


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 車内案内装置の液晶ディスプレイも、上述の複層ガラス層間に内蔵された超薄型タイプ。比較のために8000系プレミアムカー車内で撮影した写真を再掲しておきます。液晶ディスプレイの左には「PREMIUM CARの車内は常に自動で換気されています」と、ベンチレーターがバリバリ働いていることをアピールする文言が。そういえば一瞬マスクを外して新車の香りを味わおうとしたのですが、本当にバリバリ働いているのか香りが殆ど感じられなかったのが痛し痒しというか。このご時世ですし、乗客(とアテンダント)にとっては只々この文言を信じて乗るしかないですね。まぁ、慢性的に混雑している一般車両よりは遥かに「安全」なのは間違いないのでしょうが。


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 今回実乗してみて一番オオッと思ったのが、窓框がやたらワイドなことでした。どのくらい広いかというと、下の写真のように小型のミラーレス一眼ならば横向きに置けてしまうほど。そんなニーズがあるかどうかはいざ知らず、大三元だろうがバズーカだろうがドンと来い!です。


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 ……まあ、8000系の方も伍するレベルのワイドサイズではあるのですが(下の写真。はみ出し幅に注目)。8000系は平滑なのに対して新3000系はエッジが盛り上がっているので、物置きとしては新3000系の方が気休め程度ながら安心感がありますね。


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 ロール式のカーテンを下ろした状態。完全に閉めてもなお、スマホが置けるくらいの幅が残ります。


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 基本的には改善で占められている設備・デザインの変更点ですが、ただ一つ遺憾だったのが8000系にあった壁面のフットライト(下の写真)が新3000系では無くなっていること。他の鉄道車両ではなかなか見ない、上質感を演出する仕掛けで気に入っていたのですが。


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 他、車内でのカット。


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 忙しないピストン運行が京阪特急のイメージなもので、車内整備後の再開扉から発車まで10分もあると、まるで長距離列車に乗り込んでいるかのようです。


 そういえば乗車開始直後に熟年のご夫婦が京都方車端のアテンダント控え室を指して、「あそこ、トイレじゃないの?」と尋ねるという一幕が。まだ発車まで少し時間があるからということでアテンダントさんは駅のトイレを使うように勧めていましたが、置いてけぼりにされるのが心配なのか諦めた様子でした。自由席ならば列車を見送るなり、車内で切羽詰まれば次の停車駅で降りるなりといった対応が容易に取れるのですが、やはり座席指定制の車両にトイレがないというのは未だに違和感が抜けきりません。車両基地に処理施設がないからというのが一番もっともらしい回答なのでしょうが、奇しくも京浜急行にて今春より2編成のみながら同社初のトイレつき車両が運行を開始することになり、結果的に当て擦りのような形となってしまいました。


 10時40分、定刻通りに淀屋橋を発車。北浜・天満橋・京橋とこまめに乗客を集め、いつものように複々線区間の疾走へと入ります。乗車率は最混雑区間でも5割を確実に下回る程度だったでしょうか。車両自体の乗り心地に関しては片や30年選手で此方生まれたてホヤホヤ、人間でいえば丁度1世代分の差があるとはいえ、車両と軌道の双方ともにメンテナンス状態は良好なので、目立った格差は皆無といってよいでしょう。敢えて指摘するのならば、8000系の制御方式は抵抗制御の発展型(界磁位相制御)なので主に出発時にショックが発生するのに対し、新3000系はVVVF制御なので至って滑らかに発進するという違いですね。


 枚方市停車。京阪特急の旅客流動は大阪⇔京都、大阪都心⇔郊外、京都都心⇔郊外の3種が入り乱れてなかなか激しいのですが、今回はプレミアムカーもまた、その流動に倣って乗降が頻繁です。とはいえそれも一般車両と比べたならばカワイイもの。前後の車両の喧騒からは完全に隔離された、“浮世離れ”した空間であるのは相変わらずです。8000系ならば混雑時に補助イスの使用を中止する旨の放送が入るのですが、新3000系には元々補助イスが装備されていないため、一般車両の混雑状況を推し量るほぼ唯一の情報すら断たれた格好です。


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 なお本日のデイトリップでは2回プレミアムカーに乗車しましたが、事前のプレミアムカー券発券は受けずに直接アテンダントから買い求める乗客を度々目にしたのが印象的でした。既に述べたように特急・ライナー停車駅のプラットホームには必ず自動券売機が置かれているのですが、後ほど発券を体験してみたところ、メニュー階層が深くて出発直前に操作するのには適さない作り。何しろ完全10分間隔なので自ずと出発直前に発券するというシチュエーションがちょいちょい発生するわけで、こういう時は機械に滅法強い私ですら、アテンダントからの購入が「最適解」になるだろうなと。尤も、JR東日本とは違って事前発券と車内発券で料金は同額ですし、もちろん座席の指定も可能。以前に比べて単位時間当たりの座席数も50%増加しているので、オンライン予約サイト『プレミアムカークラブ』でのポイント還元・行使に拘るのでなければ、データイムに限れば飛び乗りでもまず不都合は無さそうな感じです。


 無停車時間が長くなる京橋―枚方市および樟葉―中書島間では、車内サービスのためにアテンダントが巡回。ブランケットとモバイル機器充電器の貸し出しサービスはCOVID-19感染拡大防止の観点から中止となっていますが、沿線情報誌『K PRESS』『島民』の配布およびプレミアムカーオリジナルグッズの販売は継続中です。私はミニマルライフを実践しているので物販での増収には貢献できないのですが、グッズの新商品がコンスタントに出ているからには、売れ行きはなかなか好調なのかもしれませんね。真冬の乗車でしたが往復ともに車内の温度設定が絶妙で、ブランケットの貸し出しサービスの存在をすっかり失念しておりました。


