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2024.09.29

夏の終わりにまずひと旅 前編【丹後の海 as はしだて2号】

 年々厳しさが増しているとはいえ今夏は酷暑どころの騒ぎではない、さながら延長15回にまで縺れ込んだ死闘といった趣でしたが。9月も末が近づいて漸く表をふらふら出歩いても生命に危険を及ぼさない程度には暑気が和らいできたため、まずは秋-冬-春へ向けてのイグニッションのつもりでKITTE大阪とうめきた公園へ出掛けてまいりました。これだけでは数時間で終わってしまうので、どうせ一日潰すのならばと、7年前の京都丹後鉄道の旅で乗り損ねた「丹後の海」(→WILLER TRAINSによる紹介ページ)に試乗しつつの回り道をして梅田へ向かうことにしたのでした。




 各駅停車を2本乗り継いで川西池田から2時間06分。直近2回と同様に再々度ICカード大回り乗車にて福知山駅のホームへ降り立ちます。ホント、この駅の鮮明な記憶ってプラットホームと改札内のトイレしかないな。


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 これから乗車する豊岡発宮豊・宮福線経由京都行き<はしだて2号>と城崎温泉発新大阪行き<こうのとり12号>は同じホームで連絡を行うので、宮豊・宮福線⇒大阪方面および城崎温泉・豊岡⇒京都方面の輸送も簡便な乗り継ぎにてカバーしています。車種・編成が多岐にわたるために色で表現された乗車位置案内がカラフルですが、北近畿方面のJR特急は全席指定席のために整然とした列を作る必要はなく、目安程度の扱いです。欧州でポピュラーなA・B・C・D…のセクター表示に近い感じでしょうか。


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 10時39分、1番ホームへ宮福線から列車が入線してきました。WILLER TRAINS→JR西日本への乗務員の交代およびこうのとり号との接続のため、5分とやや長めの停車時間が取られています。なお、京都丹後鉄道線内完結のリレー特急はJRのホームではなく同線用の頭端式ホームへ発着します。形式名はKTR8000形。前回の乗車が1996年に「タンゴディスカバリー」「タンゴレインボー」としてデビューして間もない頃だったため、四半世紀を軽く超える御無沙汰だったり。ドーンデザインによる「丹後の海」号へのリニューアル後も、丸っこくて愛嬌たっぷりのフロントマスクはデビュー当時のままに健在です。

〔関連記事〕
丹後あおまつ アコモ編行程編 / 丹後あかまつ アコモ編行程編(2017年5月乗車)


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 特急券(福知山→京都/88.5km)は乗車前日・当日のみ販売のJ-WESTチケットレスを使用。500円390円ではなく今回初めて所定の価格にて購入したものの、それでも850円で済みます(設定当初は750円からデータイム割引100円を引いて650円でしたが…)。


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 デッキ・お手洗い・洗面所をチラッと覗いてから……


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 座席を予約してある2号車へ。安心ではないが安定の水戸岡スタイル、床のフローリングも含めて木材を多用したインテリアというわけで、鉄道ファンにとっては正に関西に居ながらにして九州気分です。尤も、後編で触れるように本日のメインテーマ自体がその「関西に居ながらにして○○気分」なのですが。


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 KTR8000形はリニューアル前から引き続き普通車モノクラス、シート配置は2+2の4アブレストです。シボが特徴である丹後ちりめんのリネン(枕カバー)もデザインを変えながら続投。センターのアームレストは固定式でした。シートピッチはきのさき・はしだて・まいづる系統の主力車種である287系普通車の970mmに対して1,050mmと広いため、シートの座り心地に問題さえなければ(←最重要!)、フリースペースの有無も込みで同じ普通車でもワンランク上の居住性と呼べるでしょう。


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 運転台直後、各編成1か所に設けられたフリースペース。京都~天橋立間は約2時間、久美浜までだと3時間を超える旅路となるので、気分転換にはすこぶる重宝することでしょう。「丹後の海」への改造に際し、座席を1列分削ってエリアを拡大したうえで割と見掛け倒しではないソファが二桁人数分新設されており、リニューアル前は大型テーブルのみで椅子は無かったために大幅グレードアップとなっています。KTR8000形で運転される<はしだて>は所定2両と非常に短編成のため、自由席が設定されていた時代には容易にキャパオーバーとなってその自由席(の座席区画)からこちらへ人が流れてくる、という風に想定外の使われ方をするケースも多々あったというものの、全席指定席となった現在ではそんなシーンは見られなくなりました── と、本来ならばこう書くところだったのですが。


