24/10/28 (2)富山への道2024 その2【北陸新幹線・敦賀→新高岡】
[1F]31番ホームから[2F]乗り換え改札を経由し、[3F]13番ホームへ立ったのは8時00分。サンダーバードを降りたのは割と後のグループで、乗り換え改札はスムーズに通過したものの足取り自体は意識的に普段より寧ろゆっくり気味に進みましたが、それでもサンダーバードのドアオープンから5分弱で到達しました。問題は最繁忙期にも遅延を出さずに最短8分接続が実現できるかどうかなのですが、そちらに関しては偏にJR側が悩む話であって、駅員の目の届く動線上にさえ居れば置いてけぼりの心配はありません。ざっとSNSで検索をかけてみても、遅延の原因は乗り換えよりも接続元の列車の遅れによる発車待ちのケースの方が明らかに多いようです。ちなみに前回の金沢駅での乗り換え改札通過時には半ば故意にきっぷを詰まらせたのですが(→詳細はこちら)、今回は4枚まで同時投入できるように改良されていたため、処理にやや時間が掛かり動作自体も若干不安定ではあるものの無事にパスです──最初からこうしておけとしか言いようがないですが。写真つきでの詳しい解説については翌日の夜、復路で通過した際の記事にて。(【追記】復路編アップしました。こちらのリンクからどうぞ)
13番ホームにて8時06分の発車時刻を待つ、<つるぎ2号>富山行き。最速達列車の<かがやき>を差し置いての一桁ナンバーですが(※かがやきは500番台)、これは接続するサンダーバードの号数に合わせているため。双方向ともに下り列車(奇数番号)から上り列車(偶数番号)への接続なので、接続先の列車の号数は接続元の列車の号数に1を足すという形になります。なお、早朝・深夜には在来線特急との接続のない列車もあり、こちらは60番台。その後に臨時列車枠の80~90番台が続くという付番ルールです。敦賀延伸と同時に<つるぎ>にも通過駅のあるタイプが誕生し、こちらの2号も福井・金沢・新高岡のみ停車という<かがやき>とほぼ同等のスピードを誇ります。運転区間の違いを除けば現行では速達タイプの全列車がこの停車パターンで、<かがやき>には小松・加賀温泉・芦原温泉・越前たけふに停車する列車も存在するために一種の下克上が生じているわけですが、関東側・関西側どちらからでも金沢までは最小限に絞ってその先は柔軟に対応しましょうというスタンスが見て取れます。
ホームの床面は北前船の甲板をイメージした木目調のタイル張りで、確かに従来の新幹線駅とは大きく印象の異なる造りとなっています。
駅名標の下には各種割引きっぷの案内。関西⇔北陸間のものは金沢開業時代よりも軒並み値上がりしていますが、時間短縮の対価として容認できる範疇か否かは区間による、といったところ。
座席は進行方向左窓側のA席のみ指定で号車・位置はe5489にお任せしたところ、3号車8番A席へアサイン。先頭車両が近いのと乗り換え時間に余裕があったため、ホーム先端まで歩いて写真を撮っておきました。<つるぎ>が金沢~富山間のシャトル列車だった頃は12両編成ながらも8・9・10号車(普通車)および12号車(グランクラス)は締め切り扱いで実質8両編成として営業していましたが(8号車のみ一部列車にて営業)、敦賀開業時にグランクラスを含めた全車両が開放されています。全車指定席の<サンダーバード><しらさぎ>と一体的に運行される列車ゆえに自由席車は2両と控え目ではあるものの(※60番台の列車のみ4両)、大部分が各駅停車タイプなのでチャンスは限定的とはいえ、北陸エリア内を最小限のコストで移動する場合も速達タイプの列車を利用する手段が設けられているというのは隠れたポイントと言えましょうか。
途中トイレや売店・コンビニへ立ち寄ったのか、発車1分前でもホーム上はポツポツ人の動きがあったものの(下の写真)、これらはみな乗車する車両まで移動中(=手近なドアからすぐに乗り込める)で、ホームへの到着そのものがギリギリという人はゼロのよう。というわけで、慌ただしさというのは全く感じられなかった初乗り継ぎでありました。
