夏の終わりにまずひと旅 後編【KITTE大阪・うめきた公園】
12時43分に大阪駅へ着いたら、西口より出場します(モバイルICOCAからの引き去り額は330円…)。昨年3月の新設当初は桜橋口側へ抜けるだけの“場末”の出入口だったのですが、いよいよ構内を貫通する通路が開放。改札を出て右へ曲がれば大阪ステーションシティの一端をなす『イノゲート大阪』、左へ曲がれば商業施設のKITTE大阪が入った『JPタワー大阪』と、7月31日に同時開業した2棟の新築の高層ビルに挟まれて人通りも格段に増えました。
150年前の1874年5月11日、神戸~大阪間に鉄道が開業したことにちなみ、アニバーサリーイヤーである今年の干支の辰をかたどった路線図(※阪神間以外は架空の路線)が掲示されていました。コレもいいのだけれど、代わりに西口新設当時に掲示されていたあの傑作が消えてしまったのは実に惜しいものです。
KITTE大阪にてなるべく早くランチにしたいのですが、その前にまずは反対のイノゲート大阪側へ。お目当ては──
荒木飛呂彦さんデザインのこちらのオブジェ(パブリックアート)。タイトルは『THE FOUNTAIN BOY(噴水小僧)』です。私はジョジョは4部までしか知らない勢なので、元ネタについてはよく分からないのですが。とりあえずスタープラチナは居るね。
設置記念で便乗?企画も。これ以降は絵柄が濃すぎて私は受け付けないのですが、ファンの意見でも5部から先はマニア向けらしいですからね。
今度こそJPタワー大阪へ。元大阪中央郵便局の敷地の再開発によって誕生した高層ビルです。旧ビルは内部へこそ一度も入ったことはないとはいえ、駅のすぐ横(=鉄道で郵便物を輸送していた時代の名残)で物心ついた頃から数え切れぬほど目にしているネイティブ関西人というわけで、当時の外観(下の写真)および内装(後述)をリバイバルした意匠を一目で認識です。
郵便局そのものは「元」ではなく、再開発後もビル南側の一角にて営業を継続しています。皆さんご当地ポストにカメラ・スマホを向けていたので、勿論私も一枚。
4F・5Fのレストランフロアへ。樋口一葉/津田梅子くらいならばあっけなく飛んでいくような高価格帯の店舗が多いものの、ランチメニューならばひとまず大半は許容範囲内ですし、9月末までの限定でKITTE大阪の公式アプリ経由にてオープン記念に500円の割引クーポンも配布されていたため(税込2,000円以上で使用可)、今日に限ってはご祝儀代わりにちょっぴり贅沢しましょう。
最初に入った店は注文後にお目当てのメニューが売り切れとスタッフが知らせに来たので、それ以外は食べる気がしなかったために退店。改めてフロアを一巡したのち、第二候補にしていた『すき焼 しゃぶしゃぶ つかだ』に決め直します。渋谷の人気店が関西初上陸なのだとか。旬の商業施設というわけで午後1時を過ぎても順番待ちはありましたが(『小麦の麺神』なるラーメン店の行列が凄かった)、それでも十数分程度でした。ちなみに店舗デザインを担当しているのは佐藤可士和氏。鉄道業界とはあまり関わりのない方なので弊Blogでは水戸岡鋭治・安藤忠雄ほどに氏名が頻出するわけではないものの、こちらもこちらで地雷案件ですよねぇ…。幸い、今回は目立った失点はありませんでしたが。
メニューはこちら↓。クリック/タップで拡大します。今回は一番人気だという鹿児島黒毛和牛と鹿児島黒豚がほぼ半々のすき焼きセット(税込2,300円;メニュー左側2段目)をチョイスしました。オーダーは各席にあるQRコードを客自身のスマホで読み取ってという方式ですが、スマホ不所持の場合も口頭でOKのはず。
もう2時近くになって、ようやく遅い昼食です。野菜・きのこ・豆腐が静物画のモチーフにしたいくらいに美しくて見惚れてしまいます。焼く・煮るのは基本的にはセルフではあるものの、序盤のみスタッフがレクチャー(※下3枚目の写真は同じ内容の説明書き)。この私の席担当のスタッフが笑顔がキュートなとても可愛いお嬢さんで、その点でも心地よい体験ができました。
