23/03/20 (3)湯浅再訪 その1
前回と同様に、JR湯浅駅から散策のスタート。駅舎は2020年10月に全面オープンした観光交流センター・町立図書館・カフェ・地域交流センターなどが入居する3階建ての複合施設、『湯浅えき蔵』と一体化しています。
*今と比べれば簡素な記述ですが、前回の訪問記録はこちらのリンクから。
以前は下1枚目の写真のような小ぢんまりとした駅舎が使われていましたが、こちらは取り壊されることなくそのまま残されており、リノベーションのうえ飲食・物販スペースや交流広場、電車を眺められるデッキテラスを整備中(同2・3・4枚目)。工事の方は大詰めを迎えていて、オープン予定まではもう2ヶ月ほどと惜しいところでした。いやァ、素敵じゃないですか。後述しますが昨今のアーバンネットワーク周縁部における昼間の減便ラッシュの影響で当駅でも列車が最大で60分待ちとなるケースが発生しているとはいえ、これならば観光客にとって待ち時間の増加は寧ろ望むところ…かも? 現駅舎とは屋根付きの渡り廊下で接続されているのも優しいです。
湯浅えき蔵1Fの観光交流センター(=観光案内所)にて散策マップ(下の写真)をゲット。今日はメインの湯浅に加え、隣接する広川町(ひろがわちょう)の湯浅駅から徒歩圏内となるエリアをまとめて訪れてみることにします。レンタサイクルも用意されていましたが、ガチカメラを首からぶら下げちょっと進んでは足を止めてシャッターを切りまくるスタイルなので──トリガーハッピーならぬシャッターハッピー?──、いつものように徒歩で巡ることに。
重伝建地区を目指して北北西方向へ進みます。すぐにルートが二手に分かれますが、移転前の町役場跡地を通る左に対して今日は直進。駅から2分ばかりも歩けば、時が一気に昭和にまで巻き戻ります。列車に乗り込んだのが(2日前に開業したばかりの)令和の電脳ステーションだっただけに、彼我のギャップが一際大きく感じられたようで。醤油発祥の地としては有名でもこちらは特段セールスポイントとされてはいないのですが、だからこそしっとりとした魅力に映るのでしょう。
江戸時代末期の町家を改修した休憩所「立石茶屋」のある四辻には、1838(天保9)年に建立された石造りの熊野古道(熊野街道)の道標が保存されています。表記は「東 きみゐでら(紀三井寺)」「北 すぐ熊野道」「南 いせかうや(伊勢高野)」と巡礼者へ向けたものとなっています。風情はとてもいいのですが、町割が昔のままで道が狭隘なのに自動車の交通量が多いため、歩いて探訪するにも車で通るにも快適とはいかないのが国内外の旧市街地の悩みどころ。
道標に隣接する建物では2004年の訪問当時、昭和の象徴たる駄菓子屋さんが開いていましたが(下1枚目の写真)、今回の再訪時には廃業(同2枚目)。当時でさえまだ営業していることに驚かされたので、これはもう止むを得ない。古い建物がそっくり残り情趣が失われていないだけまだ良かったと思うべきでしょう。
後ほど訪れる広川町エリアと共に、湯浅も昔から津波の脅威と隣り合わせの地域。四辻から西へすぐの深専寺(下1枚目の写真)の門前には、醤油醸造家らの寄進により建立された「大地震津波心得の記碑」があります(同2枚目/内容は同3枚目)。口伝・文書・記念碑といったレガシーな伝承の方法も、ビジュアルなそれの情報量には到底及ぶものではなく。膨大な写真・映像がアーカイブとして蓄積された3.11が、日本ひいては世界の災害史における潮目だったということなのでしょう。
深専寺を通り過ぎ、次の角を右へ。重伝建地区の東端を南北に走る「鍛冶町通り」を北上していきます。
しばらく進むと左手にあるのが『旧栖原家住宅(きゅうすはらけじゅうたく)』。建築は1874(明治7)年、1982(昭和57)年まで「フジイチ」の屋号で醤油醸造が営まれていたそうです。こちらは改修工事を終えて昨年11月より一般公開が始まったばかりとか(入館は無料)。典型的な湯浅の町家である主屋のほか、2棟の蔵の内部が資料館として整備されています。
旧栖原家住宅のすぐ先右手、こちらの「竹林家」は古くは醤油と漁網の販売を営んでいたとか。漆喰が剥げ剥げではありますが、まぁ、過度な観光化をされるよりはこの方がずっといいです。
鍛冶町通りと東西に走る「北町通り」が交わる地点に、休憩所として使われている元酒店の「岡正」(下の写真左の建物/建築年代は江戸末期~明治前期頃)があります。この北町通りが観光のメインとなる通りですが、一旦このまま北上を続けて……
山田川の畔へ。橋を渡ったところに飲食・物販施設『湯浅美味いもん蔵』があり、その西隣が観光用駐車場になっています。ここが始終点の散策だと、ここまで触れてきた重伝建地区外の味のあるエリアを見逃してしまいそうでちと勿体ないですね。
戻って岡正前へ。写真が多いので、ここで一旦分割します。
(2023.03.20)
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