23/03/20 (1)うめきた新駅(大阪駅地下新ホーム) First Impression
また久々の更新となりますが、3月18日に開業したうめきた新駅(大阪駅地下新ホーム)を利用してきましたので、第一印象をまとめておきます。最初はどうせいつか関空に行く機会があるのだから特急<はるか>で初体験、のつもりだったのですが、いざこうして開業してみるとやっぱり待ちきれなかったので(当たり前だ笑)、同じく地下ホームを発着する特急<くろしお>に乗って19年前に訪れた湯浅・黒江を再訪する、というデイトリッププランを急遽拵えてきました。昨年末からは巷間とは別の用法で自らに“行動制限”を課しているため、どうしても行動範囲の制約を受けてしまうのでね。今年はどこまで下がる、人類のIQ……
8時12分、丹波路快速で大阪駅8番ホームへ到着。従来はどん詰まりだったプラットホーム西端(下の写真奥)に、供用を開始したばかりのエリアへ通じる通路が開通しています。
このほど2つ増えて合計7つ(※エキマルシェ大阪口を加えると8つ)になった大阪駅の出口一覧。西口・うめきた地下口以外の改札口から入場すると、新設の21~24番ホームへは現在工事中の11番ホームを除く5本のプラットホームのいずれかを経由して向かうことになります。今回はJR線同士という一番シンプルな乗り換えで利用しましたが、他社線およびJR東西線からだと最適な乗り換えルートは総じて1~11番ホームと異なるはず。
通路の先。手前に階段、奥にエスカレーターとエレベーターがあります。この設備が6本の高架ホームすべての西端に新設されました。
下りた先は西口のある1F。こちらは改札内コンコースです。後日西口を出場しましたがそちらはまた後のエントリーに回すとして、今日はそのまま連絡通路を抜けてうめきた地下口&地下ホーム方面へ移動します。
エスカレーターで下ると、
B2Fに設けられた連絡通路へ。うめきた地下口はB1Fに位置するため、通路の先にてもう一度エスカレーターを上ることになります。この通路で大通り(大阪市道九条梅田線)をくぐるので、おそらく共同溝を避けるためという理由かと。
うめきた地下口の改札内コンコースに到着。後日、9番ホームに到着した7両編成の電車最後尾(=最も西寄りに停まる車両)から22番線に停車中の電車までの所要時間を計測したところ、早足&エスカレーターは立ち止まってという条件で「4分20秒」という記録でした。仮称は北梅田駅だったものが結果的に大阪駅へ統合されることになりましたが、体験してみると案外近かったので、同一駅であることに違和感は覚えませんでしたね。それこそ東京駅の京葉線ホームと比較すれば余裕で許せるレベル(笑)。
まずは関空・和歌山・白浜方面とは反対の23・24番ホームへ下りてみます。24番ホームからは8時27分発の京都行き特急<はるか4号>が出発していくところ。1994年9月の関空開港から28年半、とうとう大阪駅から直接はるかに乗れる日がやって来ました。関空方面だけでなく京都方面もe5489のチケットレスサービスを介すると指定席特急料金の大幅な割引があるので、新ホーム開業を機に通勤・お出掛けにご活用くださいとPRされています。高架ホーム発着の特急(<サンダーバード>や<スーパーはくと>など)を合わせれば相当な本数がありますからね。
普通・快速列車は、始発・終着が新大阪から大阪へ切り替えられたおおさか東線が発着。昨春のダイヤ改正で普通列車の全列車が、そして今春のダイヤ改正で直通快速も全列車が221系に置き換えられました。従って現行のダイヤでは地下ホームを発着するすべての定期列車がオールクロスシートという、大阪駅らしからぬ風景となっています。2本ある島式ホームの外側は現状特急専用となっており、内側に発着するおおさか東線は列車によって出発ホームが分かれてしまうのが難点といえば難点でしょうか。ここからおおさか東線の電車に乗車した&開業記念に京都→大阪間で<はるか>に乗車した話もまた後のエントリーにて。
23・24番ホームを見渡して。なーんかガランとしているな……という印象を抱いたのは、ホーム上にベンチや待合室の類が存在しないからでしょう。因みにこれは隣の21・22番ホームも同様。おおさか東線の電車は(新千歳空港駅ほど徹底してはいないものの)在線時間が長いので然程不便は無さそうですが、その一方で特急は駅での待機時間が長くなりがちなので、これはいただけない。将来的に南海線が乗り入れて梅田の主要ターミナルのひとつになる駅にしてはホームもコンコースも広いというわけではないですし、後述する駅施設のサイバー感とは裏腹にこういった部分での設計思想の貧しさを感じたというのが率直なところです。
この日は3月20日月曜日。開業から3日目、そして平日ダイヤでは初日となる日でした。そのため、構内のあちこちにJRWの社員が立って様子を見守っています。朝ラッシュのピーク時間帯の終わりかけに滞在していましたが、7・8時台でもおおさか東線の到着列車は1時間に6本というのんびりしたものとは言え、まずは滞りなく捌き終えたようで安堵、でしょう。
以前の貨物線のルートよりもグッと大阪駅側へ寄せて利便性を確保するかたわら、ホームは割と急なカーブの途上に設置されています。なお、ルート変更後も桜島線(JRゆめ咲線)安治川口駅を発着する定期貨物列車が本数は少ないながら引き続き運行されており、地下化によって生まれた急勾配区間を通過するために貨物列車が(本来の山間部ではなく)都会の真ん中で補機を連結するシーンを見られるようになったことが大きな話題となっています。