上述のようにビーフで固めるのではなくポークも交ぜたのですが、どちらも甲乙つけがたい、とろけるような美味。旨みが濃厚なお肉×ザラメドーン!の甘い割り下と双方とも個性が強いために、自家製のすき焼きでは普段は使わない生卵が今回は仲立ちとしてマイルドに抑えるべく実に良い仕事をしてくれていました。そして野菜類も新鮮かつ予想以上にどっさり入っており、ご飯・香の物がおかわり自由ということもあって量的にも大満足でした。カウンター席が中心&一人一鍋と、ペア・グループ客だけでなくおひとり様も大歓迎なのは当世風で好ましいスタイル(一蘭みたいに閉鎖的なのは遠慮しますがw)。今回の支払額は税込1,800円と破格でしたが、ランチメニューならばまた定価でリピしてもいいかなと思いました。これぞ塞翁が馬というか、第二候補に変わって結果的には良かったですね。
現時点でだいぶ時間が押しているので(毎度の事ですが…)、ランチを終えたらその足で2Fへ。全国のアンテナショップが大集合したKITTE大阪の目玉フロアで、今日はこれを目的にやって来ました。関西にゆかりのある方ならば、2014年まで梅田の阪神百貨店地下北側に展開していた同百貨店のふるさと名産街、通称「アリバイ横丁」が令和の世に堂々復活!という印象を抱くはずです。もちろん彼の全盛期のようにほぼ全都道府県をカバーというレベルには到底至らないものの、これもまた当世風のお洒落な店構えで入店のハードルは段違いです。それでは外観のみ、それも近畿各府県の店舗は一部省略ではありますが、ギャラリーにてご覧ください。
▲[島根県]IZUMO SHIMENAWAYA(出雲しめなわや)
▲[高知県]SUPER LOCAL SHOP とさとさ
▲[鹿児島県]かごしま屋
▲[長野県・群馬県]荻野屋
▲[岡山県倉敷市]クラシキ
▲[和歌山県湯浅町]ゆったり、まったり ゆあさんぽ
▲[宮崎県]みやざき館 KONNE
▲[広島県]ひろしまIPPIN
▲[新潟県]新潟三昧 越の蔵 雪國商店
▲(3枚)富山・石川・福井情報発信拠点「HOKURIKU+」(ホクリクプラス) ※3枚目はバーカウンター(奥)と地酒サーバー(手前)
▲兵庫県おみあげ発掘屋
そして2強の「北海道うまいもの館」(下1・2枚目の写真)と「沖縄宝島」(同3枚目)。この2店舗が向かい合っているため(同4枚目)、当フロアでも特に人口密度が高いようです。
こちら↓は全国のご当地自販機を集めたコーナー。
今日は近畿以外の全道県のショップ・全ての棚を見て回るという目標を立てており、80分ほど掛けて一応これは達成が叶ったのですが、予想通りとはいえ体力・精神力が短い時間のうちにガリガリ消耗していく、この一段落で終わらせるにしては「過酷」なミッションでありました。あまりに品数が多すぎて目がグルグルする…… そりゃそうだ、普通ならば空港か駅でせいぜい1、2店舗のところを一気に10店舗以上回っているのですから。ちなみに価格ですが、アンテナショップの標準として現地の定価よりも僅かながら高めという印象。とりわけスーパーなんかでも販売している普及品等は割高感が際立っています。こういうのは旅先でテンションが上がっている「ハレ」の時にはポンと出せたりしても、梅田のような準地元の「ケ」ではちょっと…といったところ。とはいえ、お取り寄せで別途送料を払うよりは他の用事のついでにここでゲットという使い方ならば大いにアリではないかと思われます。
下2枚の写真は同じ2F、「@JP Cafe」のあるエリア。前記の旧大阪中央郵便局のリバイバルデザイン、ただ単に同じ建材を用いるというだけでなく、こうして建物ごとその一部を移設保存しているのだそうです。KITTE大阪、開業から丸2か月が経って平日ならば混雑も落ち着いたようですし、大阪と全国を繋ぐ場という施設のコンセプトも個人的に結構刺さるので、お金を落とすかどうかは別としても今後積極的に立ち寄ってみたいと考えています。