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 どうもこの日は2両増結の4両編成で運転される予定が車両運用の都合で実際には増結されず、その3・4号車の指定席券を所持する乗客の席がないというトラブルが発生していた模様。乗車前日にe5489で予約を入れた段階ではシートマップは2両分しか表示されなかったので、当日突発的にというわけではないようですが。他人事なのでそれ以上追及する気にはならなかったものの、ともあれ2号車のフリースペースは当該客の暫定的な座席スペースと化してしまったのでありました。


 10時44分、また今回も天守の中へ入れなかった福知山城に見送られて定刻通り発車。チャイムがJR北海道の特急のものと同じなので、目を閉じればキハ281系辺りが混じってくる気がしないでもないです。勇ましくディーゼルエンジンを高鳴らせながら線形の良い複線区間(福知山~綾部間)を疾走し、10分で次の停車駅の綾部へ。ホームの手前で一旦停止し、10時52分に先に到着して待っていた併結相手の東舞鶴発<まいづる6号>(こちらもKTR8000形の2両編成)へゆるゆると接近していきます。


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 連結直前でもう一度停止し、「あと1メートル→やわやわー」の合図でもって無事に併結完了。はしだて編成はこの時点でドアオープン(=到着時刻)となります。たった2+2両の列車にこれほど?と軽く驚く乗務員・駅員・作業員の人数の多さ、そして幌をつなげる際の文字通りの力仕事など、想像以上にバタバタしているなという印象を抱いた一連の作業でした。なお、綾部発車後しばらくすると運転台とフリースペースの間の仕切りが折り畳まれ、乗客もこの貫通路を介してはしだて・まいづる両編成を自由に行き来できるようになります。


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 二層建て列車になったところで座席周りをチェックしていきます。リニューアル前は2列ぶんの大窓でしたが、現在はこのように個別窓に。とはいえ客室側に木製のフレームが追加されただけで窓自体はそのまま残っており、外から眺めれば(※上に貼った写真を参照)オリジナルの大きさが確認できます。よく観察すると、偶数列と奇数列では窓割りがほんの微妙ながら異なりますね。率直なところ、このデザイン変更の意図は解りかねるのですが…。(太陽の高さに合わせた)調光には以前の横引きカーテンよりもこちらのロールカーテンの方が融通が利くものの、それならば窓の中央にカーテンレールを後付けすればいいだけですしね。サイズの大幅な縮小もさることながら、フレームが内側に張り出しているために500系新幹線の如き圧迫感を覚えたというのが、今回のファーストインプレッションにて認識した最も大きな短所でした。あと細かいことですが、ネジ穴を敢えて見せるというのは個人的には好みではありません。


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 ポケットとカップホルダーが設置された座席背面。フットレストは非装備である一方で上述の通りシートピッチが287系よりも8センチ広く、座席形状も影響するとはいえどもこれだけの違いがあれば実感もしやすいかと思われます。リニューアルが始まったのが2015年と9年前なので、モバイル機器用コンセントが見当たらなかったのはまぁ致し方ないでしょう。


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 列車の性質からグループ利用も多いために、背面テーブルに加えてボックス状に転換した際にも使用できるインアームテーブルが装備されています。弁当類を置くことを考えると、サイズはもう少し大きめの方が望ましいと感じましたが。


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 運転区間にはトンネルも少なくないものの、毎度のように照明効果により客室のムードが増すので、これはこれでウェルカムではあります。


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 今回の乗車時間は短めの1時間23分、更に自席を離れてフリースペースで過ごす時間もあったため、最も重要なシートの座り心地については秀でているとは言えないまでもこれといった不満は覚えず、という結果になりました。詰め物がしっかり入っているので、ペラペラのものよりはこちらの方がずっと上。敢えてツッコむとするならば、背ずりを適切なポジションまで倒して車窓を眺めるとなると、折角のクッションが効いた枕&丹後ちりめんのリネンから頭が完全に浮いてしまって無意味になる…ということでしょうか。