いったん改札内コンコースへ戻り、改札口正面奥のスペースにあるバーチャルアクアリウム『FANTASY AQUARIUM』へ。スクリーンの前で手を振る・体を動かすと泡が湧き立つという演出があります。私も手だけは振ってみましたが、こういうのは元気のカタマリであるお子様に任せるのが一番でしょう。
トイレ入り口には個室の空き情報を表示するディスプレイが。
改札口。左のゲートはモニターテスト中の顔認証改札機です。募集対象者はICOCA定期券利用者で且つ大阪駅うめきた地下口~新大阪駅東口間の利用に限る(入場・出場ともに両駅の顔認証改札機の通過が必須)という極めて厳しい条件のため、ごくごく短い観察時間のあいだには利用者はゼロ。ただ、当駅の改札機はICカードをタッチしての入場・出場にも対応しているため(※地方の駅の出入口にある簡易型カードリーダーと同様の運用形式)、夜に再び見に来たところ通過人数自体は結構おりました。
今日は途中下車を行うべくICOCAでなく紙の往復乗車券(川西池田~湯浅間。100km超え且つ和歌山以南は大阪近郊区間外)を購入したため、時間に余裕のある夜に先駆けて朝でも数分のみながら改札外へ出てみることに。
「AI案内所」と、AIがきっぷの購入をサポートしてくれるらしい「みどりの券売機プラス+AI」。
また、JRWの『WESTER』アプリに目的地を登録しておけば構内のLCD案内板に自分専用の案内が表示されるというサービスもありますが──構内を離れた後は? 上の「現時点では」未熟なAIもそうですが、物珍しさはあっても実用面では……といったところでしょうね。
▲個室オフィス(左側)もあります
こちらは夜の撮影分。うめきた地下口から直接地上へ通じる出口(下1枚目の写真)は来年夏に先行まちびらきが予定されているうめきた2期地区「グラングリーン大阪」整備中につき、梅田ランプ東交差点(同3枚目;大阪駅JR高速バスターミナルのバス出入口のあるところ)からの出入りしかできない状況です。
こちらはうめきた広場B1Fを経由して中央北口方面へ至る通路。阪急線やメトロ御堂筋線はこの地下通路を通っての乗り換えがベストかと思われます。
それでは白浜行き<くろしお3号>が出発する21・22番ホームへ下りることにします。なお、ホーム上だけでなく改札内コンコースにもベンチは置かれておらず。この駅は頑として乗客を椅子に座らせるつもりはない模様です。いや…… 普通に頭おかしない? 意識していなかったのですがゴミ箱も自販機もまたホーム・コンコース共に無かったはず。未来は未来でもディストピア志向なのかなコレは。してみれば上記のFANTASY AQUARIUMのある不自然なスペース、上手く糊塗してはいるものの元々は別の用途が想定されていたのでは?という、ほぼ確信に近い想像をしてしまいますね。
4線あるうち、関西空港・和歌山・白浜方面行きの特急が発着する21番ホームにはフルスクリーンタイプのホームドアを設置。このタイプで且つあらゆる車両のドア配置にフレキシブルに対応するものとしては世界初の実用化ということですが…… 実際の開閉動作を見てみてこれは日本発が必然だったなぁと思うのは、動きがまんま襖(ふすま)のそれなんですね。ガラス戸だけでなくデジタルサイネージも移動するというのがポイント。初見では予想もしない複雑な動きに驚かされること請け合いです。
この通り、ホーム内側から ①デジタルサイネージ ②ガラス戸1段目 ③ガラス戸2段目 の三段構造になっているのがお分かりかと思います。
スチルではなかなか直感的には理解しづらいこの動作。自分でも動画を撮影しましたがマイPCがよわよわで4K動画の編集が満足にできないため、代わりにJRW公式の解説動画を貼っておきます。あと、個人撮影の動画はYouTubeにて各自検索でよろしくよろしく。
<はるか><くろしお>が発着する21・24番ホームには専用の発車メロディが用意されました。とりわけ24番ホームの躍動感のあるメロディが印象的ですが、これはどちらかというとこれから南紀や国内外各地へ旅立っていく人が利用する21番ホームの方が似合うように思えました。
ホーム上のLED発車標。表面にマットな透明パネルを重ねて文字が浮き出るように見せてあり従来タイプよりも上質感があるものの、最新型にも拘らずフルカラーではないんですね……
こうしてざっと見てきましたが、広報代行もとい各種メディアで取り上げられている未来感よりも、余裕の無さそうな駅スペースのキャパシティや長めの待ち時間が苦痛でしかない“ゼロベンチ施策”などといった不作為の方が印象深く、こりゃあ仏作って魂入れずだなと。まあ、相鉄・東急新横浜線と比べれば地味な新線・新駅でありながら、こちらの方はなにわ筋線開通後が本番ですからね。まだまだ時間がありますし、それまでに関空からの乗客が最初に降り立つOsaka/Kansaiの玄関口に恥じない姿を整えてほしいものです。やらんだろうけど。中長期的なアレコレはともかく、椅子は今すぐ用意しやがれという話ですが。
次回は<くろしお>号に乗って湯浅へ向かいます。
(2023.03.20)
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