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2022.07.21

22/07/04 (6)また来たけん、熊本

 6年前の旅でわりと好印象だった熊本。メインの理由は他にあれども、ともあれこうして再訪が叶いました。当駅は富山駅と同様に新幹線開業から少し遅れて2018年3月に在来線が高架化。駅ビル『JRくまもとシティ』を含めた全体の完成を迎えたのは昨年4月とのことです。蛇足ながら先代の駅舎が現役だった6年前は路線バスの車窓から外観を眺めたのみ、更に遡ること22年前は改札内で列車を乗り継いだのみなので、駅で乗り降りするのは改築後の今回が初めてとなります。


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 きょうはSUNQパス利用だった前回とは逆に市内移動は市電に頼ることになるので、コンコースのツーリストインフォメーションにて一日乗車券を入手しておきます。市電だけならば500円なのですが、ついでに熊本電鉄の路線も根元だけちょっと乗ってみようかと考え、こちら↓の『わくわく1dayパス』(→産交バス公式の案内ページへ)の区間指定①版を選択。値段は700円です。なお、利用日の記入はスクラッチ式。この種のチケット、今でこそ内側に折り畳んで不意に削れないように配慮されているものの、一昔前まではこの辺が無頓着で気を遣いましたね。


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 正面口である白川口(東口)を駅前広場から眺めます。いつもと作風が異なるので言われなければ…というか言われても分かりませんでしたが、設計は安藤忠雄。熊本城の石垣の武者返しをイメージしたデザインとなっています。これも見た目はまぁいいものの、在来線のホームが狭くて危険だとかその屋根の支柱が太くて動線を阻んでいるだとか、敷地の制約などもありデザイナーのみが責任を負う事案ではないとはいえ、直ちには解決が困難な実用面での問題を抱えてしまっているようです。車両だけに飽き足らず駅もかいな、JR九州。


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 今夜宿泊するホテルは駅から徒歩5分と案内されているのですが、せっかく一日乗車券を所持しているので1駅だけ市電に乗車することに。市電だけに頻発しているものだと思い込んでいたら、のりばの時刻表によると現在の時間帯は不等間隔の毎時6本と案外少なくて裏目に出てしまったのですが、また歩き出すのも面倒なので気長に待つことにします。


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 歩けば3~4分のところを10分掛けて二本木口電停へ。


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 坪井川を渡る橋が工事中につき遠回りを強いられるという不運もありつつ、その『ホテル五番館』に到着。2020年に改築されており、古風なホテル名も改築前の屋号をそのまま引き継いでいるため。口コミを見る限りでは駅により近い横文字を並べたチェーン系のホテル群よりも感触が良さそうでした。尚、ネット上のレビューには改築前の古い建物のものも交ざっているので、閲覧の際にはそれらは自己ミュート必須。


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 今回はビジネス系のホテルでは珍しく2食付きのプランで予約しており、価格は禁煙シングルで6,860円(税サ込/ヤフートラベル経由/後日2.7%キャッシュバックあり)。荷物だけ預けるつもりで立ち寄ったものの、既に清掃が終わっていたのでその場で部屋へ通してもらえることになりました。


 部屋は最上階の5階。外光が入るうちに室内の撮影を済ませておきます。お手頃価格にしては室内スペースは広めで、窓からは通りを走る路面電車も見えるというおまけ付き。今回はバスターミナルではなく熊本駅を拠点にして動くという理由もありますが、前回の繁華街のホテルは騒音の件で参ってしまったので、こうして街の外れの立地を選んだ次第です。ただ、6年前と較べると随分と中高層の建物も増えたようで、徐々にではあるものの熊本市の副都心らしさを整えつつある模様。ちなみに部屋の風呂はユニットバスですが、館内1Fに大浴場があるのでこちらは使用せず。


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 ウェルカムドリンクのアイスコーヒーを頂きながらホッと一息ついているうちに、時刻はもう12時50分。熊本城だけとはいえこれから観光も控えているので、休憩もそこそこに再出発することにします。


 熊本市電の完乗のために、南へ少し余分に歩いて始終点の田崎橋電停へ。下の写真は熊本城のお堀の一部にもなっている坪井川です。台風接近中だけに時間の問題かと思いますが、くまモンランドは現在のところ降雨はなく傘なしで快適に歩けます。この季節なので蒸し暑いのは初めから覚悟の上。


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 田崎橋電停および、発車待ちをしている1200型電車です。発着線は1線のみですが、熊本駅前電停を含む田崎橋~辛島町間は2系統あるうちの一方であるA系統のみが通過するため、ラッシュ時はともかくデータイムは時間のゆとりをたっぷり取って折り返しています。


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 床が板張りの車内。1997年に日本で初めて超低床式LRVを走らせた熊本市電ですが、その主役はまだまだこのようなチンチン電車です。なお、運賃は全線均一で大人170円(2022年現在)。全国での路面電車最安運賃は長崎電気軌道の140円ですが、この時代ならば100円台というだけでも大変有難く感じます。