 2号車のフリースペースには先述の座席難民が複数名腰を据えているため、貫通路を通ってまいづる編成へと移動。こちら側のフリースペースは想定通りの使われ方をしていました。なお、まいづる編成についてははしだて編成が4両で運転される日があるため、号車番号は5・6号車が割り振られています。2つの編成のフリースペースが向かい合い、さながら定員約20名のコネクティングルーム状態。フリースペースに広めのシートピッチと短編成にも拘らずなかなか贅沢な空間レイアウトとなっており、混雑率が高くなりやすい、抑々指定席予約が取りづらいというデメリットと表裏一体ではあるものの、今日のように6~7割程度の埋まり(※2号車)ならば唯々快適です。JRの特急列車群の一員としても運転される車両として汎用性を併せ持ちながらも、これならば観光列車を自任するのに不足はないアコモデーションという印象でした。


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 天井には表面に金箔が貼られた楕円形のオブジェ。こちら↓の写真に写っているものに関しては綺麗なのですが、2号車のものはリニューアル時期の差のため、経年劣化で剥がれてみすぼらしい見た目となっており、これもまた水戸岡デザインあるあるだなと。一般形・特急形・観光列車問わず、メンテナンス性に無頓着なのは相変わらずです。


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 5号車の座席区画。2号車とはモケットの柄が異なります。やはりこちらの方が乗車率には余裕あり。因みに3・4号車の乗客に対し、福知山発車後には後ほど空いている座席にご案内しますので「とりあえず」フリースペースにて待機を、という放送が入っていたものが、綾部発車後にはとりあえずの部分が抜けてこのままここに着席を、という表現に変わっていました。まいづる編成には窓側の空席もありましたし、この先の停車駅(園部・亀岡・二条)ではまとまった乗車もないと考えられるので、こちらへ誘導すれば良かったのに…と少々引っ掛かっていました。ま、仮に自分の立場だと特急料金全額払い戻しならば納得しないわけでもないですけれどね。経緯は異なれど、以前に近鉄の「青の交響曲」へ乗車した際にそんなシーンに遭遇していますので(→当時の乗車記録)。


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 2年前、きのさき号に京都→福知山の方向へ乗車した時とは逆のD席を押さえましたが、やはり思ったようにこちらの方が川沿いに谷間を進む区間で視界が開けており、幹線ながらも目と心に優しい車窓を楽しむことができました。下4枚目の写真の通り、空だけならばもう秋、なんですけどねぇ。


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 園部から先は嵯峨野線の愛称が付与された、京都都市圏の近郊区間。複線に復帰すると同時にここまでの単線区間には無かった長い直線も増え、100km/h超で走る場面もしばしば現れます。(下の写真では108km/h表示)


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 嵯峨野線の主要駅でありながら到着直前まで車窓は一面の田んぼ(下1枚目の写真)という、衝撃的な立地の亀岡が次の停車駅。駅前には車窓からも間近に眺められる『サンガスタジアム by KYOCERA』が建っており(同2・3枚目)、こちらも2年前に初観戦に訪れましたが、球技専用スタジアムらしく上層階からでも見易い設計や、スタジアムらしからぬ如何にも京都らしいイメージの渋い外観といった具合に、かなり好印象な施設でした。関西にてJリーグのクラブが本拠地を置くスタジアムにはノエスタやパナスタなど高い評価を受けているものが多く、観戦環境には恵まれているなと実感します。


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 そして亀岡出発直後もまたこんな景色。この辺りは都市部に隣接しているせいかそうではないのですが、福知山線沿線では休耕地や耕作放棄地→ソーラーパネル化した土地も多く目にしました。なんかこの1~2年だけでいきなり増えたような。


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 特急ならばそんな亀岡からでも京都までは二条に停車しつつ17分とあっという間で、12時07分、定刻通りに終点京都へ到着。今回は移動手段ではなく乗車料金850円のアトラクションという位置付けになりましたが、水戸岡案件ながらも今日のところは筆がそれほど荒ぶることはなく何よりでした。物足りないわけではないにせよ短い乗車でしたが、慢性的に欠乏しているビタミンDCをほんのちょっぴりでも補給できましたし、来月末には三度目の正直で当選した「サイコロきっぷ」を使った富山行きが控えており片道2時間50分前後という行程になるため、じっくりと楽しむ汽車旅はまたそちらの方で。ていうか、大阪からだと敦賀延伸後もそんなに掛かるの??


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 これから梅田へ向かうとなるとちょっと遅めのランチタイムとなるため、腹時計が鳴る前に12時15分発の新快速へ乗車すべくキビキビと移動。今日は乗り換えるだけですが、涼しくなったら京都へはまた出直さなければなりません。阪急のPRiVACEへの初乗りがまだですのでね。という流れで“本題”の後編へ続きます。

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