乗車したのはJR東日本保有のE7系・F5編成。JR西日本保有のW7系とは自動放送の前に流れるチャイムが異なるので、特に意識せずとも簡単に判別できます。個人的には「北陸ロマン」2連チャンを回避できたのにはホッとしたりも。ただでさえどんよりとした天気の多い北陸地方なので、ここに輪をかけるように短調のメロディというのはちょっとうんざりします。いい日旅立ち路線だというのは解ってはいるのですが。居住性については681・683系から乗り継ぐと座席幅の狭さがやはり不満。シートピッチこそ数値上は大きく上回っているものの足を伸ばそうとするとシートの脚が干渉するので、完全に空洞の681・683系の方が体感的には寧ろ広く感じます。前回は23分でしたが、今朝は58分とそれなりの長さのお付き合い。前記の通りこの列車は<しらさぎ>とは接続しておらず、8両もある普通車指定席に散らばってみれば、ガラガラとまでは行かずともいきおい贅沢な空間の使い方になります。
列車は敦賀駅を出ると僅かばかりの明かり区間を進み(下の写真)、すぐに全長19,760mの新北陸トンネルへ。今となっては珍しくもない長大トンネルではありますが、在来線側(ハピラインふくい線内)の北陸トンネルも13,870mあり、62年も遡る1962(昭和37)年の開通当時としては世界規模の一大建設事業だったことに改めて注目させられます。
さて、使用中のサイコロきっぷは富山まで有効ではありますが、今日はこれから万葉線沿線を巡るので、新高岡で下車して始発駅の高岡駅へ向かうというルートを取ります。乗車駅まで/下車駅以遠の権利は放棄することにはなりますが、経路内ならば途中駅での乗り降りも可能。この辺は藤村Dと違って「サイコロの神」も多少の融通は利かせてくれるというわけです。過去には芦原温泉・加賀温泉・金沢が行き先になっていたので、事実上はこれらの上位互換。言うまでもないですが勝手に乗車/下車する駅が列車の停車駅かどうかは予約ページ上には一切反映されないので、自身での確認が必要です。
新北陸トンネルを抜ければ、以降富山平野の東端まで途中ちょいちょいトンネルは挟みつつも約200キロものあいだ、高架が主の区間となります。整備新幹線区間では既開業・未開業合わせてもこれだけの長さの明かり区間が連続するというのは全国で唯一と言って良く、在来線よりも見晴らしが向上したことも相まって時間短縮・信頼性のアップのみならず目にも嬉しい新幹線路線と呼べましょうか。新大阪延伸後は小浜ルートにせよ米原ルートにせよ琵琶湖は眺められなくなるので、車窓風景という観点では現状が「いいとこ取り」ということになりますね。
8時16分、260km/hのフルスピードで越前たけふ駅を通過。直線距離で約3km離れた武生の中心市街地はここから見ると丁度西にある山の裏側にあたり、道路では北か南へ回り込んで向かうことになります。北陸自動車道の武生ICともほぼ直結という場所に位置し、併設されたパークアンドライド用の駐車場は連日大盛況なのだとか。早くも丹南エリアの新しい交通拠点としての地位を確立しつつある模様です。ちなみにこの駅名は昨年2月まで福井鉄道が使用していましたが(表記は「越前武生」)、新幹線駅の開業にあたって2010年まで名乗っていた武生新を平仮名交じりにした「たけふ新」駅に再改称されています。といっても新幹線側が立場を利用して強奪したというわけではなく、至って平和裡に譲渡が行われたとのこと。たけふ新も本来接頭辞であるべき語が接尾辞になっているというシンプルながらも印象的な駅名ですし、なかなか望ましい収まり方ではないでしょうか。
5年前に福井鉄道の車窓から眺めた風景を東側より見下ろしているうちに……
福井市の中心部へ。
福井駅到着。悲願の東京直結が叶い、同時に福井・金沢・富山の北陸三都が新幹線で繋がりとここまでは純粋にめでたい話ではあるのですが、今回は関西目線ということで── 到着時刻は8時23分、2019年当時の<サンダーバード1号>の到着時刻が8時29分だったので、短縮時間はたったの6分。しかも当時は湖西線内でのダイヤに織り込まれた減速運転のために敦賀までの所要時間は現在よりも3分長かったので、これを調整すれば3分の短縮ということになります。敦賀駅での乗り継ぎおよび運賃・料金の値上げ分の見返りとして適切かどうかといえば、満場一致でNOでしょう。