すき焼きで一旦はMAXまで回復したHP・MPがどちらも1/4くらいまで減っているような感覚ですが、もう一つミッションがあるのでうめきたエリアヘ向かいます。当然地上又はペデストリアンデッキを通ってでも行けるものの、今回は試しに知る人ぞ知る謎の通行証を使って大阪駅西口⇔うめきた地下口経由で移動してみました。入場券を購入する手続きの途中で[「通行証」はこちら]というボタンが出てくるので、こちらをタッチ。1.入出場は西口⇔うめきた地下口間に限る、2.列車内はもちろんホームへも立ち入り不可、3.両改札口同士の通過は発券から20分以内という条件が付加されているものの、発券は無料で行われます。今回はご紹介のために紙のきっぷを発券しましたが、全国相互利用に対応した交通系ICカードを所持していれば同じ条件にて引き去り額0円で通過できるため、もしも活用するのならばこちらの方がお手軽です。
大阪市道九条梅田線をくぐるための垂直移動×2回があるとはいえ、通過だけならば最短2分程度で可能。1年半ぶりのうめきた地下口改札内コンコースへ出てきます。出場のその前に、厳密には上記の2.のルールに抵触してしまうものの、地下ホーム開業以来ずっと引っ掛かっている「あれ」の追跡調査のために2本のホームを往復。──ああやっぱり。依然としてベンチも待合室もない…… 確かにSDGsとやらの17項目には違反していないだろうけどさ。もうとっくに猶予期間も過ぎましたし、おめでとう、君は高架ホームの雨が吹き込む大屋根に続き、当駅で2件目のバカ建築認定だ。
こちらもお久しぶりの改札外コンコース。うめきた2期地区『グラングリーン大阪』最寄りの改札口ですが、そちらに関しては9月6日に先行まちびらきを迎えたばかりの段階でまだまだ発展途上のため、西口とは対照的に人通りは疎らと呼んでもいいくらいです。
1番出口を上がれば、1年半前には無かったルートが開通しています。このすぐ先に位置する、「大規模ターミナル駅直結の都市公園としては世界最大級の規模(面積45,000㎡)を誇」るという『うめきた公園』が今日2ヶ所目の目的地。ここからしばらく露天を歩くことになりますが、時刻は午後4時を過ぎ本日の気温も30度まで上がるかどうかという位で、苦になるほどではありません。とはいえ翌日以降、また本格的な真夏日が戻ってきたわけですが。マジでいつまで続くんだこの夏。
随所にフェンスが張られて仮オープンの雰囲気に満ちてはいますが、すれ違ったオバチャンが「すごーい、ここホンマに大阪!?」と驚嘆するほどの空間がそこには広がっています。世界最大級かどうかはひとまず保留するとして、これまでキタにはせいぜい中之島の堂島川沿いくらいしか無かった「散策するのに気持ちのよい、広々とした場所」がようやく梅田の真ん中にも誕生しました。もしこれが既存の市街地の再開発ならばジェントリフィケーションだなんだと自称リベラル系の面倒臭い人達を呼び寄せそうなのですが、こちらはサラの空間(=梅田貨物駅の跡地)ですので。
上2枚目の写真の空中回廊も大いに気になるところなのですが、まずは芝生の広場を時計回りに周ってみます。芝生が養生中ということで現状では散策路から眺めるだけですが、写真を撮るのには大変都合がよろしいです。それにしても、背後に見える梅田スカイビルはあまりにも時代の先を行き過ぎていたのだなと改めて感服。いまや世界の〇大建築に名を連ねる存在となっていますし。
池というかごく浅い水深の水盤と、その奥の噴水。画面からは外していますが、お子様たちが水と戯れています。そういう意味では丁度良い時期に開園したわけですが…… よかったね、今年のこの暑さならばまだまだ遊べるよ!
