22/10/06 (3)あいち2022 Part5【有松会場I】
▲名鉄有松駅
前回訪問時(こちらも四半世紀前ですが)は上下線別の地上駅舎をもち、旧“宿場”町(東海道の「間の宿(あいのしゅく)」;原則として一般の旅行者の宿泊は禁止)らしい長閑さも残っていた有松駅。2022年に再訪してみれば、大型ショッピングモールが隣接する橋上駅舎へと変貌を遂げていました。とはいえ線路は地上を走るままなので、日中でも密度の高いダイヤゆえ、駅西側の県道237号線の踏切は終日混雑しているとのことです。
その県道を南へ向かうとすぐに旧東海道の道筋と交差(※ここが県道237号線の終点;旧東海道も県道222号線)しますが、ひとまずは通り過ぎてこちらの「味福」へ。平日の午後1時過ぎという時間でも順番待ちが必要なほどの繁盛店です。
注文した並海鮮丼(税込1,210円ですが何故か100円割引)。上海鮮丼もありましたがこちらの並で十分でした。てんこ盛りのネタにキャベツサラダにミニ蕎麦まで付いてきて、ボリュームも大満足。お肉もいいですが美味しいお魚をたらふく頂くのはやっぱり最高ですね、それにしても昨日のあれは一体何だったのか…(苦笑)。過去の旅を振り返っても、どうやら海辺での海鮮はイメージとは違い却って損というジンクスが出来上がっているようで。
店内に1時間弱滞在したため、散策開始は午後2時過ぎ。先述の傘が要らない程度の小雨もこの間に降り止んでくれました。手始めにトリエンナーレの順路に沿って、県道237号線との交差点から旧東海道を西方向へ進みます。下の写真は同地点から東方向を向いたところ。
※有松会場の作品の解説はこちらのリンクから[会場別]→[有松地区(名古屋市)]で。
まずは下の写真の「山田家住宅(旧山田薬局)」ほかエリア内の計8か所にて屋外展示されている、「ピープルズ・ウォール(人々の壁)2022」(ミット・ジャイイン/Mit Jai Inn)がお出迎え。この地区の伝統工芸品である有松絞りの反物や暖簾にインスパイアされたという、リボン状の絵画です。
有松は名古屋へ来る度に訪問地候補に挙がっていたものの結局四半世紀もご無沙汰のままでしたが、1キロメートル弱と短いながらも名古屋市内にこれほど密度高く伝統建築が保存されているというのは、心底驚異的・奇跡的です。
訪問日は10月6日でしたが、この時期は偶然にも地域の生け花サークルの展覧会と重なり、随所で有松絞りの生地及び一部には生花も使ったオブジェが屋外展示されていました。
街道沿いに並ぶ絞り染めの商家の中でもとりわけ大規模な「竹田家住宅」とその茶室「栽松庵」も展示会場。「見られている」(プリンツ・ゴラーム/Prinz Gholam)と題された作品の仮面が建物じゅうに飾られ、ある意味ゲンビの定石とは言え一種奇妙な景観を作り出しています。
中庭を通って茶室へ。外観からは想像し難いほどに奥行きのある大邸宅です。
垂木にテープでカラフルな幾何学模様を施した、「ロト・シャク」(ガブリエル・オロスコ/Gabriel Orozco)と題された作品。
実は竹田家住宅のすぐそばにもう一か所展示会場があったのですが、ここだけ入口が表通りに面していなかったために自分のミスで見逃してしまいました。しかも気付いたのは当記事の執筆中のことという、知らぬが仏の話。(基本的にはスキップする)映像がメインだというのが救いではありましたが。
引き続き名古屋市内らしくない風景を。町並み保存地区の西端まで歩いてくる(下4枚目の写真)と、前方に名古屋第二環状自動車道、通称名二環の高架が迫ってきます。市街化に巻き込まれるのは仕方がないにしても、こちらの高架橋に関しては景観面ではやはりクリティカル。
雑ですがレタッチで消してみました。こうしてみると他は完璧なのにこれだけが唯一の異物なので、実に惜しい。タワマンでないだけまだマシとでも言うべきでしょうかね。
一棟の建物としては有松最大の「岡家住宅」では、ピープルズ・ウォール2022のほか建物内にて2名の作家の作品を展示。
▲岡家住宅・外観
▲ユキ・キハラ/Yuki Kihara「サーモアのうた- Fanua(大地)」
〔コメント:サモアの伝統的な織物と日本の振袖を融合させた作品〕
虫関係なのでダメな人はとことんダメそうですが、「彼女に布をわたしてみる」(AKI INOMATA)はタイトルの通り、ミノムシに有松・鳴海絞りの布で蓑を作ってもらうという実験的作品。一緒に展示されている団扇の柄は、ミノムシの成虫であるミノガ(オスだけでなくメスも羽化する種)の翅の模様をモチーフにしているとか。
有松会場編も写真が多いので、ここでいったん分割します。
(2022.10.06)
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