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 車両にどこか不具合があるのか、運転手さんが出発前に車内のあちこちを弄り回しており、熊本駅前電停での時間調整中にもマスコンの蓋を開けて首を傾げていたのですが、運行自体には何一つ影響はなく順調に進みます。順調とはいえ本数が意外と少ない上に熊本駅前で5分停車と、既に想定よりも30分以上押しているところを急く気持ちとは裏腹に“ダイヤ通りに”ゆったり走ってくれはりますが(苦笑)。なおこちらの運転手さん、微に入り細を穿つ非常に丁寧な肉声のアナウンスが印象的。後刻乗車する連節車両では運転士とは別に乗務する車掌がこちらを担当していたのですが、当電車では一人二役を完璧にやってのけており、その器用さに舌を巻かずにはいられませんでした。これがもし公営ではなく民営ならば民営化の成果がフンダララとペテンの方便に使われそうだな…とか何とか(東の粉もんシティの方角を一瞥しながら)。


 田崎橋からの2.8kmを19分「も」掛け(表定速度8.8km/h!)、辛島町で下車。以前は熊本交通センターのあったこの場所も6年で景色が一変していたのですが、まずは懐かしのアーケード街を経由してランチのお店へ。


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 すぐに『勝烈亭 新市街本店』に到着。余所者にとっては隣の鹿児島ではなく熊本でポークというのが盲点ながらも、ミシュランプレートを獲得したとんかつの名店だそうで。グルメ趣味の無い私にはビブグルマンとミシュランプレートの違いがリーズナブルという共通点以外ではっきり解らないのですが、知ったかぶりは良くないのでここではまたサラッと流しておきます。


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 午後1時半とやや遅い時刻なのと、コロナ前はわんさか居たらしいインバウンドが根こそぎ消えているのとで、順番待ちは3名のみですんなり席へ案内。ランチタイム(開店~16:00)はグランドメニューが割安に提供されるということもあり、ロース系の松クラスである「鹿児島県産 六白黒豚 ロースかつ定食」(税込2,035円)を迷わずチョイス。……あ、やっぱり鹿児島になっちゃったね……w それはともかくこちらの六白(ろっぱく)黒豚、奄美の島豚を先祖に持つという、黒豚の中でもとりわけ希少な種なのだそうです。


 お料理の写真。久方振りにガツンと衝撃を受けたために思わずピンクの断面まで撮ってしまいましたが、揚げたてならば肉が噛まずとも口の中で溶けていくほど柔らかいです。スタンダードにとんかつソースで頂くのも勿論いいのですが、衣がサクサクなのは当然のこと普段はあまり意識しないはずの「衣の味」までもが美味しく、肉そのものの深い旨みとジューシィさも相まって岩塩だけをつける食べ方が大層気に入りました。このクオリティで2千円というのは格安と言っても過言ではなく、もし近くに店があれば月イチで通うレベル。「城下町は食の水準が高い」という仮説の信憑性がまた補強されたのでした。


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 各席に大量に並ぶ容器。ご飯・キャベツ・赤だしがおかわり自由なのに加えて、手前左の容器の阿蘇高菜も食べ放題。上述の岩塩と2種類のドレッシングのほか、とんかつソースも和風と洋風が用意されており(個人的には洋風はイマイチでしたが)、これらの味変で最後まで飽き知らず。更にランチタイムにはセルフでコーヒーのサービスもあります。モダンで清潔感溢れる店内に大変丁寧な接客と、ここまで完全無欠のお店というのは滅多にないのではないでしょうかね。知床のラーメン店の件もありましたし、食べログあたりの寝言もとい素人レビューは軽蔑を込めて徹底ガン無視の私すらも、ミシュランの調査員の眼力および物理的・ジャンル的な守備範囲の広さには敬服させられました。


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 居心地の良さゆえ予定外に長居してしまい、店を出るともう午後2時半。ここから熊本城はすぐ近くなので徒歩で向かいます。その途中の辛島町電停前、6年前に仮設のバスターミナルがあった場所には、芝生の広場および『SAKURA MACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト)』と称する大型複合施設が爆誕していました。アーケード街がなければ同じ場所だと気付かなかった。2019年9月に供用を開始した本設のBTは同施設の1Fにあり、熊本交通センター改め「熊本桜町バスターミナル」と名乗っています。


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 移行期間中の仮設BTは通りを一本潰してそこを発着場としていたのですが、使命を終えた後も車道を復活させたわけではなく、下2枚の写真のように幅員そのままの広々とした歩行者用プロムナードとなりました。やるねぇ、くまモンランド👏。これまた「(モータリゼーションの荒波を乗り越えて)トラム網を維持している街は文化水準が高い」という仮説の信憑性が補強されましたのぉ。


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 こうしてすっかり上機嫌になったところで、今回の旅唯一の観光へ。

(2022.07.04)

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