カフェ・レストランは9月に供用を開始したエリアに4店舗が営業中(※訪問時点)。今日は駆け足での公園訪問ですが、次回以降じっくりと訪れた際に備えてメニューのチェックだけはしておきます。一応、ね……(ドリンク単品ですら700円~とは……)
なお、トーキョー方面の再開発では随分と強い批判を浴びている「座る場所問題」なのですが──これについては私も叩かれて当然だと認識しています──、此方うめきた公園、流石に関係者も先行事例を反面教師としているためか、ビジター数を考えれば常に十分な席・スペースを供給するのは事実上不可能とはいえども、少なくとも常識的な数は確保しようという意思は感じ取れました。
公園の北西の角(=新梅田シティのすぐ東側)の現況。旧梅田貨物線の軌道敷は整地が済んだままである一方、さっそく真新しい道路が造られています。北東の角からこの道を挟んだ向こう側にも先行まちびらき時にオープンした『グラングリーン大阪北館』を中心としたエリアがあるのですが、今日は時間および体力の都合でパスすることになりました。
【追記】後日再訪した際に立ち寄りました。記事はこちらのリンクから。
それでは空中回廊「ひらめきの道」へ。2027年春頃に公園の残りの区画が開園予定ですが、それまではそちらへ通じる区間は未供用となっています(下2枚目の写真)。
空中回廊上からの展望。これもまた、これまでの梅田には無かった景色です。ここからだと映える写真が撮れるのでしょうか、私と同様にデジタル一眼を携えた方を多く見掛けました。うめきた公園パートの最初にも貼ったドーム型の大屋根(下2枚目の写真)、上から見たらシドニーのオペラハウスのように見えないかな?と思っていたのですが、近づいてみればごくごく安っぽくて苦笑い…(同6枚目参照)。
もう一方の端も2025年3月21日開業予定の『グラングリーン大阪南館』の手前で通行止め。地上へは「ゲートランタン」と称される螺旋階段(下2枚目の写真)が通じています。
イノゲート大阪・大阪駅西口方面へはこちらのペデストリアンデッキでも連絡。
そのイノゲート大阪内にオープンした飲食ゾーン、『バルチカ03』にも時間があれば立ち寄ってみたかったものの、こちらもやはりパス。ちなみに03はおっさんと読むのですが、このターゲット層(=名より実を取る)だと大阪駅前ビルの地下や新梅田食道街といった長い伝統をもつ永世チャンピオンが存在するわけで、それらと一丁前にやり合うつもりなのでしょうかね。また後日、お手並み拝見といきましょう。
実はここもバルチカ03のショップ群に含まれるそうですが、前を通りかかったところ偶々テーブルが一つだけ空いていたので、近畿エリアでは今まで奈良にしか出店していなかった『猿田彦珈琲』にてカフェラテ(濃口・ホット;税込550円)を試してみます。んー、世間で話題になっているほどにはインパクトはないかな…… 正直、ローソンとのコラボスイーツの方がずっと美味しかったです。これってローソンの商品開発部のお手柄では
今回ご紹介した施設群、ぼやぼやしているとお財布orスマホ決済からガンガンお金を吸い取られるので油断は禁物ではありますが。ともあれ街づくりの指向性という点で様々な課題を孕むデリケートな事案だとはいえ、こちらのラグジュアリー路線にしろ庶民路線にしろ何れも並存してよい・すべきですし、それこそメガシティとしての多様性のうち。うめきたプロジェクトは平松市政時代の置き土産ということで現在の大阪の好感度へは何ら影響しないという断りを入れたうえで、私個人の感想としては梅田へ足を向けるモチベーションがぐっと上がったな、と、今夏のオープンは期待通りの成果でした。……まあ、結局は今日最後に用事で立ち寄った大阪駅前第2・第3ビル地下の雰囲気(および物価)こそ、これぞ古き良きオオサカだと一番心安らぐのですけれどね。
今日の歩数カウント:14,745歩
▲夕方、KITTE大阪B1Fより北新地駅方面へ帰るところで
« 夏の終わりにまずひと旅 前編【丹後の海 as はしだて2号】 | トップページ | 24/10/18 (1)うめきた公園のつづき »
« 夏の終わりにまずひと旅 前編【丹後の海 as はしだて2号】 | トップページ | 24/10/18 (1)うめきた公園のつづき »
コメント