福井駅新幹線ホームの配線は通過線なしの島式ホーム1面2線と、各都道府県を代表する駅としては勿論のこと中小の駅にまで比較対象を拡げても際立ったコンパクトさ。同じく島式ホーム1面の三島駅ですら通過線はありますからね。下車は出来ずともせめて窓から…と思ってもホーム柵の高さが窓の上辺近くまであるので(下の写真参照)、反対側に座っていたこともあり全くと言って良いほど様子は掴めないままで敢え無く再出発です。
前回の福井訪問時に乗車した、えちぜん鉄道三国芦原線(下1枚目の写真)や現在はハピラインふくい線として運行されている元北陸本線の線路(同2枚目)を懐かしく眺めます。
その1分余りののちに列車は九頭竜川に架かる橋梁へ。こちらは日本初の新幹線と道路の併用橋で、しかも両者がほぼ同じ高さにあるのですが、壁で道路が見えないのでこうして意識していなければ気が付かないまま通過してしまうことでしょう──意識していても実感できなかったですが(笑)。
福井平野(下1枚目の写真)からトンネルで牛ノ谷峠を通過し、金沢平野へ。芦原温泉の次は金ぴかの「加賀大観音」がシンボルの加賀温泉ですが、その手前にある加賀市の中心地・大聖寺の町の至近距離を新幹線は通過していきます(同2枚目)。
この後は小松を経て金沢へ。ご存知のように整備新幹線区間の最高速度は260km/hに抑えられており、これは線形による物理的な制約というよりも法律(全国新幹線鉄道整備法)による規定が要因と理解しているのですが、ともあれ21世紀生まれの新幹線路線なので前者のせいで頭打ちになることはないのだろうなと考えていたところ、意外や意外、この辺りを中心に220km/hから230km/hほどで巡航する場面が目立ちました(※明かり区間が続くのでGPSでの計測が容易)。敦賀~金沢間の駅は越前たけふを除く全駅が在来線との併設駅なので、「寄せる」ためにある程度の急カーブは交じるのだろうと想像できるものの、<かがやき>や<つるぎ>の速達タイプのようにスピードを売りにする列車にとっては勿体ないなと感じるのもまた確かだったり。仮に法律の軛が取り払われた場合まで考慮すれば尚更です。E7・W7系の性能自体はとても優秀で、30パーミルの勾配を軽々と上るだけあって低速域から高速域に至るまで力強い加速を披露してくれます。
ここで建設中の北陸新幹線の軌道・駅施設の写真を再掲。こういうのは工事が始まるまでは長くとも、その後はあれよあれよという間にという感じです。
▲北陸本線(現・ハピラインふくい線)南条~王子保間の車窓より
▲(3枚)福井駅
▲えちぜん鉄道の車窓より、福井駅北方
▲小松駅付近
在来線と同様、手取川を渡る付近では日本海へ最接近。高架線上なので在来線のように下流の道路橋に視界を遮られて…ということはなく、遠目ながらも新潟県内区間を待たずして海を眺めることができます。
IRいしかわ鉄道線とぴったり併走する区間を前に、スピードは既に200km/hを切る位に。北陸の中心的役割を担う都市らしく、金沢駅が近付くだいぶ手前から市街地が広がっています。福井は……直前まで田んぼが多かったよね……。
8時48分、金沢着。2019年当時の<サンダーバード1号>の到着時刻は9時13分でしたので、25分の短縮です。とはいえ上述の調整後は22分ですし、今回は少数派の最速達タイプでのケース(各駅停車タイプの場合は敦賀~金沢間で15分が追加)という点にご留意ください。
金沢平野からトンネルで倶利伽羅峠を越えて砺波平野(富山平野西部)へ。暫し能越自動車道と並走すれば──
間もなく下車駅の新高岡駅。往路の最終目的地である高岡駅までは道路の道のりで1.7km、言うなれば“ラストワンマイル”を残すのみなのですが、図らずもこの用語の通りに往路のキモとなった区間ですので、もう少し話が長くなるためにここで一旦分割します。
▲下車前に3号車全景を撮影。ここまで来ればガラガラです
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