24/01/25 (4)極寒・無人の岩村城下町 その2
先程のナマコ壁からぐるっと回り込んで、岩村本通りに面した木村邸の玄関へ。木村家は問屋職を営んでいた名家で、窮乏に苦しむ藩の財政を御用金の工面で支えていたといいます。恵那市は文化振興にも力を入れているとみえ、この旧町人街で他に一般公開されている商家も含め、すべて無料で見学が可能なようでした。
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先程のナマコ壁からぐるっと回り込んで、岩村本通りに面した木村邸の玄関へ。木村家は問屋職を営んでいた名家で、窮乏に苦しむ藩の財政を御用金の工面で支えていたといいます。恵那市は文化振興にも力を入れているとみえ、この旧町人街で他に一般公開されている商家も含め、すべて無料で見学が可能なようでした。
観光客かと思っていたあの一組はどうもそうでは無さそうで、独り駅から歩き出します。重伝建地区のメインストリート、「岩村本通り」の入り口までは駅から徒歩3分。25年前に来た時は酒蔵開きと重なって相当な人出だったのですが、きょうは昨日の関宿に引き続き、この通りの無人です。背景の山が町並みをより引き立てているというのもまた同様。人の少なさといい秀逸な景観といい、2日連続で旅人冥利に尽きます。
やはり恵那駅には2、3分ほど遅れて到着。まったく褒められたことではありませんが背に腹は代えられず、ホーム→跨線橋→JR改札口→明知鉄道駅舎と危険のない範囲にて駆け足で移動します。よいこは“なるべく”まねしないでね💛 予定通り、とても愛想の良いおじさんが迎えてくれた窓口にて発売額1,380円(大人)の全線フリーきっぷを入手(下の画像。上が表、下が裏)。硬券という所がやはり「分かって」いますね。きょうの3区間の乗車では普通運賃よりも少しだけ安くなるという理由もありますが、交通系ICカードには非対応ということで毎回きっぷを買う手間が省けるのが一番の理由です。裏面に記載されている通り、フリーきっぷ所持者への特典も幾つかあり。お好みによって明知鉄道往復だけではなく通り抜けるコースも存在しますが、そちらは明智編にてまた触れます。
予定どおり6時前起床。シモンズだろうとエアウィーヴだろうと旅先で熟睡できるのは稀で今回もスッキリではありませんが、車のドライバーではなく公共交通でのお気楽な旅ですので、特に気にする必要はありません。部屋が暖かくて掛け布団を剥ぐのが苦にならないのはホテルだからこそですが。
近鉄四日市から36.9km先の近鉄名古屋へ。この距離で760円かァ、阪急のほぼ2倍だしJR(本州三社の幹線で680円相当)すら上回っとるやないか……と、我が身の事よりも沿線住民の負担の重さに遣る瀬無さを覚えます。その代わりといってはナンなのですが、1月31日までの期間限定で近鉄名古屋~桑名・四日市間の特急料金が半額の260円となる「名古屋トク近!キャンペーン」が実施されていました。割引料金とはいえエクストラコストには違いないので(高額な運賃の)埋め合わせというわけではないものの、この価格ならばまあ即決でしょう。学生の下校時刻にかかっているので、一般列車には極力乗り合わせたくないですし。
折り返し時間を18分とたっぷり取ったのち、八王子線との乗り換え駅である日永まで10分という短い乗車。今日に限っては「特別バージョン(近世目線&雪)」ではあるものの、内部線・八王子線全線に亘って市街地を往く車窓です。その歴史は大正初期にまで遡り(事業者も現在までに5回も変更)、内部線のルートについては先のJR関西本線よりもより忠実に旧東海道をトレース。街道沿いに経路を選定するというのはセオリーですし、やがて時代が下れば自動車の普及と道路の改良により人の流れそのものが変わってしまうというのもまた世の習いです。平地なので坦々と走っていきますが、川を渡る箇所だけは前後にカーブと勾配があるためにスーッとではなくどっこいしょっ、という感じで橋の存在感が大きかったのが印象的でした。
ナローゲージという用語に関して、国際的には1435mm未満の軌間をすべて包含してしまうという用法が主流のようですが、国鉄~JR在来線を基準とする日本においては1067mmに満たない軌間を指すのが一般的。これに則ると、現在国内で旅客営業を行っているのは黒部峡谷鉄道、三岐鉄道北勢線、そして今回乗車する四日市あすなろう鉄道内部線・八王子線の3社4路線のみ(軌間はいずれも762mm)。以前は北勢線と共に近鉄の路線として営業していましたが、2015年に公有民営方式(車両・インフラは四日市市が保有、運営会社の株式は近鉄と四日市市が3:1の割合で保有)での再スタートを切っています。社名の由来については【明日(に向かって)+Narrow】、の一言で説明が済むものの、少なからぬ日本人が井上靖の小説のみならずピエール瀧氏が熱唱するあの曲を思い浮かべる(そして一度思い出したらなかなか頭から離れない)……というのは会社側でも想定済みかと思われます(漫画の方は知らん)。当時のリスナーならばもう還暦を迎えていてもおかしくないですし。
亀山駅も無駄に、と言っては失礼かもしれませんが、現代の輸送量とは釣り合わないほどの広大な構内を擁する駅。流石に最盛期よりは大幅に縮小されており、西側の操車場跡地にはソーラーパネルが敷き詰められています(亀山だけにシャープ製?)。2社の境界となっている在来線駅では唯一のJR東海が管轄する駅ということもあり、ざっと見渡した限りだと乗ってきたキハ120形を除けば客扱い中・留置中問わず全て同社の車両のようでした。世代交代が進み、国鉄型はもちろん民営化後に投入されたキハ11形の姿すらここにはありません。
中町地区へ戻ります。西向きと東向きでは背後の山の有無で随分と景観の印象が異なりますね。
JR関駅から東海道沿いの町並み保存地区までは徒歩で5分。見学時間はランチ込みでひとまず3時間半を予定していますが、場合によって1時間くらいは延長する余裕もあるため、心行くまでじっくりと見て回るつもりです。自宅からだと日帰りには微妙に遠いので、十年単位で腰が上がらなかった由。現に今朝も川西池田から2時間45分を要しています。
草津駅での接続は3分と短いので、早足で草津線の出発ホームへ移動します。乗り換え自体は余裕でしたが、4両編成の221系は学生で満員。9年前のちょうど今頃、信楽高原鐵道・近江鉄道乗り潰しの旅へ出た際に近接した時間帯の電車に乗車しましたが、あの時は日曜日なのでガラガラだったものの、やはり平日は混雑するようです。Aシートからの乗り継ぎなので余計にかなわんなぁ~…と思って吊り革にぶら下がっていたところ、4分後の次駅・手原にて大量に下車していき、あっさり窓側席へ。結局、2日間で立ち席を強いられたのは幸いこの1駅きりだったのでした。
最近は世界中どこも人が多すぎるせいで、近場の散歩と遠出しての散歩(←旅行とは些かニュアンスが異なる)にしか興味が無くなっているのですが、どうにか執筆意欲の出る後者の話を仕入れてきましたので、半分乗り鉄ネタでもあることもあり、またプチ連載を始めてみます。
そんな1泊2日の“散歩”のまずは1日目。川西池田6時45分発の普通松井山手行きで出発です。本日最初の目的地は関西本線の関駅。3つのルート候補があるうち、今回は草津線経由を選択しています。乗車券の着駅が下の画像の通りに謎なのですが、この意図についてはまた後ほど。
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