 列車のリクライニングシートに腰掛けるのは昨年6月の近鉄「ひのとり」以来でいつになくハイテンションになっていることもあり、気付けばあっという間に京都都心部の地下線区間へ。新3000系プレミアムカー運行開始と同時に実施されたダイヤ改正にて平日データイムの特急の所要時間が短縮され、当列車の淀屋橋―出町柳間の所要時間は従来よりも1分短い54分となりました……が、今回ばかりはそれとは全く関係なく、京阪間を移動したとは思えないほどに時が経つのが凄まじく早かったです。


 新3000系プレミアムカーデビュー記念のヘッドマークが装着された、大阪方の先頭車両。2008年10月の運行開始から12年余り、こちらの方も液晶ディスプレイ型のヘッドマークが追加されたり、指定席の連結に伴って号車表示が目立つ位置に大書きされたりと、エクステリアの変遷が続いています。


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 おまけとして、一瞬で過ぎ去った中之島線ベル・エポックの写真を添えて。……中之島線のこと、時々でいいから……思い出してください……


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 このあと伏見エリアを散策したのち、復路は中書島(ちゅうしょじま)駅からプレミアムカーに乗車。プラットホーム上のキャッシュレス券売機を利用しましたが、その際の購入の様子は下に貼った動画でご覧ください。右手でスマホを構えて左手でICカードを持ちつつタッチパネルを操作、目では操作画面と動画のフレーミングの両方を確認するという、器用なことをしております。外国人の鉄道乗車レポート系YouTuberさんがやっているのをよく見ますが、いざ自分で行ってみるとなかなか完璧にはこなせないですね。



 目の泳いでいる私の顔が画面の反射で映っているのですが、初見では直感的に操作できずに所々で固まっている様子がお分かりかと。ざっと思いついた範囲でダメ出しをしてみると、

  • 開始ページは単なる残席表示で直接列車を選択するボタンはなく、[購入はこちらから]ボタンを押さなければならない。
  • 強制的にシートマップからの選択になる。人数選択と窓側/通路側指定の機能を一画面に集約できるのでその点では合理的ではあるものの、ザックリとした条件指定が出来ないのは煩わしいかなと。とりわけ複数の号車にまたがるライナーの一般席だとそれが顕著になりそう。
  • 英/中/韓への切り替えボタンが目立たない。カラーで国旗を表示して注目させるなどといった工夫が必要では。
  • 各階層で次の画面へ進むボタンも小さくて目立たない。もっとサイズアップして、更に点滅させると良さそう。
  • ポップアップも含めると画面切り替えが9回、しかも選択肢次第でスキップできる階層が一つもないというのはやはり多いかと。

 まあこんな感じで。もし自分がUI設計の責任者だったら、ちょっとこれではOK出せないかな…… 2回目からは電光石火で操作できる自信はあるものの、個人的にはどれだけ習熟したところで発車まで3分を切ってから使う気にはなれないです。


 自動券売機で発券したプレミアムカー券。インフォステーションで発券するタイプよりも縦長で、文字のサイズも大きくなっています。なお、ペラペラのレシート状なのは変わらず。右上に印字された番号が25となっていますが、この券売機で発券された25枚目という意味なのかな。この日はダイヤ改正日の1月31日から数えて10日目なのですが、だとしたら稼働が始まったばかりとはいえ一日平均3枚弱というのは随分少ないですね。京都方面行きホームならばまだしも、大阪方面行きホームですし。


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 中書島から8000系プレミアムカーに乗車。入れ替わりに1名下車がありましたが、京都市内区間のみの利用というのも普通にあるんですね、「関西人はケチ」だなんてただの空言です。尤も、この情勢だと『密』回避という切実な理由もありそうですが。実際、枚方市では前の一般車両が発車時刻を過ぎても乗車の列を飲み込みきれないという場面を目にしているもので。準急が香里園で特急に追い越されてしまうために、速達列車の補完としては殆ど機能していないのが一因なのですが。


 それでは最後にまとめです。今般デビューした新3000系プレミアムカー、先行した8000系プレミアムカーのユーザーからのフィードバックを反映して元々完成度の高かったアコモデーションがまた一段階ブラッシュアップされ、欲張りファンの期待をも裏切らない出来の車両に。新幹線ならばともかく、都市鉄道でこのレベルの車両が10分間隔でやって来るというのは革命的とすら言えます。料金もJRのようなバカ高さではないですしね。その一方でトイレがないというのはやはりクリティカルでもあり、「画竜点睛を欠く」ではちょっと生ぬるく、「他は全問正解なのにただ一問の誤答が絶対アカン禁忌肢」くらいの表現が適切かと。8000系と新3000系、選べるのならば窓割りの問題が解決して天井周りの見栄えも良くなっている新3000系を選択しますが、ではそのために先発列車を見送るかといえば、例え10分でも否、くらいの違いですね。


 コロナ禍が引き金となって永続化するであろう乗客の減少を踏まえて、京阪HDのCEOから早ければ今秋にも列車の減便を実施する意向が表明されるなど、攻めてる中にもちょっと暗い影が差していたりもするのですが──日和見主義とは対極の長期的視点が求められるのが鉄道経営なので、恐らくどこの鉄道会社のトップもV字回復の可能性など端から当てにしていないでしょう──、それでも世界の最先端をひた走る関西私鉄スピリットの火は2020年代もきっと消えやしないだろうと強く確信した、2月の一日でありました。


〔関連記事〕
京阪8000系「プレミアムカー」に乗ってみる(前編)(後編)

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